表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/103

大団円を目指すには障害が多すぎる?

更新が開いてしまってごめんなさい!

昨夜のお姫様抱っこが話題になっていたら嫌だなと思いながら登校したものの、そんなことは無く若干拍子抜けだった。学期始めで皆噂話をするような余裕もなかったのかもしれない。


今日は今後の学校生活の流れなどの説明を受けそれぞれ自己紹介をした後、解散となった。荷ほどきに時間がかかる生徒が多いという配慮もあるのだろう。昨日のうちに終わってしまっている私は暇な時間が出来てしまった。部屋に戻ってきて、本でも読もうとしているとガーネットがぽんっと手を叩いた。



「スカーレット様、荷ほどきも早く終わってしまってお暇でしょう?」


「そうですね」


「スティナー様とサファイア様をお呼びして即席のお茶会などどうでしょう?」


「いいですね。確かふたりももう終わっていると言ってましたし」



同じ階の両隣にいるふたりを呼びに出ていったガーネットが二人をつれて戻ってくるのに5分もかからなかった。各階に備え付けのキッチンがあるとのことでガーネットがそこで色々と準備をしてくれた。



「スカーレット、招待してくれてありがとう。することがなくて困ってたの」


「本当に。新学期の始まりは毎年こうだから暇で暇で仕方なくて・・・」


「私もすることがなくて困ってたんです。来てくれてありがとうございます」



お互いにくだけた挨拶を交わすとお茶をいただく。お昼までまだ2時間はありそうだった。



「授業が始まってしまえば逆に忙しいのだけれど、1週間はこんな感じね」


「そうなんですか」


「長い感じがするね。お散歩くらいは行きたいなあ」


「専用の庭があって申請すれば使えたはずよ。今日にでも申請しておくから明後日行きましょうか。この時期なら空いてるでしょうし」



憩いのスペースとして整えられているのだという。デートにも使われるとかで何か起きないように申請が必要なんだとか。というか、学園内でデート・・・まあするか。学生だし婚約者と親睦を深めたりするということだろう。



「明後日?」


「明日は委員会決めの日だって話があったでしょう?その後、各委員ごとに1度集まるのよ」


「委員会・・・やだな」


「そうは言っても王族と公爵家は3年間の内1回は絶対生徒会に入らないといけないんですよね?」



生徒会は生徒からの要望を聞いたりイベントなどを執り行うのが主な活動で各学校共同の委員会だ。委員会にはその学校内だけのものと学園内にある全部の学校共同のものの2種類あって共同なのは生徒会、図書委員、園芸委員の3つだ。



生徒会は初めは王族と公爵家なら皆なるという決まりはなかったらしい。なんでも王族を一目みたいという生徒からの要望から最初は王族だけに適用されていたものが何年か経つにつれ、公爵家にも適用されるようになったんだとか。ゲームではスカーレットは2年生のときにブライト王子と生徒会に所属していた。それなら1年生の内になってしまっておいた方がいいだろう。会長はともかく平役員は公爵家ならほぼなれるらしいし。



「私、今年のうちに生徒会に入ってみようかなと思います」


「スカーレットがいる年に私も生徒会に入っておこうかな・・・スティナーは去年やったの?」


「いいえ。どうしようか悩んでいるところよ」



ブライト王子が入るか入らないかによって決めるつもりなんだろうか。私がブライトルートを避ければ避けるほどスティナーはブライト王子に惹かれている気がするから。スティナーにはブライト王子を選ばずに幸せになってもらいたいと思っているけれどどうしたものか・・・。いくら考えても答えは出ない。自分の幸せを願うと誰かが不幸になるかもしれない。その相手が親友だという事実に気づいたときから、何度スティナーの軌道を修正しようとしても、彼女はブライト王子が好きらしい。そもそも、彼女の幸せを私が決めるべきではないのか・・・。頭を悩ませる私を他所に会話は進んでいく。



「・・・セージ王子はどうするのかな・・・」


「聞いてみたらいいじゃないの」


「学校も違うし、今日はもう寮でごはんを食べるようになるから会うこともないし、会ったところで聞けないよ・・・」


「手紙を書いてみたら?手紙のやり取りは従者を通じてできるわよ」


「て、手紙!?」


「『私とスカーレットは生徒会に入るつもりですけどブライト王子とセージ王子はどうなさるんですか?』って聞いてみたらいいじゃない」



スティナーも聞きたいところなんだろう。ただスティナーから聞くには学年が違うから少し不自然だからサファイアに聞いてもらいたいといったところだろうか。



「う、うう・・・が、頑張って、みる」



手紙を書くと言ってサファイアが部屋に戻っていきスティナーも夕食前に家に手紙を書きたいと部屋に戻った。私はため息をぐっと堪えて紅茶でそれを流し込む。本編が始まる2年生までに大団円に持ち込みたいものだけどなかなか難しいかもしれない。


それに、ブライト王子が本当に性格が矯正されたとは思えない。昨日のケビンへの態度からそう感じた。何とか表面上隠してるだけなんじゃないだろうか。それならまだまだ引っ掻き回して来る可能性もある。この1年で見極める必要がある。



「前途多難ですね」


私の呟きを聞いたガーネットは片付けの手を止めて首を傾げる。大丈夫よと答えて私はどうするか考えることに集中した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