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勇者になれなかった凡骨ナイトの報われない冒険!  作者: 白希熊
凡骨ナイトの始まり
14/20

ep14 - 凡骨ナイトと、その相棒と、小娘の新しくて楽しい三人暮らし!

おおよそ二時間後。


 街中からやや離れた場所にある一軒の小屋。


 木造で建築されたその小屋は淡い茶色で、理由もなくただそこに建てられているだけという雰囲気があり、判然なまでに超地味で目立たない。気楽に隣を通ればそこに小屋がるなんてことが気付かない程までに。


 それ程、ただそこに建てられている小屋だ。


 しかも、驚くことに小屋の周辺にはニワトリがいっぱいうろついている。

 もちろん、判然なまでに超地味で目立たないニワトリだ。気楽にこの周辺を通れば、ニワトリがいっぱいうろついていることなんて、気付かない程までに。


 そんな異様な場所に建築されたその小屋の居間に、今、俺とギタノがソフィアから厳しい説明を受けていた。

 共に行動するための条件や、守らなければならないルールとか、これからの目標、行先、色々と真剣に厳しく説明された。


 ソフィアによる説明会の様なものを受けさせられたってことだ。


 ギタノは真剣に聞いていたみたいだけど、俺は適当に聞き流していた。

 いや、だって……小娘に色々と説明されても本気に出来ないだろう……。面倒くさいし、飽きるし、疲れているし、面倒くさいし……。


 俺が人の話もまともに集中出来ない男だからじゃないよ?


 今日は色々あって、色々と感情的に衝撃が大きかったり少なかったりして、疲れているだけだ。

 本当だ。


 興味のある話ならちゃんと……あ、いや……俺は興味のない話でもちゃんと耳を傾けられる大人だ。


「ちゃんと理解出来たのですか?特にダグザ!本当にちゃんと理解出来たのですか!?私が説明したこれらを守ってくれないとここから追い出しますからね?私は本気ですよ?きちんと守ってくださいね!?」


 熱心に色々と説明してくれた後、今度は心配そうに何度も確認してくる。両手を腰に当て、前のめりの状態で覗き込んでくる。銀髪の毛先がフードからはみ出し、部屋を照らす灯でわずかに輝く。


「あーわかったわかった。ちゃんと理解したよ。それで、俺達の部屋はどこなんだ?ちょっと一眠りしてくるわ……」


 この小屋は結構広く、俺達がいるこの居間以外に部屋がまだ二つあるらしい。ここに着いてからはすぐさま居間にあるソファーに座らせられたので、まだ小屋の中を案内してもらっていない。


「全然理解していないではないですか!!さきほど説明したばかりなのに、よくもそんなことが言えるのですね!どういう神経しているのですか!馬鹿ですか!?馬鹿ですよね!?」


 俺とギタノが座っているソファーの正面には、理由もなく怒りまくっているソフィアが不機嫌そうに立っている。

 本当、何でこの小娘こんなにも怒っているのだろうか……?

 さっきから俺ばかりを指さしながら怒鳴ってくるんだけど……。

 うるさいんだけど……。

 うざいんだけど……。

 っていうか、何かおかしいんだけど。

 エリザの身内はみんなこうなのか?

 特定な何かをするとスイッチが入ったようにみんな悪魔バージョンになっちゃうの?

 おかしいでしょう!?

 ソフィアはまだエリザ程怖くないけど、エリザよりうるさいんだよな。超うるさいんだよな。

 悪魔バージョンのエリザに芝枯れるよりは断然にマシなんだけど……。

 いい加減に疲れてきたわ。

 いや、マジで、何でこの子こんなにも怒っているんだ?


「共に行動したいのであれば楽は許さないです!これから狩りに出向かうって言ったばかりではないですか!私は一刻も早く力を身に着けて、エリザと共に戦わなければならないのです!そのためには狩りに狩りを重なって経験を積まなければならないのですよ!!」


 あーそうだった。

 確かにこの小娘がそんなことを言っていた覚えがある……ようなないような?

 これから楽して生きられると思っていたというのに。

 跳んだ計算違いだ。

 あんなに一生懸命になって共に行動したいなんて説得しなければよかったわ……。

 それに、我が相棒である隣の真剣バカは恋に騙されて乗り気満々だし……。

 真剣にソフィアの説明を聞いて深々と頷きながら承知してやがった……。


「そうだぞ、ダグザ。これからは三人で狩りに行くことになったばかりじゃないか。まずは、装備からだな。立派な装備が利用できなくても、まともな装備くらいはそろえなければならない。お前だって装備を買う気満々だったではないか」


 裏切り者め……。

 立派な装備が使えないのならいらねぇよ……。


「行くのです!今から行くのです!早くまともな装備を揃えて狩りに行くのですよ!」

「え~行きたいならお前達二人だけで……」

「ギタノ!やってください!」


 ソフィアは俺を遮ってギタノに命令すると玄関へ向かっていった。


「って、ちょっ!?ギタノ!?やめろ!離せ!この小娘の言いなりになってんじゃねぇよ!おいって!冗談じゃねぇよ!!俺よりその小娘を選ぶっていうのか!?長年重ねてきた信頼と友情はどこへ行った!?この俺を裏切るのか!!うらぎるのかああぁぁぁああっ!?」


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