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閑話13 参謀と皇太子

叔父様がやたらとベタベタしてた理由。

呼び出した相手が来たというので専用の執務室に行くと彼は長い足を組んで楽しそうに笑っていた。



「アルフレッド、急に呼び出してごめんね?」


「いえいえ。ケビンが殿下に私を呼び出すように頼んだのでしょう?」


「そう。君の思ってた通りになったわけだ」



アルフレッドがスカーレットを構い倒していて全然スキンシップが取れないから呼び出せだなんて皇太子にするお願いじゃないとは思うけど、親友の恋路を手伝ってあげるくらいの懐の深さはあるつもりだ。まあ、今回は目の前の男が仕組んだことだけど。



「ケビンを焚き付けるためとはいえ、私も少々やりすぎたかなと思っています。まさかこんなに堪え性が無いとは・・・。そのせいでスカーレットのドレスを新調できませんでした」


「君は姪っ子たちにお金を費やすのをそろそろやめるべきだと思うよ」


「残念ながら私の趣味は姪ですので。楽しみに散財しなくて、いつ使うんですか?」


「だから結婚できないんだと思うよ」



アルフレッドが持ってきたお土産を前に目を輝かせていた妻と子どもを思い出してつい苦い顔になる。あり余る金と持ち前の行動力の使い道がほぼ姪なのが彼の最大の欠点だろう。

シュプリーム家の今後のことを考えたら姪を可愛がるのは少し押さえて将来の伴侶を見つけて欲しい。



「私がその気になればいつでも結婚できますよ」


「うわ最低」


「なんとでも。事実ですから」


「うわあ・・・」



まあ、確かに紅茶を飲む姿も様になりすぎているシュプリーム次期当主は確かに本人の言うとおりいつでも結婚できるだろう。


「姪コンプレックスさえなければね」


「なんですかその姪コンプレックスって。私は身内を可愛がってる心優しい叔父様なだけです。やめるつもりはありません」


「残念なイケメンって君のことを言うんだと思う」


「スカーレットがフェイバー家を継いでくれればシュプリーム家として堂々とスカーレットに貢げますからね。さっさとあのバ・・・失礼。ブライト王子が周りを飛び回らないようにして欲しいんですよねえ」


「姪たちにお金をつぎ込むことを貢ぐっていうのはやめるべきだと思うよ」


「安心してください。殿下の前でしか言いませんから」


「なにが安心できるのか全く分からないけどね」



フェイバー家の3人娘はこの変人のどこを見て『素敵な叔父様』だと思っているんだろう。



「まあ冗談はこのくらいにしておきましょうか」


「どこからどこまで冗談なの」


「ははは、想像にお任せしますよ。それで、殿下にはこれからしていただきたいことがあるのですが」


「はいはい。親友の恋路のために君を頼った5年前の自分を殴りたいね本当に。それで?僕は何をすればいいのかな?」


「特別なことは何も。明後日スカーレットたちが陛下に挨拶に来たときに上手く立ち回っていただければ」


「上手く、ねえ?」



ブライトをスカーレットに会わせないようにしろということを言いたいのだろうけど今回は父上たちが手を打っている。ブライトにはスカーレットが来ることは伝わっていない。セージもブライトの相手をしてもいいと言ってくれたのでどこかから漏れることがなければ自分の出番はないだろう。

それはアルフレッドも分かっているはずだ。しかしアルフレッドから出た言葉は予想と180度違うものだった。



「あのバ・・・失礼。ブライト王子をぜひスカーレットたちの前に連れてきて欲しいんですよ」


「・・・どうしてわざわざ?」


「ご自分がスカーレットから邪険にされているのに少しも気がついていないようなのでケビンとの扱いの差を実際にじっくりと見て思い知ればさすがのバ・・・失礼。ブライト王子も気がつかれると思いまして」


「ブライトが見ただけで気がつくと思う?」


確かにスカーレットはそれが恋愛感情から来るものなのかは分からないけど、 ケビンのことを大切にしている。 傍目にも分かることなのだけど恋愛ボケしてるブライトはあまり気づいていないらしい。気づかないようにしているだけかもしれないけど。



「そこを上手く指摘してあのバ・・・失礼。ブライト王子に気づかせる役をお願いしますね」


「もうバカって言っていいよ。あいつ、僕のことを尊敬してくれてるのはいいんだけどバライトって言っても気づかないし。基本盲目なんだろうね」



仕方のない弟を持つと苦労する。まあ、ブライトにもスカーレットのことは諦めて早くいい人を見つけて欲しいとは思うからアルフレッドの計画には乗ってもいいけどね。



「分かったよ任せて。でも、アルフレッドにしては確実性の低い計画だね?」


「あまり賢いとは言えない相手に練りすぎた策は逆効果ですから。追い詰めすぎて予想もつかないことをされるのはごめんです」



では、お願いしますねと言って颯爽とアルフレッドは帰って行った。さて、とりあえずケビンに明後日はスカーレットちゃんと絡むのをそこまで我慢しなくていいという手紙を書かないと。それにブライトにスカーレットちゃんが来るということを知らせるにはどうするか。やることは山積みだ。



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