挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
宮様にTS転生したけど、第二次大戦が目前の日本で既に詰んでる気がする…… 作者:うるめいわし
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

28/58

29話 天皇陛下は言いました


 1937年11月 東京 青山 女子学習院 本科前期校舎


 大日本帝国臣民の皆様、ごきげんよう。女子学習院の本科に来ている桜子です。

 ……暇だ。勉強することがない。。暇を持て余しているといってもいいでしょう。

 女子学習院の本科とは、未来で言ったら小学校に該当します。それで、前期課程は4年で、小学一年生から四年生までの期間と同じですね。中期過程も4年間で、小学五年から中二までに当たります。後期は3年で、中三から高二ですね。
 その上に、高等科がありまして、これは2年間となります。短大みたいなモノですね。

 つまり、4・4・3・2の合わせて、13年という変則的な教育課程となっているのです。
 それ以外に、幼稚園が2年あって、この春までは私も、一応は幼稚園に通っていたのだ!

 つまり、この春からは、二度目の小学校一年生を体験しているというわけなのです。
 もっとも、入学する前に欧州へと旅立ってしまったので、書類上は在籍しているけど、実際に通い始めたのは帰国してからなのですがね。でも、幼稚園からの内部入学組が半数以上いますので、けして、一人ぼっちとかではないのですよ?

 前世での、6・3・3・4制に慣れていた身としては、いささか戸惑っているといったところが、正直な感想でしょう。





「天のうへい下は、玉音でこういいました。赤石山には金がある!」


 ん……?


「それをきいた竹中村の大男は、足早に赤石山へとむかいました」


 竹中村と赤石山ってドコだよ?


「天のうへい下は、玉音でこういいました。ぞう木林には、大きなかぶと虫がいる!」


 カブトムシやクワガタって栗の木が好きなんだっけ? 忘れてしまったなぁ。


「目立ちたがりの男の子は、学校を休んで、かぶと虫をつかまえようと森に入っていきました」


 学校をズル休みしたら、あきまへんがな……


「天のうへい下は、玉音でこういいました。月火水木金土日、まい日まい日、糸車をまわせと」


 糸車を回せって、ガンジーみたいな気がしますね。


「女の子は、糸車をまい日まい日、百かい千かいとまわしました」


 なんという、野麦峠……
 それにしても、なんだか、この朗読には聞き覚えがある気がしますね。


「つかれて、石にすわって休んでいると、女の子の目の先で虫がたく山とんでいました」

「女の子は、こわくなって目をつぶりました」


 目の前で虫が沢山飛んでいたら、そりゃ怖いだろうね。


「耳をすませば、右の森からざわざわと音がきこえてきます」

「木や草の音でしょうか? それとも、川の水の音かもしれません」


 ふむ、ちゃんと文章が繋がっているのか。


「女の子は、ゆう気を出して目をひらけば、足下の土には文字をかいたような、水玉もようがうかんでいました」


 うん? どういう状況なんだ?


「女の子は、手を出してみると、水にぬれました」

「青い空を見上げれば、天から雨がふってきました」


 あー、なるほどね。


「女の子は、あわてて犬の五十六と一しょに林へと足をむけました」


 五十六って…… 山本?


「しばらく林で休んでいると、雨は上がったみたいでした」

「赤い夕日がとてもきれいだとおもいました」

「六じのかねの音が貝田の町からきこえてきました」


 貝田町ってドコにあるのでしょうかね?


「どーん! という音で空を見れば、花火が上がっていました」

「よ空には、三日月のお月さまが見えました」


 花火もお月様も綺麗なので、その光景が目に浮かぶような気がします。


「三左、おぬしは文字がよめぬから、上人にだまされておるのに気づいてないのだ」


 いきなし、話が飛んだな。それと、三左? 森蘭丸のお父さんの、森三左衛門可成ですかね? それに、上人って本願寺顕如? 坊主は口が上手いから、三左もコロっと騙されたのでしょうね。
 織田家と一向宗の争いの元は、こんなところにあったのか…… そりゃあ憎しみ合うはずだよ。


「王さまの耳はロバの耳という名まえがついているのじゃ」


 なんで、そこでロバの耳が出てくるんだ?


「こうして一休さんは、学びの大せつさを、年はもいかぬ子どもたちにおしえてくれたのです。おしまい」


 語り部は一休さんだったのか!
 でも、年代も洋の東西もあべこべの気がするのですが?

 誰だ、こんなデタラメな教科書を書いたのは!





 私でしたよ……

 昨年のある時期に、来年入学する女子学習院の本科一年生で習う漢字のみで、文章を書いてみたくなって、思わず作ってしまった駄文だったよ。
 多少の抜けがあるとは思いますけど、一年生で習う漢字をほぼ網羅していると、自負する出来ではあるのです。

 だがしかし!

 なんで、教科書になんかなっているんだ?
 アレは暇つぶしの手慰み、遊びで書いたモノなんだぞ!

 書き散らしたら満足して、すっかり忘れていたのに、まさかこんな形で再開するとは……

 それにしても、こんな脳味噌が膿みそうな文章が、よく検定を通ったよな。
 不思議ですよね? こんなんで、日本は大丈夫なのでしょうか? 心配になります。





「はい、みなさんよく読めましたね」


 うん、楽しかった! 暇つぶしにはなったよ。


「では、最後に、金剛石、水の器を、みなさん一緒に歌いましょう」

「「「「「はーい!」」」」」





「金ごう石も、みがかずば~♪」


 まあ、そうだよね。金剛石も磨かなかったら、光り輝かないもんね。私も初心に帰って、学ぶ大切さを思い出させて貰いました。

 それにしても、この歌って、明治の初め頃に作られたはずの歌なのに、ちっとも古めかしさがなくって、現代で歌っても違和感がないのが凄いと思いますね。








 赤坂御用地 秩父宮邸


「ねぇ、夏子さん……」

「藤宮様、なんでしょうか?」

「昨年の今頃に、私が書いた台本形式の小説って、何処に仕舞ったか知らないかな?」

「さ、さぁ~、掃除のおばちゃんが捨ててしまったのでは?」


 私の部屋を掃除するのは、アンタだろーが!
 やっぱり、犯人はコイツだったのか!

 まったくもう、ぷんすかぷんであります!

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