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意外なテスト結果

しばらく学園生活的な内容が続きます

メイ・ホリデーは色々とあって休んだ気がしないけれど、ともかくテストは無事やり遂げたので良しとする。

そのメイ・ホリデー明けのテスト結果は掲示板に貼り出される。今日の昼休みに貼り出されるというので同じクラスのセージ王子と確認しに行って驚いた。



「ブライトが3位・・・?は?」



私も開いた口が塞がらない。自分の順位が気にならなくなるくらいの衝撃だ。

ブライト王子はストーリーでは下から数えた方が近い順位を連発してしまい、王家への忖度が行われた結果、結果が貼り出されなくなるなるという小話があるのだ。それなのに3位?



「は、フリーズしてた。スカーレットは1位だね。おめでとう」


「セージ王子も2位ですね。おめでとうございます」


「はー・・・それにしても3位か・・・」



とりあえずここにいても仕方ないので食堂に向かう。一応、昼食は他の学校と交流できるようにはなっているけれど行き来して食べてと忙しいので各校にある食堂で食べる人が多い。テイクアウトも出来るようになっているから他の学校の子と食べるときはそれを利用するような形だ。

さて、そんな食堂内もテスト結果の話題で持ちきり・・・とまではいかなかった。まあ、知らない人たちからしたらブライト王子が3位でも別段驚くようなこともないんだろう。

ただ、私たちより先に来ていたブライト王子の横は女の子たちで埋められていた。


それを見てセージ王子は苦笑している。



「頭もよくて見た目も完璧ならああなるよね。僕は本日の肉料理にしよ」


「そうですね。私は本日の魚料理にします」



それぞれ注文して札を受け取る。あとは席に着いていれば持ってきてもらえるので適当な空いてる場所を探していると少し離れたところで ジェイムズ様が手を上げていた。空いてるから来いということだろう。セージ王子とジェイムズ様の近くに行くと座ってとエスコートしてもらったので遠慮なく座らせてもらう。



「こんにちはジェイムズ。今日は女の子は一緒じゃないんだね」


「こんにちはセージ王子。みーんな君のお兄さんに取られちゃったよ」



確かにあの長机だけ女の子が密集している。まあ、 学園に通っている女の子は跡継ぎになる子たちばかりなので本気で付き合いたいとか結婚したいとは思っていないだろう。アイドルに集まるファンのようなものだ。それが分かっているからか誰も顔をしかめることもなく苦笑してその机の前を通りすぎるだけだ。



「ブライト王子って勉強できたんだ?知らなかった」


「僕も驚いてるとこ。ここのところ部屋に籠ってるなとは思ってたけど」


「スカーレットちゃんが原因かな」



よっぽど困った顔をしてしまったのかジェイムズ様は冗談冗談と言って両手を上げた。



「侯爵家以上の子どもは皆びっくりしてるみたいだよ。まあ、最近は大人しくなったけどやっぱり暴君のイメージは強かったからね。っと王族の方の前で失礼だったかな」


「いいよ。事実だし」


「懐が深いね。あ、これでブライト王子の人気が出れば女の子との出会いがあってスカーレットちゃんのこと忘れてくれるかもよ?」


「えー?どうだろ?」


「あり得ない話じゃないと思うけど。この話が広まれば公爵家や侯爵家の女の子たちのブライト王子を見る目が変わるかも。こっちの学校の子は跡継ぎの場合が多いから無理としてもセイントリリーの子なら本気になる子もいるだろうし・・・出待ちとかあったりしてね」


「ブライト王子もですけどセージ王子も出待ちされそうですね。さっきご自分で見た目も頭も完璧なら囲まれるというようなことをおっしゃってましたし」


「いじめないでよ。僕はああいうのは苦手なの。・・・それに、

待たれるならサファイアだけがいい。あ、でも待たせるのは可哀想だから僕が出待ちするべきか・・・」



相変わらず一途でホッとする。恋愛ってこういう甘酸っぱい感じがいい。

ジェイムズ様はニヤニヤしながら『ふーん』と呟いた。



「サファイア嬢はほとんど話したことないけど綺麗な顔してるよねー・・・」


「サファイアに手を出したら千切るよ」



好きな子を狙おうとするような発言をされたセージ王子の機嫌が悪くなる。

ジェイムズ様は可愛いとみるとコレだからヴィクトリア様が怒るのだ。私としても彼の節操の無い美少女好きは控えていただきたい。ヒロインとかかわり合いになりたくないので彼女を見初めないでくれというのが本音だ。



