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宮様にTS転生したけど、第二次大戦が目前の日本で既に詰んでる気がする…… 作者:うるめいわし
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57話 液冷エンジン


 1939年9月30日 大阪 某ホテル


【ワルシャワが陥落! ポーランド軍がドイツ軍に降伏!】


 開戦からひと月と掛からずに、ワルシャワがドイツによって占領されてしまいましたか。やはり、ドイツ軍は強いですよね。もっとも、ポーランド軍が前近代的な装備と、前大戦型のドクトリンだったのかも知れませんが。
 ポーランド独立戦争時のソビエト赤軍が相手だった時には通用したとしても、近代化されたドイツ軍には通用しないんやで。

 でもまあ、ゲームでなら最短で二週間ぐらいでワルシャワを陥落させられるのだから、約一ヶ月掛かったということは、そこそこ粘った方なのかも知れません。


【独ソが友好条約を調印! ポーランドを独ソ両国で分割か?】


 なんだか腐臭が漂ってきそうな、友好条約のような気がしますね。スターリンからしてみれば、労働者の敵同士が殺し合ってくれているのですから、ドイツと不可侵条約と友好条約を結ぶのも悪くはないと思ったのでしょうね。
 ドイツもドイツで、これで後顧の憂いなくフランスをぶん殴れますし、このソ連との友好は必要だったのでしょう。

 まあ、この独ソの友好関係は、おそらくは史実と同じように、二年と持たずに崩壊する事になるとは思うのですけど。
 ドイツを信じていたのに、バルバロッサ作戦で裏切られた時のスターリンの顔を見てみたい気がしますね!

 きっと、パイプを手から落として、顔面を蒼白にして唖然としていたのでしょう。二日か三日、部屋に閉じ籠もって出てこなかったみたいな噂もありましたしね。


「桜子さん、そろそろ出発の時間ですよ」

「はーい!」


 さて、東京に帰りましょうかね。








 1939年10月 横須賀 追浜飛行場


「速いな」

「速いですね。戦闘機でも追い付くのには苦労するでしょう」

「これはもう既に、艦爆ではない気がするぞ」

「一応は、艦爆ですよ」

「なあ、いっその事、これを戦闘機に改造するのも面白くないか?」

「対爆撃機用のインターセプターであれば、面白そうな気がしますね」

「翼内に機銃を装備出来ればいいのだが、少し厳しいか」

「機首の機銃も7.7mmではなくて、12.7mmにしたいですね」

「対爆撃機迎撃用ならば、後部旋回機銃も12.7mm以上にしたいな」

「7.7mmだと、豆鉄砲ですからね」

「爆撃機は頑丈だから、7.7mmでは早々には墜とせんぞ」

「斜め上に20mmとか良いかも知れません」

「二人乗りだから、夜間戦闘機という方法もあるな」

「一人乗りで、夜間飛行は危険が伴いますので、良い案だと思います」

「そうであろう? しかし、ロールスロイス、マリーンエンジン、か」

「マリーンじゃなくて、マーリンですよ」

「マーリンは、言い難いんじゃ! 海軍機のエンジンなんだから、マリーンでも良いじゃろ!」

「マリーンは海兵とか海兵隊の意味じゃないですか。マーリンはハヤブサの一種の名前みたいですよ」

「なんだ、英語で鳥の名前だったのか」

「それに、日本名はアツタエンジンです」

「なんで、アツタなんだろうな?」

「さぁ? 愛知時計の工場が、名古屋の熱田の辺りにあるからなのでは?」

「でもそれって、安直なネーミングだよな」

「火星や金星に栄とか、覚えやすくて小官は好きですけどね」

「それもそうか」

「陸さんの、ハ何々とかでは味気ないと思いますし」

「ハ何々だと、型式の番号を間違えやすそうだしな」

「しかし、イギリスさんもよくもまあ、エンジンのライセンス生産を認めましたよね」

「それだけ、ドイツとの戦争が厳しいものになると予想しているのだろう」

「なんにせよ、ドイツではなくて、イギリスが友好国で助かりましたよ」

「ドイツはなぁ…… 技術力はピカイチなんだが、なんか好きになれない国だよなぁ」

「ナチスが政権を取ってから、ドイツはおかしくなりましたよね」

「まあ、ドイツ国民が選挙で選んだ結果でもあるのだがな」

「先の大戦の賠償に加えて、大恐慌で経済がガタガタにでもなれば、国粋主義者が幅を利かせるということでしたか」

「国粋主義者はなぁ…… 日本も一歩間違えれば、ドイツみたいになっていたような気がするぞ」

「戦争への坂道を一直線ですか?」

「ああ、二・二七事件とかあっただろ? あの対処を間違えていたら、その可能性もあっただろうな」

「国内の不満を外に向けさせるのは、常套手段ですしね」

「あと、国内の異民族や共産主義者とかが攻撃対象にされるな」

「アカには同情しませんけど、ユダヤ人には同情しますよ」

「ユダヤ人には同情しても、内地で悪さをする朝鮮人には同情しないのだろう?」

「悪事を働くのであれば、日本人でも朝鮮人でも同情しませんよ。でも、悪さをする一部の朝鮮人の所為で、真面目に働いてる朝鮮人までもが、白い目で見られるのは可哀想な気がしますね」

