6話 囚われの姫 前編
「この中にさ、ちっちゃな女の子こなかった?135cmくらいの。」
にこにこと笑顔を絶やさず、柊は話しかける。
「なんだお前は?人間か?」
「いや、来てないか聞いてんだけどさ。」
ちょっとイラっとしてきちゃってんだけど。
「知らん。帰れ。殺されたいのか」
死刑確定。
本気パンチ。
左腕を前に出し、右腕を引く。
腰を落として、やや前かがみになって
左腕を引くと同時に、右腕を発射。
ドスンッ
「はぁ~すっきりした。」
よっしゃ、これは怪しいな。黒だ黒。
ここに水田ちゃん居るに違いないわ。
「ねー」
報告したら怒られた。
ん?あ、潜入はするのね。よっしゃここで武神スキルの出番!
この門分厚そうだもんねー。
ま、この程度なら奥義使わなくても大丈夫よ、西郷にいいとこみせちゃおw
ドッガァアァァァ!
ほら、簡単!
どう西郷、見た?見た?
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「ゴルァ!なにやってんだ柊!・・・問題にならないように静かに入りたかったのに・・・」
こいつ・・・何も考えてないんじゃないか。
「まぁいい、とりあえず突入しよう。人が集まる前に水田探すぞ」
アスカと山根を残し、俺と柊で潜入する。
「誰だ!」
薄暗い廊下を走り抜けていくと、そこかしこに魔族がいる。
だが、気づかれた魔族は
シュン
と柊が消える
ドス
一撃で沈む。
柊が根こそぎおやすみなさいをくれている。
「それにしても柊、マジ強いな。。」
「あーそりゃね、武神スキルは強いよ。だから私に勝てた西郷には興味深々っすよ」
「まぁ、正気じゃない柊だったしな。勝算あったし。それに今の柊なら勝算は半々だ」
「ほぇ~それでも半々かぁ」
「スキルは使い方次第で伸びるからな。山根と水田のスキルもヤバイぞ。戦闘力としてだ」
「ふ~ん。想像つかないなぁ」
そう話しながら走り抜ける。
おっと、怪しい牢屋があるな・・・
「柊」
「あいよ」
キンっと音がして牢屋の鉄の格子が切り裂かれる。
階段か・・・・。
その牢の奥には、地下へ続く階段があった。
そのまま突き進むと。
「何者だ?キサマら。」
緑の髪、それにその筋肉質な肉体。身長は2mはあろうか。
戦闘系の魔族か?
「ここを領主様の館と知っての狼藉か?」
「ここに水田蛍という人間の女の子は来てないか?」
ピクリと、そのするどい目つきが動く。
「居るんだな。返してもらおうか?」
「知らんな。帰ってもらおうか。今ならまだお咎めなしで返してやる。」
「あーもう、こんなの倒して先に進んじゃお」
「調子に乗っているようだな。かかって来い」
シュン
柊が消える。
だが魔族は、右腕を上げ。
ガシィッ。
柊の蹴りを受け止める。
「へぇ、けっこやるじゃん」
「ふん。なにかスキルを持ってるな?人間」
「あんたもね、魔族!」
ドガガガガガガ
そのまま2人はお互いの技と技をぶつけ合う。
どうやら2人共、似たようなスキルを持っているようだ。
数分、技が交差するが決定打にかける。
「ふん、人間、お前の名前を教えてもらうか」
「柊だよ魔族。あんたの名前は?」
「デグだ。」
「デグか。スキルは何?」
「格闘系だ。」
「へえ、似てるね。私は武神よ。」
お互い、にやりと笑う。
「でも、それじゃ私にはかなわないよね。」
ー奥義ー
ー二つ頂の龍ー
柊の両腕がまるで龍のようなオーラを纏う。そして、デグに向かい放たれる。
ー魔功技ー
ー迅速雷ー
デグもその身を雷と変え、その龍を迎え撃つー
がー
ドンッ
一瞬だった。
デグはその威力の前に、吹き飛ばされる。だが、倒れない
「へぇ、やるねほんと。」
「・・・・・・」
「でもま、こんなもんでしょ。いこ、西郷」
デグはたったまま、気を失っていた。
「いや、こいつカッコイイ武人だな」
「そうね、けっこかっこいいんじゃない?」
柊はなんだかうれしそうだ。
「うれしそうだな。」
「うん、だって久々奥義はなって倒れないやつだからね。」
「完全にバトルバカになってんなお前」
「へへっ」
嬉しそうに笑う。
そのままデグの横を抜け、先へ進む。
細い道を抜けるとそこに・・・
「水田ぁ!」
水田蛍が縛り付けられていた。
「なんだお前らは。。。デグは何をしている!」
太った魔族。
「デグなら向こうで気絶してんぜ。」
「まったく、役に立たぬやつめ。」
ぶわっ
柊が駆け抜け、魔族に一撃。
ー奥義ー
ー粉塵ー
だが。
バシィ!
柊が弾き飛ばされる。
「ふん、見えとるわゴミめ!」
なー・・・あの柊を弾き飛ばせる!?魔法か!?
「しばらくそこで眠っておれ」
魔族が消える。
柊の真後ろに現れた魔族はそのまま柊に電撃を叩き込む。
「うぎゅ」
しびれた柊が倒れる
超回復
「ぷは。」
柊が起き上がるのをみて魔族が
「何ッ」
「あー、こいつ相性悪いわ。魔法使い系ね」
「だろうな」
「ふん、何のようだ」
「水田を帰してもらおうか?」
「嫌だといったらどうする」
「力づくでもだ。」
俺の出番だ。
魔族 デグ スキル 魔格闘 無手による格闘術に適正がある。 デグはかなりのレベルっぽい