「セージ王子に千切られるのは嫌だなあ。スカーレットちゃんになら有り」


「さすがに引く気持ち悪さだね君」


「セージ王子ひどいな。そもそもそんなに怒るくらいなら告白の1つや2つしたんだろうね?」



ダメージを受けたセージ王子が突っ伏して動かなくなった。まだ会話も長続きしないのに告白なんて夢のまた夢なのは本人も分かっているから余計にダメージが大きいんだろう。



「嫉妬するのは付き合ってから、ね?」


「それを是非言って欲しい相手が私にもひとりいます」



もちろんケビンのことだ。そんなこと知るよしもないジェイムズ様は分かったと言いたげな表情をして「ブライト王子でしょ?」と小声で言ってくるけど全然違います。



「彼はちょっとなー。なーんか、暴君のときより今の方が底が知れなくて怖いから関わりたくない」


「・・・はあ。それは私もですよ」



ブライト王子の様子が私の知ってるものとは違ってきた。それを『素敵』ではなく『怖い』と思ってしまうのはどうなるか分からなくなるのが怖いから。私自身がどうなるかもだけど、家族に迷惑がかかるような事態にはなって欲しくない。

そう思ってるとセージ王子がポンっと肩を叩いてきた。



「ブライトがもし、食えないやつだったとしてもフェイバー公爵もシュプリーム侯爵も焼いて食べちゃうような人たちだから心配することないよ」


「・・・私だって次期当主候補なのに何とかしてもらってばかりいるのは・・・」


「真面目だなあ。まだ候補なんだしあの人たちだって頼ってもらった方が嬉しいよ。それに痴情のもつれは本人達だけだと解決できないって」



気にしない気にしないと私の背中をぽんぽんと叩くセージ王子。その頼れる感じは私にじゃなくてサファイアに出して欲しい。



「それはスカーレットちゃんじゃなくてサファイア嬢にするべきなんじゃない?」


「出来たら苦労してないよ。スカーレットはもう妹みたいなもんだからいいの」



久しぶりに真っ当な『妹』っていう響きを聞いた気がする。ケビンの『妹』はその中に色んな意味がありそうで微妙な顔になってしまう。好意を分からせないための隠れ蓑にしているだけの言葉に聞こえてしまうからだろう。



「・・・恋ってめんどくさいです」


「うわー枯れてるねえ。それとも天使ちゃんだからかなー」


「天使ちゃんはやめてください副会長」


「スカーレットって結構恋愛に関してネガティブだよね~。ブライトのせいなら謝るよ」


「謝ってくださらなくて結構ですよ」



恋愛のせいで散々な目に合うのは真っ平ごめんなのだ。だからこそ、ケビンへの回答はのらりくらりとかわしている。私は来年起きるであろう修羅場を回避するまで恋愛するつもりはない。



「・・・ないはずなんですけどね」



幸い、漏れた呟きは恋愛観で 盛り上がり始めたふたりには聞こえなかったらしい。

最近ケビンのことを考えることが増えたせいで自覚したがケビンを前にするとドキドキする。たぶんキャラクターにときめいているというのとは別の感情だと認めなくもない。

それで気がついたのだけど、ケビンは私に触れていてもあまり照れている様子がない気がする。普通、好きな子に触ったらもう少し恥ずかしかったり照れたりするものなんじゃないんだろうか。

・・・本当にケビンは私を『女の子』として好きなんだろうか?彼の過去の闇は根深いのでただ離したくないだけ色々としてるだけかもしれない。

こんなことを考えてしまうのは私が可愛くない性格をしているからってことになってしまうのかなあ。



「スカーレット、ボーッとして大丈夫?」


「・・・テスト疲れですかね」



しばらく考え込んでしまったらしい。覗き込んでくる2人に大丈夫だと返事をして残りのランチを口に運んだ。





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