「常識人だな」

「小官は常識人といいますか、普通ですよ」

「仮に不況になった場合に、内地で朝鮮人が日本人の職を奪っているとしたら?」

「朝鮮半島にお帰り願います」

「まあ、そう考えるのが普通だわな。つまり、ドイツにとっての朝鮮人がユダヤ人だったのだろうよ」

「ユダヤ人がドイツ人の職を奪っていたと?」

「世界恐慌で、巷に失業者が溢れてそうなっていたのだろうよ。あと、ユダヤ人の経営者が人を雇うにしても、ユダヤ人を優先して雇っていたりしたとかだな」

「ユダヤ人は金持ちが多いイメージですし、経営者も多そうな気がしますね」

「不況で失業中のドイツ人の、不満を逸らす為のやり玉にされたりもしたのだろうよ」

「そういえば、アメリカでは日本人が低賃金でも真面目に働くから、アメリカ人の職を奪っていると言われて差別をされていましたね」

「新規のアメリカへの移民を禁止されたりもしてたな」

「でも、アメリカ人がやりたがらない仕事を、日本人の労働者がしているような気もするのですけど」

「不況でアメリカ人も仕事を選べなくなったんだろうよ」

「働かないとおまんま食い上げは世界共通ですしね」

「しかし、高い賃金を払ってストライキをされるよりも、安い賃金でも文句も言わずに働いてくれる人を雇いたいのは、経営者としては当たり前の感覚だと思うがね」

「水は高きより低きに流れるのと同じで、支払う金も高きよりも低きにですか」

「それが資本主義の原則だよな。しかし、多かれ少なかれ移民ではなくて、その土地に元から住む人間が優先されるということだ。まあ、当たり前のことだがな」

「そう考えると、イギリスの方が、ナンボかマシな気がしますね」

「大英帝国様は寛容なんだよ。分割して統治せよだ」

「それって、寛容と言えるのですか?」

「英国紳士的には、寛容なんだろうよ」

「植民地の現地住民を仲違いさせているだけの気がするのですけど……」

「だが、統治するには便利な手法ではある」

「イギリスの場合は、世界帝国の余裕ってヤツでしょうかね?」

「もう既に、落日の帝国の気もするがな」

「先の大戦で、かなり落ちぶれてしまいましたよね」

「だがそれでも、イギリスはイギリスで、油断ならない国ではあると思うが、日露戦争から先の世界大戦までは同盟国でもあったしな」

「再度の日英同盟は、あり得るのでしょうか?」

「またぞろ、アメリカが難癖を付けてくるはずだから、多分、日英の単独での同盟は無理だろうな」

「アメリカも意外と臆病なんですね」

「まあ、海軍力が世界二位と三位の国が同盟を組んで、太平洋と大西洋から挟みこむ格好になるのは、アメリカからしたら良い気分ではないわな」

「日本としても、イギリスとアメリカに組まれるのは悪夢に近いですよね」

「悪夢以外の何者でもないな。イギリスと友好が深まって助かったよ」

「そういえばイギリスでは、藤宮様の評価が高いらしいですね」

「色々とイギリスの援護射撃になるような発言をしていたからな」

「その見返りの一つが、このマーリンエンジンという訳でしたか」

「それもあるだろうが、イギリスだけでは生産が追い付かないのもあるんだろうよ」

「戦争は資源と物資を莫大に消費しますしね」

「その資源を押さえているのが、イギリスとアメリカなんだよなぁ」

「イギリスではなくて、ドイツと組んでいたらと思うと、ゾッとしますよ」

「ドイツと組んでも日本にはメリットが少なかったはずなのに、一時期はドイツ贔屓が多かったからな」

「あの一時期のドイツブームは、なんだったんでしょうかね?」

「麻疹みたいなモノだろう」

「それが今では、ドイツは準敵性国家ですからねぇ」

「ドイツと敵対したとしても、ドイツは日本には攻めて来られないから、いくら非難しても大丈夫だしな」

「大西洋とインド洋は、イギリスが支配していますしね」

「ドイツ海軍の再建は、潜水艦以外は難しいだろうから、ドイツは制海権を奪えないだろう」

「逆に言えば、イギリスやアメリカが敵に回った場合には、日本は東と西から攻められるとも言いますよね」

「アメリカとイギリスを敵に回すのは御免被る」

「小官も同じ気持ちです」

「おっ! 戻って来たぞ!」

「やっぱ液冷エンジンは、機首がスマートに見えて格好良いですね」

「その分、整備の仕方が空冷とは違うから、整備員が大変そうではあるがな」

「ええ、エンジンの構造を頭に叩き込ませないと、稼働率が悲惨な事になりかねません」

「高性能だとしても、飛べないのであれば意味がないからなぁ」

「そういうことですね」





 海軍航空技術廠 十三試艦上爆撃機 (仮)D4Y1 零式艦上爆撃機

 エンジン アツタ一一型 水冷V型12気筒
 遠心式スーパーチャージャー1段2速 1300馬力

 最大速度 562km/h/高度4000m
 航続距離 2800km(最大過荷重)/1580km(正規)
  全高  3.25m
  全長  10.28m
  全幅  11.60m
 翼面積  25.2㎡
 翼面荷重 174.6kg/㎡
  自重  2650kg
 全備重量 4400kg
 上昇力  4000mまで6分05秒
 限界高度 9600m

  武装  機首7.7mm×2各400発 7.7mm旋回機銃×1 679発
  爆弾  500kg×1 または、250kg×1 翼下に、30kg~60kg×4

  乗員  2名

マーリンエンジン搭載の彗星かな?
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