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今更用とかありますか?(解決編4)

解決編が大変長くなりそうです。

チャーリー・ステファンはステファン侯爵家・・・ケビンの生家の次男で若い令嬢の中では可愛らしい顔をしているとそこそこ人気らしい。面識もないし見かけたこともないのでどの程度かは分からないけれど数か月前に侯爵家を継いだダニエルと一緒に陛下へ挨拶に来たということで少し話をしたというエレーナお姉様から聞いた話によると「顔『は』可愛らしいわよ」とのこと。口ぶりと様子から察するに何かあったんだろう。

全く接点のない彼に恨まれるようなことはないと思う。同性ならともかく異性だし年齢も10歳近く違うから何も比較されるようなこともはずだ。そんな彼が私に危害を企てる必要があるのだろうか。まあ、とにかく落ち着こう。急いては事を仕損じるって前世で習ったし実際そうだと思う。


「ごめんなさい。取り乱してしまって」


思わず投げ出してしまった書類を拾い上げて自分も椅子に座りブライアンとガーネットにも座ってもらい内容を読んでいく。3ヶ月ほど前からチャーリーはエリスに言いよっていたらしい。エリスは婚約者がいると断っていたようだがある日を境に2人で会うことが増えたらしくその頃からエリスの様子がおかしい日が続いていたことが書かれていた。2人にも見せるとブライアンは頷きガーネットは眉間に指を当て険しい顔をした。



「まあここまではよくある婚前の浮気話ではありますね」


「よくあるんですか・・・?よくあるんですか!?」


「兄さん!お嬢様は恋愛に夢を見ていらっしゃるんだからそういうことをあっさり言わない!」


「ははは。思い込みが激しい男性しか周りにいらっしゃらないのが良くないんですよ」


長い足を組みなおして微笑む美形を拝みたくなる気持ちをグッとこらえ続きを読んでいく。まあ、これがブライアンの言う通り「よくある浮気」だとしたらそれこそエリスが私にこんなことをする理由がない。私とチャーリーとはなんの関係もないのだし。


「よくある浮気だとしてそれが私が襲われた理由と何か関係があるんでしょうか」


「まあまあ。もう少し読んでみましょう」


「・・・そうですね。2人はよくステファン家で密会しておりその際チャーリーがエリスを『おどしている』様子があった・・・?浮気相手・・・いえ、チャーリー様には婚約者はいらっしゃらなかったはずなのでチャーリー様からすれば恋人ですか?そんな相手を脅す・・・?」


「まあ婚約者に関係をバラされたくなければ言うことを聞けと言い出す人間は多いですよ」


「ぶ、ブライアンは詳しいんですね・・・?」


「ははは。お嬢様は理由をよくご存じだと思っていましたが?」


「・・・こほん」



咳ばらいをして資料に目を落とす。資料によれば実はエリスは侯爵を継ぐ予定だったお兄様が養子に出されてしまったとかで急に次期侯爵になることになったたらしい。それを彼女は拒否し続けており、ケイシーとの婚約関係を維持していた。しかし、数日前にモーティリティ侯爵は強引にエリスを次期侯爵に指名しケイシーとの婚約を取り消したようだ。そのことは近いうちに発表する予定だったらしい。


「・・・取り消したのだとしたらあのときケイシー様が私に呼ばれたからとはいえ、いらっしゃるのはおかしくないですか?」


「確かにそうですね。発表前とはいえこのようなことを引き起こしたならその時点で言ってしまう方がケイシー様側からすれば被害が少なくて済みます」


「そうですよね・・・。うーん・・・それに割と疑問なんですが」


「なんでしょう?」


「あんな衆人環視の中、公爵家の娘に手を出すほど恨んでる割には私が軽傷すぎる点です」


そう、そこまでするほど私という存在のせいで追い詰められていたならもっと痛めつける方法はあったはずだ。確かに首を絞めるのは命に係わるが実際そこまで力が強かったかと言われると「ノー」なのだ。令嬢の細腕だからといえばそうかもしれないけれど私は同じ年代の中でも小柄で首も細い。本当に害そうと思えばできないことはないはず・・・。


「なんだか、私を害することが目的では無いような気がするんです」


「お嬢様はひどい目にあったんですよ!?」


「そうなんですけど、もしパヴェートと資料の通り本当にチャーリー様が今回の件に関係あるとしたらエリス様に私を襲わせるのは悪手です。エリス様が侯爵家当主になるかもしれないということは浮気をしている時点で分かっていたはず。それならエリス様をその気にさせて婿養子として侯爵家に入る方が得なはずですよね?ステファン家は落ち目ですしチャーリー様は跡継ぎではないからどこかに婿養子に行くことを狙うでしょうからすでに恋仲のエリス様を手玉にとってほどほどにお遊びになるくらいになさって出て来なければ良いと思うんです」


「お嬢様突然の本音をお仕舞ください」


「でもそうでしょう?出て来なければ良いは個人的な思いですがその前に関してはあまりおかしなところは無いと思うんです」


「まあ、確かにそうですが」


「ただブライト王子のことを引き合いに出して来てるのでどうなんでしょうね」


「自分の存在を隠すためにチャーリー言わせたのか、本当にエリス嬢がブライト王子との結婚を目指していてそれが様々な理由で叶わなくなり暴走したか他に狙いがあるのかになりますが・・・」


「あのぅ・・・」


「どうしましたナターシャ」


「ええっと・・・ステファン家は落ち目なんですよね?」


「没落するほどではないですよ。当主も代わって問題の多かった先代の頃よりは多少マシになっているようですよ。まあ先日かなり大きな損失を出したとかでまだまだ他の貴族からの目は冷たいようですが」


「これはあくまで私のそうなんじゃないのかなあという予想といいますか想像なんですが」


「はい」


「お嬢様を害することでケビン様を連れ戻そうとしているんじゃないのかなと思ってしまったりするのですが・・・」


後からブライアンに指摘されましたがこのときの私はものすごく無のほほえみを浮かべていたらしい。




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