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8話 歴史






 説明回です。

 慌てて書いてるのでバタバタした内容となっております。

 もしかしたら後日大きく修正入るかもしれません。










 「人の手では創り出せないもの『魔導本』です。」



 語尾の伸びなくなったミオにより伝えられるも、誰1人として反応しない。


 魔導本?魔導書なら知ってるんだけど…。

 デメリットとして1ターンに1度しか発動出来ないってやつ。

 あ、因みに個人的にはデュ○○モンスターズが至高だと思ってます。


 そんな中、代表してロロアが尋ねる。


 「あの…ミオ先生。魔導本というのはいったい何なんでしょうか?そして何か身体に悪いものなのですか?」

 「いえいえ~大丈夫ですよロロアさ~ん。ごめんなさいね~とても珍しい物なので興奮してしまいました~。身体に害のある物ではないので、安心して下さ~い。」

 (あ、語尾戻った)

 「そ、そうなんですね…よかった…。」


 語尾や雰囲気も戻り、害のある物ではないと伝えられ一安心のロロア。

 また僕の頭を撫でている。

 ちょっとくすぐったい。


 「暗くなってきましたからランプ点けますね~。」


 言われて窓を見れば、先程まで入って来ていた夕陽もだいぶ影を潜め薄暗くなっていた。

 椅子から立ち上がったミオは、扉の横にかけてあるランプ…オイルランタンを手に取り、魔法で火を灯す。


 『灯れ 火種』


 ピコン

 

 火種だけなので詠唱も短い。

 今変な音が聞こえた気がしたが、皆気にしていないので聞き間違いだろう。

 そしてランタンを机の上に置いた後、再び椅子に腰掛け、説明を再開する。


 「魔導本は所謂魔法書の原典なんです~。」

 「原典、ですか?」

 「そうです~。そしてその原典を元に数百年かけて解析をし~、人の手によって作り出されたのが魔法書だそうです。ただし、読んだ時の効果には大きな違いがあります~。」

 「それが今回、リンが倒れた原因なんですね。」

 「はい~。知っての通り、魔法書は魔法の才能のある人に記載された魔法を使用出来るようにする書物ですが~、魔導本はそれとは根本的に違います~。」

 「…その根本的な違いとは?」


 ルークの言葉の後、固唾を飲んで次の言葉を待つ。

 ゴクリンコ。


 「『資格のある人間に才能を与える』と言われています。」

 「資格?魔法じゃないんですか?」


 つい気になってしまい質問すると


 「私も詳しくは~…ですが、魔導本についてはエルフ種内で伝え聞いている言葉があります…。」




 『曰く、其は万物を創りたもう宝玉の記憶。』

 『曰く、其は神より至高の存在なり。』

 『曰く、其は御身に力を授けるものなり。』

 『全ては宝玉の意志のままに。』




 ……なんかとんでもなく大事になってきだぞ…。

 宝玉?神より至高の存在?宝玉に意志?

 折角、魔導本の痛みが引いてきてたのに今度は別の意味で頭痛くなってきた…。


 すると、僕の様子に気付いたのか


 「限界…みたいですね。それじゃあ今日はここまでにしましょ~。詳しい説明はまた明日にでも~。リン君も体力消耗しているみたいなので、今日は大事をとって教会の方でリン君をお預かりしたいのですが~お2人ともよろしいですか~?」

 「え、えぇ、ミオ先生が見ていてくれるなら私は安心ですけど…ルークは?」

 「あぁ…俺も問題ない…。」

 「じゃあお預かりしますね~。リンく~ん今日はここにお泊まりしましょ~。」


 申し合わせたようにテキパキと許可を取っていく。

 そしてあれよあれよと泊まることが決まってしまった。

 あれ?僕の意思は?

