91話 に、逃げなきゃ!
サブタイに悩む…
1940年7月中旬 東京 赤坂 秩父宮邸
【イギリスとフランスがソビエト連邦に宣戦を布告!】
それにしても、イギリスはソ連に宣戦布告までして、なんでまた事態を戦争にまで大きくしたのでしょうか?
局地的な戦闘、バルト三国での地域紛争で収めておけば良かったのにと思わなくもない。
戦争が大好きなガリポリの肉屋さんじゃなくて、穏健なハリファックス卿なら、自分から戦争を吹っ掛けるような真似はしないと思っていたんだけどなぁ。
見事に私の当てが外れましたね。
まったくもって、世界には不思議が満ち溢れているよ。
これはアレかな? ソビエト相手では絶対にブリテン島が落とされる心配がないから、余裕を持っているのかも知れませんね。
あと、大英帝国のリーダーシップ、国際社会でのイニシアチブを取り戻したいとか考えているのかな?
ドイツとの戦争によって、イギリスの面子と国際社会での立場を傷つけられてしまいましたもんね。
つまり、ハリファックス卿も由緒正しい立派な英国紳士だったということです。
フランスはよー分からん。イギリスの尻馬に乗っただけのような気がしますね。
でも、戦争って始めるのは簡単でも、終わらすのは難しいんやで。
だけど、これで恐らく、秋に開催される予定だった東京オリンピックはポシャった気がするわ。
それもこれも全部、バルト三国を併合しようと侵略した、欲の皮が突っ張った腐った豚野郎のソビエト連邦が悪い!
まったく、長門と陸奥でウラジオストックを艦砲射撃してやりたくなる気分にさせられるよ。
でもそのうち、イギリスから参戦要請がきて、本当にウラジオストックに艦砲射撃をやりそうな感じもしますね。
現在の日本の状況では、大英帝国様の要請は断りづらいだろうからなぁ。
私もローズとは仲良くしておきたいしね。
それに、大日本帝国陸軍の戦略は、基本的に北進論の一派が大勢を占めているのですから、この機に乗じて沿海州を占領することを目論みそうな気がしますね。
でも、ワンクッション置いたほうが良さそうな感じがしますね。
また私が一肌脱ぐ破目になるのかな?
あと、お父様に頼んで裏でコソコソと暗躍したほうが良さげですね。
それはそうと、イギリスが宣戦布告した理由が知りたいですね。
新聞の続きにちゃんと書いてあるかな?
まあ、大本営発表だとは思いますので、話半分、眉に唾を付けて読まなければいけないのですけど。
どれどれ……
【イギリス海軍広報部からの発表によると、バルチック艦隊との偶発的な戦闘後に、海に投げ出された漂流者を救助中の英駆逐艦をバルチック艦隊が攻撃!
イギリスはソビエト連邦のパリ不戦条約違反、ならびに今回の海戦法規違反を強く非難し、ソビエト連邦と戦争状態にあることを認め、正式に宣戦布告を通達するに至った。】 …とな?
なるほどね…… これが本当だとすれば、イギリスが怒るのも無理はないわな。
こんなことをされたら、私でもブチ切れる自信があるわ。
まあ、イギリスやアメリカもドイツのUボートが海難救助をしている最中に攻撃したりした前科があるのだから、目くそ鼻くその気もしますがね。
救助中に攻撃されたから、ドイツは以後、ほぼ救助をしなくなったんだから。
自国民を見殺しにしてでも敵艦の撃沈を優先するのは、戦術としては正しいのかも知れないけど、人道にはもとる行為だよなぁ。
まあ、戦争自体が端から非人道的で非文明的な破壊行為ではあるのだけれども、それはそれってことで。
【また、ソビエト連邦に侵略されているバルト三国の主権と自由と民主主義を守るためにも、自由主義世界の盟主としてイギリス連邦とフランス共和国はバルト三国を見捨てはしない。との声明を出した。
そして、駐イギリスのバルト三国大使との間で、英仏連合国とバルト三国との同盟を締結したことを発表した。】
……ポーランドやチェコは見捨てておいて、今更どの口が言うとか思わないでもないけど、大国の都合なんてこんなモノでしたね。
ドイツはソ連と不可侵条約を結んでいるけど、きっとイギリスとも水面下で話が付いているんだろうなぁ。
そうでないと、カテガット海峡を通って、ロイヤルネイビーがバルト海に入ることを、ちょび髭オジサンが許すはずはなさそうですよね?
なんといっても、バルト海はドイツの裏庭なんだからさ。
あと、自由主義世界の盟主って、たぶんアメリカへの当て擦りも含んでいるのだろうなぁ。
一石で三鳥の効果を生み出すような真似を平気でやってくるのだから、英国紳士は怖いんですよね。
さすがは、舌を三枚持っているらしい御仁は、やることにそつや隙がないですね。
翌日
【ロイヤルネイビーがバルチック艦隊を撃破!】
ガタッ!
「アカのおフェラ豚ざまぁぁぁーーーっ!!」
ねえねえ、日本海海戦に続いてバルチック艦隊を壊滅させられた気分って、どんな感じ?
せっかく再建したバルチック艦隊が、またもや海の藻屑と化したのって、どんな気分?
ねえねえ、今どんな気分なのかなぁ?
ぷぷぷっ、駐日ソ連大使にでも、今の心境を聞いてみたい気分ですね。
いま直ぐにでも、お悔やみ申し上げにソ連大使館に飛んで行きたい気分とはこのことだよ。
他人の不幸で今日も飯が美味い!
さすがは、天下に聞こえしロイヤルネイビーといったところでしょうか?
まあ、大陸国家の海軍に海洋国家の海軍が負ける道理はないのですがね!
たとえ、局地戦で一時的に苦杯を舐めることがあったとしても、最終的に海の上で勝利するのは海洋国家と昔から相場は決まっているのですから。
しかし、これでアカのおフェラ豚は半世紀近くは、まともな海軍力を整備できない気がしますね。
あ、半世紀後だったら、恐らくソビエトが崩壊しているのか……
そして、この世界線だったら、もしかしてもっと早くソビエト連邦という国家が消滅する可能性も、なきにしもあらずでしょうか?
西欧諸国や日本とかいった立憲君主制で、国王や天皇に貴族や華族がいる国と、キチガイの妄想から生まれた共産主義の国家であるソビエト連邦とは水と油、お互いに相容れない存在なのです。
だから、この地上からソビエト連邦という国は、さっさと消えてなくなってくれた方が世界の為というモノであります。
それに、共産主義は絶対に失敗すると分かってますし、早く崩壊してくれた方が不幸になる人も少なくなって、結果的には助かる命も増えることでしょう。たぶんだけれども。
……そうなるよね?
まあ、資本主義も資本主義で問題がないわけではないけど、それでも非効率な共産主義よりかはナンボかマシでしょう。
連綿と続く人の営みの中で、資本主義に代わる叡智を人類が編み出せてないのだから、きっと資本主義は最善とまでは言えなくてもベターな方法なのでしょうね。
「藤宮様…… 妃殿下に叱っていただきます」
「げっ!?」
そ、そんな、殺生なぁぁぁ! に、逃げなきゃ!
でも、ドコに逃げる?
そうだ! ご近所さんのダルマさん家に匿ってもらおう!
ガタッ!
「あ、逃げた! 藤宮様、お待ちになって下さい!」
待たぬでござるよ!
三十六計逃げるに如かずとか、孫子か誰か昔の偉い人も言っていることだしね!
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「ソビエト社会主ぎ共和国連ぽうの書記長である、同しスターリンにつぐ!」




