叔父様から提案
あの日から叔父様の甘やかしとおじい様の当主になるためには何をどうするべきかという話が日々続いている。どっちもありがたいけどまだレイチェル様は判断中だからおじい様の勇み足は怖い。最近の癒しはおばあ様とお馬さんに乗っているときだけだ。
「・・・」
「ごめんなさいねスカーレット。二人ともこうと決めたらとことんなの」
「おじさまが かわいいって いってくれるのは うれしいですけど いろいろ くれるのは ちょっと こまっちゃいます」
ここに来たときの倍以上になった荷物を前にブライアンとガーネットが困り果てている。
「なんだか もう おじいさまの いえに いたほうが いいような・・・はっ」
これがお姉様たちが言っていた『この家の子になる』って言いそうになる事件の正体・・・!居心地はもちろんだけど日々増えるプレゼントを前にしたら帰るのが億劫になる。
「アルフレッドの前では言わない方がいいわ。あの子本気でこの家の養子にしかねないから」
「おじさまは こわいひと なんですね」
「そうね~」
最近は3周してから降りるようになった。スザンナさんに手伝ってもらってお馬さんから降りる。おばあ様はまだ乗っていると言うのでお部屋まで戻ると部屋の前で叔父様が待っていた。
「楽しかったですか?」
「はい」
「それはよかった。実はスカーレットにいい話があるんです」
「なんですか?」
「それは後で。着替えたらティールームに来てくださいね」
私の頭をよしよしと撫でて叔父様は中に戻っていった。 スザンナさんはその様子を見てため息を吐く。
「アルフレッド様は相変わらずルティシア様のお子様たちに御執心で困りますね」
「おじさまは けっこんは されてるんですか?」
着替えさせてもらい髪を整えてもらいながら聞いてみるとスザンナさんは首を横に振った。
「ルティシア様が理想なんですって」
「わたしも おとうさまが りそうなので きがあいそうですね」
「お二人とも難儀ですね。さ、出来ました。ティールームへ参りましょう」
スザンナさんとティールームに行くと叔父様がにこにこと扉まで近づいてきて私をエスコートしてソファに座らせると彼は隣に座って長い足を組んだ。
「さて、それでね。これ」
「なんですか?」
「サファイア様からの手紙」
「!」
「彼女のお父様に会う機会があってね、今スカーレットは家にいるって話したらこの手紙を渡してくれって頼まれたんですよ」
「・・・よんでいいですか?」
「どうぞ」
この前とは違うけれど相変わらず可愛いレターセットだ。手紙には私の体調を気遣う内容が始めに、その後はまた遊びたいということが書いてあった。
「・・・サファイア、しんぱいさせちゃってますよね」
「目の前で倒れちゃったって聞いたよ・・・そうだ、それならここにサファイア様に来てもらいましょうか」
「いいんですか!?」
「はい。と、言っても屋敷の中は僕の自由にはならないのでガーデンの方にしましょうか。この屋敷の庭でオススメのところがあるんですよ」
サファイアが心配してるかもと気になっていた。公爵家が落ち着くまでは遊びに来てもらうこともできないと思ってたので叔父様の提案はとても嬉しい。
「おじさま、ほんとうに、ほんとうに、いいんですか?」
「ええ」
「ありがとうございます!!」
嬉しさのあまりぎゅっと叔父様に抱きつくと叔父様もぎゅっと抱きしめ返してくれた。サファイアが遊びに来てくれるの、とっても楽しみだ。