 出来れば家に帰って魔法書…じゃない、魔導本がちゃんと無くなってるのか確かめたい。

 最後消えるところまで見てないし。

 まあ、無くなってなかったらルークやロロアが持ってきたとは思うんだけどさ。


 「それじゃあリン、無理せず大人しく寝てるのよ?それからミオ先生やシスター達の言うこともちゃんと聞くこと。そして何かあったらすぐ呼ぶこと。いいわね?」

 「う、うん…分かった。大丈夫だよ。」


 ロロアが手を握り、視線を合わせながら苦言を呈する。

 心配だと顔に書いてあるから、ここは素直に従っておこう。

 いや、別に何かをするつもりはないんだけど。


 「リン、改めて悪かったな。魔導本なんて物だとは思わなくてな…。あと今更だが、何であんな物が実家にあったのか手紙を送ってみるわ。」

 「実家?」

 「あー…その話はまた追々な。」

 「?うん…。」


 その言い方はとても気になるが、苦虫を噛み潰したようなルークの顔を見て、こちらも深くは聞かないことにする。

 また今度話してくれるらしいしね。

 しかしルークの実家…ライルハーツ家の話か…そういう話は今まで皆無だったから少し不安だ。


 「それでは、教会前までお見送りします~。また戻ってくるのでリン君はそのままでね~?あ、トイレに行きたかったら一緒に来ましょ~。どうする~?」

 「大丈夫です。大人しく待ってます。」


 僕の言葉に満足したのか微笑み、ルーク、ロロアと共に部屋を出て行く。

 足音が遠ざかり静かになると、堪えていたかのように溜め息をつく。


 「はぁ~…。大変なことになってきたな…。」


 魔法書だと思いきやその原典となる魔導本だし、エルフ種の言い伝えじゃ神様より偉い宝玉の記憶?意志?だし。

 魔法じゃなく才能を与えるとか…しかも僕は資格を持っている?

 それはあれだろうか?

 やはり転生者というのが関係してくるんだろうか。

 とすれば過去に召喚された勇者3名…名前はユイ・アオギリしか分からないが、その勇者も魔導本に関わっていた可能性もある。


 こう、分からないことばかりだとモヤモヤする…誰かこの世界…レティの歴史を教えてヘルプミー!!


 暫くあーでもないこーでもないと悩んでいる間に近付いてきていたのだろう。

 扉をノックされる。


 「はいっ。」


 少し声が上擦ってしまった。


 「大丈夫~リンく~ん?軽いものだけど、シールとニニが用意してくれてた夕御飯とお茶を持ってきたので一緒に頂きましょ~。」

 「あ、ありがとうございます。わざわざすみません。」

 「いいえ~。ベッドにこぼすといけないので、もう1脚椅子を持ってきますね~。」


 僕が1人考えてる間に見送りも済んだのだろう。

 料理の乗ったお盆を片手に部屋に入ってくる。

 そしてランタンの隣、机の開いているスペースにお盆を置き、そそくさと再び部屋を出て行く。

 なにか焼き物だろうか、香ばしい匂いにより空腹を訴えてくるお腹。

 朝以来何も口にしていないので当然だった。

 ベッドを抜け料理に近付き覗いてみる。

 メニューは鰺のような干物の焼き物とパン、スープだ。

 量は少ないが、毎日このような御飯なのだろうか?

 これで、あのお(マウンテン)様は維持されているのかと思うと不思議だ。

 確認し余計なことを考えていると、すぐさまミオが椅子と魔導本とは違う本を持って戻ってきた。


 「あら~お腹すいた~?」

 「はい…朝御飯食べた後すぐだったので…。」

 「もう少し貰ってくればよかったかしらね~。」


 そんな話をしつつ椅子と本を置き、横に並んで一緒に食べ始める。


 「そういえば、これ作ったのシールさんとニニさんって言ってましたけど、カナさんは?」

 「カナはご家族がいるので、ここには住んでないの~。でも料理はとっても上手なのよ~。」

 「へ~。」


 もしかしたら、胃袋を掴んで旦那さんを手に入れたのかもしれないな。

 1度ご馳走になってみたい。


 「それより~リン君に聞きたいことがあるんだけど~。」

 「なんですか?」

 「この本…世界の話、宝玉の話を知ってる~?」

 「…いいえ。世界の名前がレティって言うのは知ってるんですけど、それ以外は全く。」

 「まあ、そうよね~。寧ろ知ってたら私もびっくりです~。それじゃあ、昔話をしてあげましょ~。」


 さすがミオ先生!ナイスタイミング!

 以前の救世主(メシア)の件といい今回の件といい、なんてバッチリなところで来てくれるの!

