どうか、幸せでいてほしい。
私は、入学してすぐ、先輩を好きになりました。
でも、その時。貴方には彼女がいました。
無理やり奪えるほど自分に自信があるわけではないし、なにより先輩には幸せでいてほしいから。
……なにも、できなかった。
それから、一年。
先輩は彼女と別れました。
友だちには、
「チャンスだよ!」
なんて言ってもらったけど、見ているだけで充分だったし、嫌われるのが怖くて、なにもできなかった。
道場も、部活も、出身小学校まで同じ。
あまりにも距離が近すぎたのです。
バレンタインに、部活全員にあげたチョコブラウニー。
そのお返しに、貴方からはクッキーをもらいました。
クッキーが入ってた可愛いピンクの箱を、とっておこうと思ってたのに、お兄ちゃんがなにも考えずに捨てちゃったの。
今思うと、もったいないなあ。
それからさらに時は流れて、去年の十二月。
部活の忘年会で、恋バナになって。
先輩に、彼女がいることが発覚した。
先輩の彼女は、可愛い。
でも、どうして。
一年前の今頃、先輩と彼女さんは何の関わりもなかった。
どうしてどうしてどうして。
私は、ずっと好きだったのに。
悔しくて、悲しくて、切なくて。
でも、涙は出てこなかった。
泣けたら楽なはずなのに、自分が悪いことに気づいているから、泣けなかった。
「諦めたから! もう好きじゃないよ」
自分に言い聞かせるように、友だちには言った。
–––––––そして迎えた、今日。
先輩はバンドのボーカル。
歌っている姿が、すごく格好いいんです。
先輩のバンドを、仮にAと名づけましょう。
今日は、Aが主催するライブがありました。
そのライブには、行きたくなかった。
音楽は大好きだし、バンドも大好き。
だけど、貴方の彼女が所属するバンドも出ると聞いたから。
「ねえ、ライブ行こうよ!」
みんなが、行くっていうから、仕方なくついていくことになってしまいました。
ライブハウスについて、私を見つけると、貴方は、
「おう! さんきゅ」
そう言って笑ってくれましたね。
それだけでもすごく嬉しくて、幸せで。
やっぱり好きなんだと改めて思ってしまった。
演奏する彼女さんを優しく見る、先輩。
覚悟はしてたつもりだけど、やっぱり辛いなあ。
気づくと、大トリを飾る、Aの番が回ってきました。
ステージに立つ貴方を見て、なんだか涙が出てきてしまった。
好きになっても、無駄なのに。なんども貴方に恋してしまう。
「青いまま枯れてゆく貴方を好きなまま消えてゆく」
backnumberの『ハッピーエンド』。
「今すぐに抱きしめて
私がいればもうなにもいらないと
そう言って離さないでいて」
まるで自分の心を歌われているような気分だった。
貴方は、これを誰へ向けて歌っていたのですか。
考えれば考えるほど、切なくて、切なくて、切なくて。
どうしたって、この想いを止められない。
片想いに、溺れてる。
歌を聴きながら、私は思いました。
こんなにまっすぐな歌を歌うような人だから、好きになったんだなって。
私はきっと、この先。
バカみたいに、貴方だけを好きでいるんだろうな。
どうか、幸せでいて。
これからもずっと、幸せな歌を聴かせてください。
お読みいただきありがとうございました!
これは、私が今している恋を書いたものです。
切ないなあ。