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25話 桜子ですけど、恥ずかしい気持ちです


 1937年7月 ドイツ 某所



【北京で戦闘が発生!】



 あちゃー、史実と同じく、盧溝橋事件が起こってしまいましたか……


 中国共産党が単独で動いたのか、ソ連の指示で動いたのかまでは知りませんけど、盧溝橋事件はコミンテルの陰謀説の可能性が高かったのですから、事件の発生、それ自体は防ぎようがなかったのかも知れませんね。

 ソビエト中央指導部は、日本の目をシベリアではなく中国に向けさせたいのだから、裏で暗躍していた気がします。中国共産党も、国民党との内戦が再開するよりも、日本と国民党が潰し合ってくれた方が漁夫の利を得られるので、都合が良いですしね。


 アカは人を騙すことに掛けては、詐欺師顔負けの実力を発揮すると思います。

 いや? 詐欺師も素足で逃げ出すかも知れませんね。


 奴らの辞書に載っている、誠実という言葉は、『誠実に人に接する振りをして、相手の信頼を勝ち取ってから、その相手を陥れることの』きっとこう書いてあるに違いありません。

 前世で接したことのあるアカがそんな感じでしたし、テレビや動画などで見たアカも胡散臭い笑顔をしてましたしね。笑顔なのに目は笑ってないという。そんなアカに共感する人間は、きっと知能が足りてないのでしょうね。


 共産主義者という生き物は、理想ばかりを追求して、人の薄汚い欲というモノを理解できなかったのでしょう。もっとも、理解したくなかったのかも知れませんが。

 頭でっかちな考え方、机上の空論で、人はこうあるべし! その型に人を嵌め込もうとするから、無理が生じるのだと思います。


 それでいて、情熱だけは人一倍あって、それが空回りしているのですから、もう笑うしかありません。机上の空論どころか、もしかしたら、空想や妄想の中で生きているのかも知れませんね。

 おおっ、怖っ!


 あー、でも、人を型に嵌めようとするのは、日本も同じような気がしますね。

 ダメじゃん……


 ちなみに、私は情熱が足りてない方を選ばせてもらいます。


 なんで、こんなキチガイ染みた思想が世の中に蔓延ってしまったのやら…… 19世紀初頭の資本家が悪いのか? まあ、搾取しすぎたり労働が過酷だったりした面は否定できないでしょうが。

 それでも、マルクスが一番罪深い気がしますね。あと、もう一人、レーニンじゃなくて誰だったかな?


 そう考えると、二度の世界大戦を引き起こしたり、世界に共産主義を蔓延させたり、毒ガスを作ったりなどなど、ドイツ人って害悪ばかり撒き散らしている気がしないでもない。

 まあ、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを発明したり、科学技術分野での貢献も大ではあるのですがね。


 つまり、天才となんとかは紙一重というヤツなのかも知れません。






 三日後



【日本と支那、両軍の現地部隊同士の間で停戦に合意! 盧溝橋での戦闘は終息に向かう模様!】



 ふむふむ、暴走しそうな司令官は、既に配置転換や予備役編入等で、軒並み更迭済みだったので助かりましたね。陸軍内部でカミソリ永田と恐れられているらしい、永田陸軍次官が本領発揮した成果でしょう。

 史実では、相沢事件で殺されていたはずの、永田鉄山を助けた甲斐があったというものです。


 これで、史実通りに盧溝橋開戦なんてことにでもなったら、目も当てられないところでしたが。



【日本政府は事件の不拡大の方針を声明で発表】



 ほむほむ、日本国内は冷静みたいですね。さすがは、ダルマさん内閣といったところでしょうか? 良きかな良きかな。



【国民党政府は日本の声明に対して、歓迎の意を表す】



 蒋介石は、自分の失政を誤魔化すために、日本を大陸に引き擦り込みたかったような気もするのですけど、そこんとこどうなんでしょうかね?

 国内の不満を逸らすために外敵を作るのは、古今東西の為政者の十八番ですしね。史実の日本は、それにまんまと乗せられてしまったのでした。


 もっとも、日本も国内の不満を逸らすために、大陸に深入りして行ったようなものでしたね。目くそ鼻くそだったよ……

 まったくもって、度し難い。



【盧溝橋事件はコミンテルの陰謀か?】



 ほうほう、欧州の英字新聞も、コミンテルのヤバさを理解してましたか。これは良い傾向だと思われます。



【国共合作は崩壊! 国民党は北伐を実行する見込み! 国共内戦が再開か?】



 それゆけ蒋ちゃん! 行け行けごーごー! 毛ざわをやっつけろ!