 思わずガッツポーズをしそうになった。

 そんな僕には目もくれず、さっさと食べ終えたミオは本を開いて読み始める。




----------------------------




 ◇

 宝玉。

 それは万物を創り出した創造神の力の結晶だと言われている。


 そしてこれから記述するのは、その宝玉に留められし記憶。


 遙か1万年以上昔、とある惑星が誕生した。

 その惑星の名はベルーナ。

 生まれたばかりのベルーナには何もないまっさらな状態だったが、宝玉が激しく明滅すると瞬く間に青々とした樹木やキラキラと輝く大海原、一面美しい氷の世界や、真逆に何もかも溶かしてしまいそうな程真っ赤なマグマだらけの世界など様々な風景が創り出された。


 その風景に満足したのか、次に宝玉はベルーナの管理者となる7人の者達を創り出す。

 この者達がこのベルーナにおいて、後に神と呼ばれる7柱の存在であった。

 そして宝玉は彼等に自身の力を少しずつ授け、暫くの眠りにつく。


 ベルーナ誕生から4000年程経過し、宝玉が目覚めるとそこは地獄のような変わりようだった。

 美しかった風景はどこも崩壊し、あらゆる場所で争いが発生していた。

 管理者として創り出したはずの7人も見当たらない。

 宝玉は眠りについていた間、何があったのか知る為過去を覗こうとする…も上手く力を扱えない。

 不思議に思うが、今は何とか力を制御し覗くことに集中する。




 宝玉が眠りについた後、力を授かった7人は力の殆どを使い、それぞれ小さき者を生み出し各地へとばら撒いた。


 1人は獣を生み出し、森へ。

 1人は魚類を生み出し、海中へ。

 1人は鉱石を生み出し、地中へ。

 1人は人間(ヒューマン)を生み出し、陸地へ。

 1人は鳥類を生み出し、空へ。

 1人は妖精を生み出し、世界各地へ。

 1人は魔力を生み出し、世界中へ。


 初めは順調に進んでいた。

 獣と妖精は森を育て、人間は鉱石を用いて地を耕し、魚類は海を豊かにし、鳥類は各地から各地へと種子を運び、魔力は星の力となり新たに種子を芽吹かせる。


 だか、そんな穏やかな日々も数百年も経つと小さな歪みが生まれ、次第に大きな亀裂となる。


 数百年後、ある森の中に魔力の濃い場所…魔力溜まりが出来、獣の中に変異種、魔に特化した獣…魔獣が生まれた。

 魔獣は同時期に生まれた自分の兄弟や親を喰らい、森を荒らし回り、森を荒らした後は人間を襲うようになる。

 人間もただ襲われているばかりではなく、知恵を使い魔獣を討伐しようとする。

 鉱石から地を耕す農具ではなく命を奪う武器を作り、妖精から魔力操作を教わり数年をかけ魔法を覚える。


 魔法を覚えるまでは長かったが、覚えてからは早かった。

 人間は今までの苦労は何なのかと言うほど、あっさりと魔獣を討伐する。

 しかしここで終わればよかったものの、人間は間違いを侵す。


 2度と魔獣が生まれないようにと、森に火を放ってしまったのだ。

 火は瞬く間に大きな炎となり、森を焼いていく。

 もちろん森にあるのは木や植物だけではない。

 何の害もない獣や妖精も焼かれ、苦しみながら息絶える。


 その人間の行為に激怒したのは管理者であり、獣と妖精を生み出した2人の存在だった。

 人間に止めさせるよう意見するも人間を生み出した管理者は、先に手を出したのは魔獣の方だと非難する。

 しかも自分達は小さき者達を生み出したことにより、力の大半を失っている為止められないと開き直り、会話の場から出て行ってしまう始末。


 『だったら、宝玉から新たに力を貰えばいい。』


 そんな時呟いたのは魔力を生み出した管理者だった。

 皆、一斉に見つめる。

 その中で1人がどうやって貰うんだ?と問い詰める。


 『俺達は宝玉によって直接創り出され、力を授かった。だからこそ、俺達と宝玉の間にはラインが繋がっているんだよ。魂と魂でな。もちろん俺達の間でもだ。で、そのラインを使って力を貰うんだ。』


 その意見に悩む5人。

 しかし今の自分達では見ているだけでどうすることも出来ない。


 『今は眠っているから、借りるだけだ。目覚めたら返せばいい。そうすれば全て丸く収まる。』


 渋々ながらも、5人は納得し魔の管理者に同意する。


 魔の管理者が、邪悪な笑みを浮かべていることには誰も気付きもせずに…。



 そして宝玉から奪えるだけの力を奪った人の管理者以外の6人は、魔の管理者の提案から人間と同じ種族を生み出すことにした。

 それが今現在レティに存在している獣人種、エルフ種、ドワーフ種、海人種、龍人種、魔人種だった。




 ついでだ、種族別の特有も記載しておく。


 ◆人間(ヒューマン)種族

 新たな物を開発することに長けており、身体能力や魔法親和性とバランスの取れた、最も人の数が多い種族。

 全ての人種族の原型。


 ◆獣人種族

 人間(ヒューマン)種より身体能力が高く、身体のどこかしらに獣の特有を持つ。

 肉体強化魔法との相性が良く、危機察知能力が長けているので後衛よりも前衛として力を発揮する。


 ◆エルフ種族

 獣人種、人間(ヒューマン)種よりも身体能力は劣るが、魔法親和性が高く、唯一精霊魔法を行使出来る。

 森に住んでいるため弓の扱いが上手い。

 外見の特有としては横に耳が長いことと美男美女が多く、長寿である。


 ◆ドワーフ種族

 低身長でありながら、筋肉の塊のような体型で大きな金槌を振り回すパワータイプ。

 火と土の魔法は親和性が高いが、他は平均以下。

 鉱石に通じており、種族の半数近くが鍛冶をして生計を立てている。

 大酒飲み。


 ◆海人種族

 指の間に水かきと首の所に鰓がついている種族。

 人魚のように足が魚の種族もおり判断が難しいが、海人種は皆揃って海のような透き通る青い髪色をしている。

 水や氷の魔法との親和性は高いが、火は全く使えない。

 水中での行動は素早いが、陸に上がると肉体強化魔法を使っても人間種並にしかならない。


 ◆龍人種族

 ドラゴンのような鱗に身体を包まれ、防御力が極めて高い。

 ドラゴンのようにブレスは出せないが、龍人種特有の龍魔法を使い同じような破壊力を持つ。


 ◆魔人種族

 悪魔のような角を頭に生やしており、どの人種族よりも高い身体能力、魔法親和性がある為敵対してはならない。

 エルフ種と同じく長寿であるが、性欲より戦闘意欲が高い為、人種の総数は少ない。




 話を戻す。

 獣人とエルフは人間(ヒューマン)種の侵した行為を許せず、戦いを仕掛ける。

 個々の身体能力の高さは獣人、エルフ側に采配が上がったが、人間種はなにぶん数が多い。

 例え1人1人が弱くても、数に勝るものはないのだ。

 それこそ一騎当千のような強者がいない限り。


 中々決着がつかず、ずるずると争いの日々は長引く。

 獣人、エルフ側と人間種も疲労困憊。

 もう争いは止めようか…という意見がチラつき始めた時、突如として魔人種が襲撃してきた。

 先の説明通り、魔人種はどの種族よりも強い。

 その為あっという間に3種族を絶滅させる。


 管理者達もまさかの事態に驚きを隠せない。

 何をする!

 何のつもりだ!

 と、魔の管理者を糾弾するも本人はケラケラと笑っている。


 『まさかここまで馬鹿だとは思わなかったよ。』


 言葉の意味が分からず唖然とする獣人、エルフ、人の管理者達に向け手を翳す。

 すると翳していた手から黒い靄のようなものが各管理者の首に伸びて行き、締め上げる。

 そしてみるみる内に肌艶を失い干からびる。

 まるで黒い靄に力を吸い取られているように。


 『ありがとうよ。争ってくれて。お陰でお前等の力が弱まって奪うことが出来たわ。』


 相変わらずケラケラと笑いながら3人の管理者を手に掛ける魔の管理者。

 その酷い有り様に、慌てて応戦しようとするドワーフ、海人、龍人の管理者達。

 しかし3人の管理者の力を吸収した魔の管理者の相手など務まるわけもなく…同じ運命を辿る。



 そしてここに邪神が誕生した。










 次も説明回になりそうです。

 すみません。


 次の次辺りにヒロイン出てきます。

 ここまで読んで下さりありがとうございました。


 2016年12月27日

 7話

 ※ミオが椅子に座る描写を追加しました。





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