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宮様にTS転生したけど、第二次大戦が目前の日本で既に詰んでる気がする…… 作者:うるめいわし
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30話 チハたん!


 東京 秩父宮邸


「フフフンフンフン♪」

「藤宮様、ご機嫌ですね」

「まあねー」

「今度は何を描いておられるのですか?」

「じゃじゃーん!」


 桜子ちゃん特製、戦車の絵であります!

 これを、陸軍技術本部のお偉いさんに渡せば、日本の戦車技術の進歩も早まるというものです。
 というか、前にも同じパターンがあったような気もするけど、きっと気のせいだよね!


「戦車ですか?」

「うん、ヘッツァーと、チハたんだよ!」

「意味までは分かりませんけど、ヘッツァーはドイツ語ですよね?」

「猟犬とか、そんな感じの意味みたいだよ」

「猟犬は、ヤークトハウンドだと思いましたが、なんとなくヘッツァーの意味は伝わりました」


 そういえば、駆逐戦車で、ヤークトティーガーとか、ヤークトパンターとかありましたね。そうなると、このヘッツァーも自走砲ではなくて、駆逐戦車に分類されるのかな?
 自走砲は、フンメルとかだったかも知れませんね。

 まあ、細かいことはいいんだよ!

 ちなみに、ヤークトじゃなくて、ヤクートだと、ウラルとかシベリアの先住民族になっちゃいますので、そこんとこ間違わないでくださいね!
 私は、前世で間違えて覚えてたんだよ……


「それよりも……」

「それよりも、なにかな?」

「チハ…たん?」

「うん、チハたん!」

「チハ…… た…ん……」


 なんですか、その間は……?

 小さくて可愛らしいチハたんは、大日本帝国陸軍が誇る主力中戦車なんだぞ!

 チハたん、ばんじゃーい!








 東京 小石川 陸軍技術本部


「ほう? 戦車の絵ですね」

「恐れ多くも、藤宮様がお描きになった絵であらせられる」

「藤宮様がですか?」

「内密だぞ」

「了解しました。しかし、かなり詳しく注意書きがしてありますね」


挿絵(By みてみん)


