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魔王の為なら働ける!  作者: ちょせ
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8話 囚われの姫 後編

「柊、打てるか!」


「だめ、まだ溜まらないよ!」


今は膠着(こうちゃく)状態、俺と柊は魔族の放つ、魔法の矢を避けつつ逆転を狙う。


牢屋奥の階段を下り、まだ新しい扉を開けるとそこには地下とは思えない空間が広がっていた。

よく見ると部屋の端の方には白骨化した人間らしい骸骨が散乱している。

そこに水田は居た。

だが、括り付けられて。


名も知らぬ領主と思わしき魔族と戦闘になった。

広いとはいえ天井も低めで、避けるスペースも限られている

部屋の壁際では魔力に拠る炎か、明かりがともされており、その魔族と攫われた水田が照らされている。


柊が先制攻撃をするも、スキル武神も弾かれた。というより、魔族の接近感知がはんぱない。

武神のスピードをもって近づいても、即魔法障壁で弾かれる。


だが、俺のスキルと違って武神:柊はさすが、優秀なスキルを持っていた。

接近戦がダメと見るや、離れて気をため始める。


「遠隔攻撃の技ってこれしかないんだよね!溜めもいるからなかなか撃てないんだけど、それでもないよりはましだよね」

そういって放つ準備を始める。


おれのスキルでの投石、金属を三角錐にして打ち込む等も、ことごとく魔法障壁に弾かれる。

落とし穴を掘っても、なぜか一瞬で埋められてしまうし、そもそもあいつ浮いてて落ちない。


地中から集めてた金属を盾のような形状にし、3つを浮かせる。

それを魔族の打つ魔法の矢を盾を動かし防ぐ。

今の俺にはそれしかできない。

その間柊の溜めの時間をつくる。


「いいよ、撃てる!」


「よし、タイミングは任せる!」


そのとき、

魔族はイライラした口調で

「うっとおしい人間め!お前らなんぞゴミのようにはいつくばって居ればいいのだ!」


魔族の足元から魔方陣が浮かび上がった、そしてそれが黒く輝く瞬間


ゴンっ!


俺と柊に、重力による圧迫が襲い掛かる。


「ぐっ!なんだこれ、魔法か!?」


両手両足が重い。

足元が、じりじりと床に沈んでいく感覚。


「うあ。。。これ重い!」


重力系魔法


「やばい、盾を操るスピードが間に合わない!」


重くなっているのは俺たちだけではない。

俺の操るシールドも重くなっている。

それが操るスピードに影響し、かなり遅くなっている。


そしてそこに、

魔力の矢が打ち込まれた。


ドガガガガ。


「きゃぁ!」

「ぐあっ!」


俺と柊は矢に貫かれ、膝を落とす。

そこで魔法の効力が切れたのか、重力は元に戻った。


くそ、これかなりピンチじゃね!?


「魔法使いを相手するのがこんなキツイと思わなかったぞ・・・」

「そりゃそーよ・・・魔法使いはチートよ・・・あの魔力障壁も、聖属性武器か聖属性攻撃とかじゃないと破壊できないし、魔法防御できないとさっきの重力魔法も防げない・・」

「なんか打つ手ないのかよ・・・」

「あったらやってるって・・・」


なんか、これ以上も無いくらいピンチだとおもうわけで。


山に籠っていた日々を思い出す。


使えないと思っていたスキルが、この上なく有効に使えた。


しかも、スキルは進化した。


かなりの戦闘向きなスキルに生まれ変わった時を思い出す。


アスカに出会い、山を降りて柊と戦った時にもかなり有効で、勝つことはできた。


だがー


やはり魔法なんてスキルには対抗出来ない、、


だから俺達は、非戦闘員だったのかと


今、改めて思い返す。





-------------------------------






水田には、この戦闘の結果助け出され、勝利することは分かっている。

だが、どうやって勝利するのか、その方法は分かっていない。

そして目の前でこうも良いように西郷君と麻由美ちゃんがやられるのを予想できてすらいない。


もっと、簡単に、さくっと勝って、助けてくれるのかと思っていた。


甘く考えていた。


そこにある苦難など、占いで回避できればいいのに。


いままでだって、静ちゃんと一緒に、危険が迫ればそこから避けて逃げていた。

だけど今回は、そこから避けるという選択肢ではない。

それを、乗り越えるという選択肢。


「うがぁ!」「きゃああああ!」


魔法が二人を貫く。 

悲鳴が上がる。

すでに2人は血まみれだ。

いや、麻由美ちゃんは回復しているようだが、西郷君は回復していない。

だらだらと血を流している。

こんなはずじゃなかった。

こんなはずじゃなかったのに。

軽い考えで飛び出して

結果は二人が幸せになるはずだった。

その結果は今も変わってはいない。

だけど、今見ている限り西郷君は無事に済みそうにない、無論麻由美ちゃんもそれを助けれるだけの余裕も無い。

思っていたより

初めてみる魔族との戦闘はキツイ物だった。


なにか、まちがっていたのだろうか。

本当に勝てるの?

