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第五十五話 日記 前編

第五十五話です。

一日目


今日からまた日記を書き始める。

理由は前回と同じ、それとスノウさんの攻撃パターンの対策。


今日から始まった訓練。

午前中はスノウさんとの模擬戦闘、午後はセラさんのテイマーと魔法についての講義であった。

スノウさんとの訓練は、きつい。

でもそれ以上にそれが僕達にとって成長の糧になることは分かっているので真面目に取り組むつもりだ。


二日目


今日はリックさんとの訓練をした。

リックさんが教えてくれたのは基本的な刃物の扱い方と、僕達の連携についてだ。

勇者とその従者、そしてコンビとして僕達の連携は今後戦う上で重要なものとなってくる。それを分かっていたリックさんは、それを訓練内容に盛り込んでくれたようだ。


最終的な目標は、僕の純魔の魔力を与えたリーファが自身の魔物としての力をある程度扱えるようになること。

今日はリーファに少し純魔の魔力をあげたけれど、大丈夫そうだった。


三日目


今日は変わらずスノウさんの攻撃パターンを把握できずにボコボコにされた。

その後にセラさんの座学を行った。

リーファは、座学は好きそうではなかったけれど、僕としてはこの世界の知らないことを知れるので、結構楽しみにしている。

今日はこの世界の魔物について。

上のランクの方々が相手するような大型なものから、滅多に人前に出ることのないような伝説の存在、そして魔物と定義していいかどうか分かっていないそんな神秘的な存在についても教えてもらった。


これは余談だけど、町はずれの湖で有名なドラゴンと遭遇したって話したら、ものすごく興味を持たれてしまった。

もうドラゴンのことについて、二時間くらい延々と語っていた。

勉強にはなったけど、ちょっと今日は頭が疲れた。


セラさんに話してしまったことを少し後悔してる。



四日目


左手でかく。

きょうはリーファにま力をちょっと多めにあげてみた。

右手をかまれた。


五日目


先日はニトさんがいなかったので、今日ようやく治してもらえた。

噛まれたといっても、犬歯がちょっと手に食い込んだくらいだ。

当のリーファはとてつもなく申し訳なさそうにしていたが、正直あまり気にしていない。

リスクを承知の上だった。

なので、多少の失敗くらいは僕も我慢する。

これから先の成果を考えるのなら、ちょっとくらいの危険はつきものだからね。


六日目



失っぱいを許したけど、かむのを許したおぼえはない。

なんであの子は暴走するとぼくにかみついてくるの?


七日目


とりあえず、リーファが暴走しないように与える魔力を制限しながら訓練を続けていこう。

空いている時間に、リックさんから剣とナイフの扱いを受けたけど、正直、ものすごく分かりやすいので僕達としてもやりやすかった。


が、その一方でスノウさんにまたボコボコにされた。

未だにこの人に魔法を使わせていないことに軽く危機感を抱くが、それほどまでに僕達と彼女の実力は離れているということなのだろう。

目下の目標は、彼女の攻撃に完全に対応することだ。


避けれぬなら、避けれるまで繰り返す。

まさにそんな訓練を延々と続けていた僕とリーファ。

リーファは持ち前の反射神経で対応できるようになってきたけれど、彼女ほど感覚が鋭くない僕はスノウさんの繰り出す攻撃のパターンをひたすらに学習するしかなかった。


ちくしょう、まだ攻撃パターンが覚えられない。

お世辞にも記憶力がいいわけじゃないから、駄目だ。肝心な時に頭からすっぽ抜けてしまう。


こうなったら、下手なことは考えずにやってみるか?