「うむ。戦車開発に一石を投じることになるであろう」

「この絵を見ていると、そんな感じがしますね」

「うむ。75mm戦車砲を搭載した戦車は、まだドイツやソ連にもないであろうよ」

「57mmは九七式中戦車と同じですけど、短砲身はクソ!って、思いっ切り扱き下ろしてますよ」

「まあ、クソなのは事実なのだからしょうがない」

「それに、砲の漢字を間違えてますよ」

「まあ、子供が書いたのだから、それは仕方あるまい」

「意味は通じますしね」

「前面装甲が50mm以上だなんて、チハの倍だぞ」

「ですが、もう既に九七式中戦車の試作車両は完成しています」

「そうだったな…… この絵を一年前に見たかったな」

「量産体制も準備が整っていますので、さすがに変更するわけにはいかないでしょう」

「次期主力戦車と、戦車もどきに活用するしかあるまい」

「そうなりますね。ですが、アイデアとしては面白そうではあります」

「藤宮様は聡明であらせられる」

「じそうほうは、自走砲ということみたいですね」

「せん回しないと書いてあるな」

「旋回性能を省いて、簡素化した作りにしているみたいですね」

「だから、戦車ではなく自走砲なのだろう。75mmも野砲を流用するつもりなんだろう」

「自走させる野砲だから、自走砲でしたか」

「そういうことだろうな」

「75mm野砲は、三八式も九〇式も大量にあるから使いやすいしな」

「そうなりますと、所属は砲兵でしょうか?」

「戦車部隊が文句を言いそうな気もするがな」

「やれやれ、利権と縄張り争いですか……」

「まあ、その辺の運用に関しては、我々の仕事ではない分だけ気は楽だがな」

「軍務局に頑張ってもらいましょう」

「それだけの権勢は軍務局にはあるからな」

「しかし、40口径以上が良いと言われても、75mm×40mmですから、砲身長は3メートルにもなりますよ?」

「長いな。まるで軍艦に載せる艦砲と同じぐらい長いな」

「九〇式野砲でも、2,883mmの38口径ですし、三八式野砲では、2,286mmの31口径にしかなりません」

「仕方ない、そこは30口径以上で妥協するか」

「それにしても、また、漢字が間違ってますね」

「うん? そうか?」

「口径の径の字を経と書いてますよ」

「……藤宮様は、まだ御年7歳の子供なのだから、言ってやるな」

「小さな頃から誤字に気を付けないと、大人になってから恥を掻きますよ」

「気にしすぎるとハゲるぞ」

「ハゲは困りますな。それで、76.2mm砲なんて、帝国陸軍にはありませんよ?」

「ほれ、海軍から奪えと書いてあるぞ」

「なるほど…… 海軍さんの旧式の艦砲を流用すれば可能ですね」

「倉庫に何百門と埃を被って眠らせているのであれば、陸軍で活用するのも悪くはないな」

「ですが、海軍がすんなりと譲ってくれるでしょうか?」

「それは、心配には及ばん」

「と、申しますと……?」

「なんぞ、裏取引でもあったのか、76.2mm砲は陸軍に譲渡されるらしい」

「もしかしたら、スウェーデンのボフォース社製の75mm高角砲でしょうか?」

「なんぞ、知っているのか?」

「小耳に挟んだ程度ですがね」

「ふむ?」

「新たな75mmを餌にして、旧式の76.2mmを放出させたのならば、辻褄は合います」

「我が陸軍は、海軍のおさがりが回されたということだな」

「そうとも言えます」

「しかし、冶金技術は、海軍に一日の長がある」

「軍艦の建造や艦砲の製造で、年がら年中、鉄を弄ってますからね」

「だが、その海軍でさえ、欧米列強の技術水準には到底及ばない」

「悔しいですね……」

「悔しいかもしれんが、事実は謙虚に認めなくてはならん」

「冶金は技術の蓄積が大事ということですか」

「日本は列強の末席には座ったが、未だに後進国ということだ」

「天狗になって、欧米列強なにするものぞ! そう息巻いてる連中も多いですがね」

「どんなに粋がってみても、技術は嘘を吐かん」

「参謀本部の連中に聞かせてやりたい言葉ですな」

「うむ。それにしても、この自走砲は、えらく車高が低く描かれているな」

「戦車だと旋回砲塔の分だけ、車高が高くなってしまい、敵に狙われやすくなるみたいですね」

「的が大きくなるのだから、その可能性は否定できんな」

「だからこそ、砲を車体と一体型にして、なおかつ前方に持ってきているのでしょう」

「的が小さくなる利点は理解したが、旋回が出来ないことによる不利益は?」

「正面の敵にしか砲撃が出来ないことでしょう」

「つまり、待ち伏せや、防衛用の兵器ということか」

「一台ではなく、複数台を纏めて運用するのであれば、攻撃にも使えると思いますよ」

「ふーむ……」

「取り敢えず、九七式の台車を流用して試作車両を作ってテストしてみたいですね」

「藤宮様も、部品を共通化してコストを下げろと仰せだしな」

「では?」

「うむ。小官の権限で、チハの台車を何両か融通するので、それで試してみるとするか」

「さすがは、本部長殿であります。理解が早くて助かります」

「大和魂では、敵の銃弾は避けてはくれないからな」

「おっしゃる通りですな」

「うむ。それで、この試作車両は、自走砲のジを取って、ジロとでも命名するか」

「ジロですか? ジイを飛ばして?」

「ジイでは、せんずりになってしまうだろ」

「それは確かに…… マス掻きでは士気も上がりませんでしたな」

「そういうことだ」








 秩父宮邸


「チハたん……」

「うん、チハたん!」

「……ぷぷっ」


 ん? なにがおかしいんだ? コイツは侍女のくせして、チハを馬鹿にしているのか?

 チハぶつけるぞ! ごらぁ!

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