二人を助けたい。私のせいだ。

ぐるぐると思考は回る。

だが、それだけで二人を助けられない。

自分もまた、磔にされている。



「もう、やめてぇ!!!!」



思わず大きな声が出た。

だが、魔族にはおろか、二人にすら届かない。

「どうしたら、どうしたらいいのぉ」


涙があふれてきた。

私の、私の「占い」スキルなんて。。何も役に立たないじゃないの!


そう、思った瞬間だった。




そう、スキルは進化する




「さ、西郷君、右に避けて!麻由美ちゃん!伏せて!」

口から叫ぶように声が飛び出る。


それを受けて二人は


右に跳ねた。


伏せた。


「なん、なんだぁ?!」


魔族の魔法を全て避ける二人。


「もう少し右!麻由美ちゃんも右に!」


二人が水田蛍の指示によって動く。


何度も、何度も。


なぜか魔族には、この声は届いていない。


スキル「占い」

仲間に向けた回避、反撃を予知により指示ができる。


スキルの進化した瞬間だった。


「そのまま!」


この声は頭に響くな・・・・


西郷の頭に響く声。

それは水田のものであった。

必死さが伝わる声。

それに従い、体を動かすと魔法を簡単に回避できる。


「ひゃっはー。西郷君すごいねこれ!」

「そうだな、すごいな!」


どんどん避けることができるが・・・反撃には遠い。







二人に指示は出来て、避けてもらうことはできるけど・・・・・

反撃はできないじゃない!


どうにか、どうにか反撃を・・・・・!!!!!!




何かがカチリと噛み合う、スイッチが入った音がした。




「西郷君!三角錐に、聖属性をかけて!」




出来ないはずの指示が出される。

[え。何言ってるの私、、]

水田は占いスキルの結果、頭に浮かんだ事を、指示しているだけでそれに意思はない。




聖属性付与ーーーーー




それは、魔法使いや神官のスキル。


だが、西郷にはそのスキルはない。



なかったのだが・・・・




「属性付与:聖!!!!!!!!!!」



え・・・?

俺、勝手にしゃべった!?


三角錐に聖属性が付与される。白く輝く、西郷のスキルによって作り出された三角錐


水田に操られた、わけではない。

しゃべったのは確かに俺だし・・・


でも、そんなスキル・・・・



「ちょ。西郷君そんなことできたの!?」

魔族の攻撃を避けながら柊は言う


「できねえよ。。。でも。。。。頭の中に何かスキルの使い方が流れ込んでくる」





その三角錐を打ち込む。

魔族の魔法障壁は、バリンと音を立てて、1枚、1枚が破れていく。



「なんだとおおおおおおおおおお」

魔族が叫ぶ。


そして俺は


「来い。聖剣・スピリットブレイド!」

頭の中に湧き上がるスキルの使い方を・・・・試す。


目の前に浮かぶ小さな魔方陣

その中心から、一本の剣が召還されてくる。


ー聖剣の召還ー


それを掴むと、俺は


一歩踏み出す。


一瞬で魔族の懐に入り、そして手にした聖剣で、縦に、切る。



ー魔族特効:攻撃力2倍ー


ー魔法防御:聖なる守りー


ー仲間を守護する場合、攻撃力が2倍ー


ー重度のダメージを受けていた場合、会心の一撃が出やすいー


ー敵にとどめの一撃を放つ際、一気に距離をつめることができるー




ー魔族を倒した際、消滅させるー



次々と発動するスキル。


本来俺は持っていないハズのスキル


「勇者」のスキルを


使い始めていた。




キィン



縦に切られた魔族はーディビットはー




音も無く消え去った。

それはもう、あっけなく。

悲鳴もなく一瞬で。




倒せそうに無い魔族を倒した。


だが、俺は・・・・どうなったんだ?



なぜあんなスキルをー・・・


倒せたことよりも、今起きたことがわからなかった。

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