―――って思って、やってみたらものの見事に吹っ飛ばされてしまった。

脳筋だけじゃやってられない。

僕には、もっと人並外れた感覚が必要だ。


八日目


突き、右薙ぎ、掌底、蹴り、突き、左薙ぎ

右薙ぎ、突き、叩き、蹴り、足払い、右薙ぎ

三連突き、膝蹴り、掌底、殴り———


九日目


復習用パターン表記(簡易版)


 中右殴蹴左

 右中上蹴脚右右

 中中中蹴殴殴

 上下右中左前殴上下

 右右上中中中左上下殴蹴

 中左右下右左回左回左回

 上上下右右左殴蹴中中

 右左右左下蹴蹴殴

 上上上右左中蹴殴蹴殴

 ……

 ……

 ……


十日目


リックさんに「お前ら目が死んでる」と言われ、急遽訓練内容をセラさんの講義に変更。

僕達の様子を見たセラさんにドン引きされながら、今日は魔物と使い魔の関係性について学んだ。


でも頭からコンボチャートが離れない。

そうだ。

今からリーファと一緒にパターン表記を作ろう。

なんだか楽しくなってきた。


十一日目


昨日の僕達はどうかしてた。

傍目から見れば、虚ろな目でひたすらにスノウさんの攻撃パターンを表に記しているという、中々にホラーな光景だったという。

その現場を見てしまったメルクさんとライラにドン引きされてしまった。


今日はリックさんに剣とナイフの扱いを教えてもらった。

現場で鍛えられた叩きあげの剣技と称した彼の剣術は、型に嵌っているようで嵌っていない自由なものって印象を抱いた。

なにげに、リックさんの訓練が一番分かりやすかった。


明日はスノウさんとの訓練だ。

もう一度、攻撃パターンを頭に叩き込まないとな。


十二日目


あれ? なんで攻撃に対応しようとしてるんだっけ?

むしろ、こっちから殴りにいけばいいんじゃね?


十三日目


攻撃は最大の防御って考えた人は天才だと思う。

後手に回るから僕は攻撃を受け続けていたんだ。

わざわざ攻撃を受けてばかりいるから、相手が攻撃してくる。

つまり、こっちから攻撃すれば、それだけ相手が攻撃する機会も減るということだ。


もしかして僕はあれか?

天才なんじゃないのかぁ?


十四日目


攻撃が当たらない問題。




セラさんに泣きついたら、スノウさんは攻撃より防御の方が得意な人らしい。

なにそれ反則。

今日はセラさんに、魔力の応用について学んだ。

テイマーにとって、魔力を使い魔に与えることは基本的な技術らしい。

なので、どんな状況でも魔力のやり取りができるよう、魔力によるコントロール技術は身に着けるべきとのこと。


魔力の扱いには様々な技術があるらしい。

まだ僕達にそれを教えるのは危険らしいので教えてはくれなかったけれど、いつかは覚えてみたいものだ。


十五日目


リ ー フ ァ 大 暴 走 事 件 勃 発


荒ぶるリーファVS使い魔フル装備僕


昨日の訓練の影響でうっかり魔力を多くあげてしまったせいで、訓練場で僕と暴走リーファのガチバトルが始まってしまった。

リックさんとスノウさんは「丁度いいから戦ってみろー」といった軽いノリで、絶賛襲われている僕にゴーサインを出していやがった。

なんとかシフの肉体強化と、ロープ状にさせたライムでリーファを大人しくさせたが、本当の本当の本当に大変だった。


一番納得いかなかったのは、暴走から目覚めたリーファが心なしかスッキリしたような顔をしていたことだ。

いや、僕のせいなんだけども。

でも三回くらい噛みつかれたのは根に持つことにする。


十六日目


先日の暴走により、幾分か魔物としての力を扱うコツを掴んだリーファ。

昨日よりも長く自我を保ったまま、魔物としての側面が現れた姿……そういえば名前決まってなかったな。


魔物としての力を現した姿だから、魔物モード?

いや、この際、ビーストモードって感じでかっこいい感じに名付けよう。

シフとリーファにも聞いてみよう。




やんわりと断られてしまった。

解せぬ。

その代わり、出てきたのは純魔覚醒か純魔転身っていう名前。

負けた。

ネーミングセンスでリーファに負けた。

君がナンバーワンだ。


徐々に思考が汚染されていく主人公でした。


では次回、後編に続きます。


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― 新着の感想 ―
[一言] >復習用パターン表記(簡易版) 弱殴・弱殴・左・弱蹴・強殴 「一瞬千撃。死ぬ気で避けろ!!」と血文字で殴り書きされている…
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