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第十二話 まどろみが終わるころに

今回は少なめ。しかし次回はがっつりと書きます。

 俺は滅んだ大和の国の最後の義勇軍であった。ミシェルリコットと出会ったのは、その義勇軍時代が最初だった。

 俺達はお互いに死力を尽くして殺し合った。


 ~~


 朝、重い荷物を振り払った俺は大食堂のバイキング会場に来ていた。ここでは様々な料理を楽しめる。俺が森の家に来たかった理由の一つである。

 昨日の夜の事でやや気持ちが沈んではいたが、このバイキングを見るとそんな弱った気持ちもどこかへ行くようだった。

 料理にはやはり肉を使ったものがないため、昨日のあれは特に貴重なものを提供されたのだと実感した。あれだけで旅の満足度の大半を占めると言ってもいい。


「コウタさん、席はどこにしましょうか?」


「取り敢えず、空いているところだな」


「私探してきます!」


 ノアはそう言うと走って行った。

 俺も辺りを見回し空いていそうな席を捜索する。

 すると、何やら不審なものを見るような目で俺を見ているミシェルが目に入った。


「……なんでミツイさんでなくてコウタさんになっているんだ? 昨晩何かあったのか?」


「いや、あったにはあったけど……、あまり言えることではないからな……」


 俺は言い淀んでしまった。昨日の出来事を知ったらミシェルは何というだろうか? 恐らく、何も言わないだろう。何も言わずに事実を受け入れ、そしていつも通り俺に接するだろう。根拠はないが、そうなると感じた。


「……そうか。やましい事ではないのならいい。無理して言わなくても」


 ミシェルは微笑んだ。俺はそれがたまらなく嬉しくもあり、申し訳なくもあった。彼女は俺を信じてくれている。俺の何を信じているのかというのは、無論俺がミシェルを捨てないということだろう。

 ミシェルは孤独をいつも恐れていた。だから俺みたいな外道にすがるしかなくなった。今では俺も彼女に依存してしまうくらい、ずっと一緒にいた。それが正しいのかどうかは分からなかったが、結局二人でここまで来てしまった。


「やましい事ではない。少し、昔話をした」


「昔話か……、親殺しかな?」


「なんでわかるんだよ……」


「コウタの昨日の態度、不自然だったぞ。あんな苦渋の表情で肉を手放した姿、まるで償いをしようとしているように見えた。ノアはそれで気が付いたんだろうな」


 俺はやってしまったなと昨日の自分の姿を反省した。考えてみれば確かに不自然であった。もっとスマートに要らないよ的な態度が取れればよかったのだが、そうできないほどにあの肉は貴重であったのである。


「しかし私は嬉しいぞ」


「嬉しい?」


「コウタは本当にロリコンになってしまったようだな!」


 満面の笑みのミシェルの言葉に周りを歩いていたお客が一斉にこちらを向いた。俺は背筋が凍った。


「か、勘弁してくれ……、俺を社会的に殺す気か……」


「だって、そうだろ? コウタの態度、セントラルバーナシティに来た時と全然違うぞ」


 見抜かれていた。やはりこの子は鋭いのだ。俺は顔がカッと赤くなった。男の赤面など誰得だと思うかもしれないが、そうは思ってもやはり恥ずかしいものである。自分の内面を知られるというのは。


「……だったらどうするよ。俺がロリコンだとして」


「そりゃぁ、結婚を前提にお付き合い……とまでは行かなくとももう少しスキンシップを増やすくらいはいいだろ?」


「お前好きだな~、昔からペタペタ人の体に触れてきたし」


「人のぬくもりは、安心するからな」


 そう言うとミシェルは俺の腕にくっついてきた。そして柔らかい頬をこすりつけてくる。


「そんなにがっつくこともないだろうに。俺はお前と金輪際離れる予定はないんだからな。ゆっくりしていこうぜ」


「……ロリコンのくせに随分と理性的なことを言うんだな。内心では襲ってしまいたいとか考えてるんだろう?」


「ま、せ、ん! 俺は紳士なロリコ……人間なの! メイドさんと一緒にされては困る」


「え? なんでマナの名前が出てくるの?」


 ミシェルは明らかに引いていた。まさかこの子もメイドさんがロリコンだったとは思ってもいなかっただろう。いつも俺を変態扱いしたツケが回ったのだと俺は得意げに鼻を鳴らした。

 ちなみにメイドさんは現在まだ寝ている。日頃の疲れがたまっているのだろうと思って起こしはしなかった。


「コウタさん! あちらが空いていました! 予約できるということだったので席は確保できました」


「ありがとなノア。じゃあ、各自自分の食べたいものを持ってくること」


 俺はそう告げた。ミシェルとノアは顔を見合わせると仲良くいきなりデザートコーナーの方に走って行った。


次回は戦闘回です。

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