 ついでに、日本製の武器をもっと買ってください。そのついでに、満州産のアヘンもいかがでしょうか? あ、支払いは金や銀や、その他の資源でお願いしますね!

 法幣は受け取らん。あんな紙屑はいらんし。日本の円よりも、更に価値が無い紙幣が、法幣なのですから。


 ちなみに、毛ざわをやっつけろなんて言ってますけど、毛ざわさん自体は嫌いではありませんよ? ここ重要ですので。嫌いなのは、害悪を撒き散らす共産主義者ですから。

 善良なる一般市民に害悪を撒き散らさないで、お互いを同志と呼ぶくらい共産主義者同士は、お互いを好きなんだから、その好きな人同士で、永遠に好きな自己批判やら総括やら内ゲバやらをしていればいいのに。


 そうすれば、世界も少しは平和だと思うのですよ。


 毛ざわさんは、人類の英雄だと思います! 人類の歴史上、地球環境に一番貢献した人物が毛ざわ東なのです! なんといっても、エコを先取りしていたのですから。まさしく、時代を超越していますよね!

 きっと、ニーチェも草葉の陰で喜んでいること請け合いです!


 もっとも、そこに痺れもしないし、憧れもしないのですがね。


 その究極のエコロジーとは……?






 じゃかじゃかじゃかーん♪






 文化大革命とか呼ぶらしいですよ?



 5千万人とも6千万人とも言われている人々を、処刑や餓鬼地獄、過酷な強制労働などで意図的に死に到らしめ、二酸化炭素の排出量を大幅に削減した世紀の偉大なる指導者、それが、毛ざわさんなのであります!

 スズメが人民の米を食べてしまうのに心を痛めて、被害を予防するためにスズメを駆除してあげるような、心優しいオジサマが、同志、毛ざわ東なのであります。


 なんで、ノーベル賞を貰えなかったのでしょうね? 疑問です。


 きっと、その当時のノーベル委員会が、毛ざわさんの実績を知らなかったのでしょう。

 無念であります。毛ざわさん、おいたわしや……









「藤宮様、少しよろしいでしょうか?」


「んー、なにかな?」


「人前では新聞を読むのを控えて頂けたらと」


「なんで?」


「小さな子供が、しかめっ面して新聞を読んでいるのは、明らかに不自然な行いですよ」


「そうかな?」



 そういえば、前世で子供が新聞を読むなど、耳年増になるって言われたことがあったなぁ。子供の可能性を否定するような、もの言いで傷付いた記憶がありましたね。そんなダメ出しばかりする大人が、世の中を駄目にしていく気がするのですがね。

 もっとも、前世の私が、こましゃくれた餓鬼だったのは否定しませんけれども。でも、早熟な子供は大人の世界に興味を持つものなのですよ。


 それはそうと、新聞は目で文字を読むのだから、耳年増とは言わない気がしないでもない。

 まあ、どうでもいいことでしたか。



「はい。百面相をしていましたよ」


「そんな変な顔して読んでた?」


「変な顔してましたね。それに、東洋人の子供が英字新聞を読んでいるのですから、欧米人には奇異に見られてしまい注目の的です」



 そう言われて、ぐるりとホテルのロビーを見回してみましたが、うん、確かに注目の的みたいですね。

 腕が短いですから、手で持ったら新聞を広げて読めないのですよ。だから、テーブルの上に広げて読んでますので、周囲からは丸分かりだったようです。


 愛くるしいお人形さんみたいな小さな女の子が、顎に手を当ててしたり顔をして新聞を読んでいれば、そりゃあ気になって、チラ見程度はするかも知れませんね。



「あー、それもそっか。気を付けるわ」



 そこ、許可なくカメラを向けるな。いまは、プライベートな時間なんだぞ!

 そこ、顔を背けるな! あ、ご婦人は手を振ってくれました。私もお淑やかに、手を振り返しておきましょう。国際親善は大事ですもんね。



「部屋で読むのであれば、構いませんので」


「わかった。これからはそうするよ」



 気配りのできる侍女は頼もしいですね。でも、もっと早く言ってください。

 恥を掻いた気がしてきたじゃないですか……


 まったくもう、ぷんすかぷんであります!



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― 新着の感想 ―
[一言] 毛ざわさんへの主人公の評価がイグノーベル賞の受賞理由みたいなブラックジョーク
[一言] 共産主義漫才を得意とするコンビはたしか マルクスと、エンゲイスルさんだったかと 園芸会社の社長さんでとにかく園芸が好きな方ですよ
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