表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の為なら働ける!  作者: ちょせ
1/16

1話 魔王のために

魔王の支配する世界があった。


魔暦555年、初代魔王の死去。死因は老衰である。

魔王には数多くの子供達がいたが、魔王死去まもなく跡目争いが勃発する。

だが党派の分裂それにより、勢力が衰えてしまった。


その時人族の王はひとつの賭けにでた。「勇者召還」である。

それは異世界より適性ある者を召還し、魔王を倒し、再び人族の歴史を刻むために人の王が思いついた策略。


そして、異世界「日本」より数多くの「勇者」が召還され、魔王軍を撃退、さらには都市のひとつを奪い返す快挙。

わずか2年での出来事であった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~



「あー嫌だ嫌だ、腹ペコだぜ、、」


この俺、「西郷 (のぼる)」は異世界に召喚されてすぐに

俺には適性がないとかで、一番安全とされている南の大陸、マーストの町へ移送された


あれは高校の修学旅行の時だった、小笠原に向かうフェリーが沈没し、気がつけば同級生達とこの世界に召喚されたのである

無論、ここは異世界。常識など通用しなかったし、そもそもそれで喜んでいるやつも多数居たのだ。


召喚の際に様々なボーナスを頂いた同級生達の大半は、勇者だ英雄だと、喜んだ。

そして召還主である、国王の命により魔王討伐に行かされた。

俺からしてみれば、そんな死ぬかもしれない冒険は嫌だったのと、いくらチートボーナスを貰おうが魔王なんて得体の知れない敵と戦う気はしなかったのが本音だ。


せっかく学業や、これからの就職の労働義務がなくなったのに、なぜまた、今度は死ぬリスクを抱えて働かなければならないのか!


なんて、逃げ回っているうちに二年が経ち、かつての同級生達は無事成長をしてついには魔王軍を撃退するまでになった。


だが俺は、逃げ回っていたツケが回ってきたのだ。


「もう金もないしなー。今更戻って行ったって、どうせ相手にされないしなