第十九話 撤退、そして反攻へ
hoi4楽しすぎて小説書けない
「で、具体的にどうするの? マジで逃げるの?」
「当然。火力不足だ」
「了解」
ラビーは俺の言葉に躊躇なく頷いた。
「お兄ちゃん、あの二人を抱きかかえててくれる?」
「かまわないが、どうするんだ?」
「逃げるのよ」
ラビーはにやりと笑みを浮かべた。老人はそんなラビーを見て鬱陶しそうな表情を浮かべた。
「また逃げるか。まったく、逃げることに関しては一流の能力だな」
「まあね。うまく活用させてもらうわ」
俺は二人を抱きかかえた。するとラビーが俺の首筋にかみつき血をすすった。すると、その瞬間視界が暗転した。そして気が付くと山の頂上に座り込んでいた。
「……え?」
ノアは驚愕の声を上げる。
「ラビー、お前の能力って、空間移動系か?」
「近い。私は空間操作系。燃費の悪さと引き換えにかなり汎用性の高い能力ね。私としてはもう少しデメリットを軽くしたいところだけど」
俺が先ほど動けなくなったのもこの能力の影響なのだろうと彼女の話を聞いて確信した。空間をいじられて俺の体を固定されたか、俺の体そのものを固定したか……、どちらにしても戦うとすれば厄介極まりない。
「……で、コウタ! その吸血鬼は殺したんじゃないのか? なんでそんなに親密そうなんだ!」
「そうです! コウタさん白状してください!」
「落ち着け。それは後だ。今は早く山を下りて武器をありったけかき集めるぞ。あいつを殺しきるには常識的な火力ではダメだからな」
幼女二人に問い詰められて俺は話を逸らし、山を下り始めた。
「それで、ラビーはなんで協力してくれるんだ?」
「理由は二つある。一つは、お兄ちゃんがタイプの男の人だから♪」
「茶化すな。で、二つ目は?」
「あの人でなしアドルフを殺して仇を討つため」
「弔い合戦か……、分かった。あの野郎を倒すまでの共同戦線だな」
深くは問わない。誰の弔い合戦で彼女の過去に何があったのか、それは重要ではないし知ってほしいなら彼女から話すだろう。軍人は他人の過去を問い詰めたりはしない。
「……私は認めたわけではないが、その能力は便利そうだし、認めてやる。私はミシェルリコット」
「ノアです」
「ラビーニャよ。まあ、本名じゃないけどね」
「そうなのか? 俺はてっきり本名かと」
ラビーは苦笑いを浮かべた。
「本名は知らないわ。幼いころに拉致されて現在に至るって感じだしね」
「……なるほどな」
俺はそのあたりの事情は詳しくないが、戦争中は子供の拉致や徴兵も珍しくなかった。彼女もその犠牲者なのだろう。
「ま、そこにいるノアって子と同じ地域出身だろうけどね」
「ノアを知ってるのか?」
「コウタさん、アメストール合衆国で金髪でくせ毛、そして特徴的な目じりの人が住んでいるのは限られた地域だけです。なので彼女は私の故郷に近い場所か、もしくは私の故郷出身で間違いないと思います」
「なるほど。なら同郷の友とあったかのような感じだったりするの?」
「「いや、ぜんぜん……」」
余りにも息の合った否定に俺は口を噤んだ。
同郷の友どころか呉越同舟と言わんばかりの剣幕を感じた。
「……そう言えば疑問だったんだけどお兄ちゃん、どうしてあの時この二人を逃がすために躍起になってたの?」
「ラビーは前大戦がどんな戦いであったか知ってるか?」
「新しい武器と人間兵器が登場した戦争でしょう?」
「そうだが、俺達軍人の間では情報の戦争と言われている。情報の有無が存亡を分ける戦争であったと俺も記憶している」
ラビーは口元に手を当てて首を傾げた。
「ラビーはクーモという国を知ってるか?」
「大戦でアメストールと同盟を組んでいた小国でしょう?」
「そう。その国は国力ではるかに劣る小国だったが、十倍を超える敵の攻勢のことごとくを撃退している。そして、その理由が情報の有無だったんだ。実際あの国は五十人で五千人を押し返してるし、人間兵器攻略も能力持ち無しの三十人で損害ゼロ、しかも三人を始末している」
「それは、すごいわね」
「防衛主体とは言え、これはあの国の優れた諜報力がなければ成し得ない戦果だったな。その点アメストールは情報戦で手間取った分被害も甚大だったしな」
ラビーは口元に手を当てる。彼女もアメストールの出した戦死者の数は知っているだろう。それだけに情報の大切さが身に染みているのかもしれない。
「で、あのアドルフの弱点は分かったの?」
「あいつアドルフっていうのか……。弱点は分かっているぞ。あいつの能力が環境依存という事だ」
俺の言葉に再びラビーは口元に手を当てる。ラビーは考え始めると口元に手を当てる癖があるようだった。
「そうですね。彼の能力は確実にどこかからエネルギーを受け取る環境依存型です。彼は体を粒子化できるようにする代わりにエネルギー体内で調節できなくなっているはずですから、外部からエネルギーを受け取っているはずです」
ノアは俺の予測を裏付けるように説明を挟んだ。
「そうだな。そして、それを裏付けるのがあいつが追ってこないという事だ。あの限られた空間以外で能力を維持できないんだろうな」
「単純に見逃したにしてもあっさりし過ぎですから、多分私たちがいない方がいい理由があったんだろうですね」
俺とノアの分析はおおよそ合致しているようであった。
俺達は目を見合わせて頷く。
「……お前たちそこまで考えていたのか……。私はちんぷんかんぷんだ」
「ミシェルよ、お前も元軍人ならば情報の重要性は理解しているだろうに」
「だって、コウタが死ぬ気って分かって頭が真っ白になって……」
「……可愛い奴め!」
俺はミシェルをたまらず抱き上げた。
「あ、私も、コウタさん私も!」
その様子を見たノアは自分もやってほしいと俺の袖を引っ張ってくる。
「……呑気なやつら」
そんな様子をラビーは呆れたように見ていた。
新し物語書きたいからマジで巻きで進めるで~。
ところでトランプ氏が勝ちましたね。アメリカ。




