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死ぬ前に君の笑顔が見たい  作者: 大木戸いずみ
39/74

39.シアラ、動く

 私は部屋に戻り、ベッドにドサッと寝ころぶ。鍵をぼーっと見つめながらレイのことを考える。


 レイと婚約しちゃったんだ……。そんな実感全くないけど。

 今から宇宙人が地球を侵略しに来るって言われた方がレイと婚約しますって言われるより信じてしまう気がする。

 宇宙人相手なら棍棒でも用意して戦う準備に備えるけど、レイとの結婚って何を準備すればいいの!?

 あ、結婚じゃなくて婚約か……。私としたことがまた間違えちゃった、てへ。

 レイはそういうものに無縁な存在だと思っていた。だって、彼の辞書に恋愛の文字はないはず。命の恩人セオドア様に一生仕える為に、結婚するんだもんね。

 まぁ、私も結婚なんて出来ると思っていなかったから、ラッキー!

 それに、あの家も手に入った。大量のドレスとアクセサリーもレイからの贈り物だったなんて……。

 やることもイケメンだよね。私には勿体ないぐらい……。

 きっと、婚約が成立しなくても彼なら「こんな話を持ち掛けて悪かった、迷惑料だ」って言いそうだし。……こんなにも物事が順調に進んでいるなんて怖い。

 神様に、お前は良いことが続いたから寿命を減らしてやるなんて言われちゃうかもしれない。


「てか、私、本当に死んじゃうのか~」


 どうしてシアラはこんなにも不幸な女の子だったんだろう。

 残されたこの短い時間で私が生きたっていう証を残したい。誰にも思い出してもらえないなんて悲しすぎるもん。


「爪跡を残さないと!」


 私は力強く声を発し、起き上がる。

 全力で生きないと!

 ぼんやりと悩んでいる暇なんてない。することが山積みだ。あの家を改装する前にドレスを作ってくれる仲間を探さないといけないし……。

 その前に、デザインを考えないといけないか。


 椅子に座り、真っ白い紙を机に置く。そして、ペンを走らせた。

 動きやすく、そして、洒落たドレスを作りたい。

 私のセンスが試されているんだよね。この世界のファッションに合わせないといけない。そして、ターゲット層は平民だから、華やかだけど、貴族が着るような豪華すぎるのも駄目だ。

 けど、色とりどりのドレスを作りたい。女の子を幸せに出来るドレスをデザインしてみせる。

 幸いなことに、シアラは絵を描くのが得意だ。

 ずっとこの屋敷……というより、部屋に閉じ込められていたから、それぐらいしかすることがなかったのだろう。

 スマホがある世界なら、クソゲーばっかしてしまって、時間をどんどん潰してしまう。何も得られないもん。

 時間は命だから、クソゲーで命を削っている暇なんてない。

 それに、絵は努力で上手くなることが出来る。そう思うと、家に閉じ込められてて良かったのかも! 

 私は丸一日机と向かい続けた。食事をとることさえ忘れ、デザインを描く作業に没頭した。

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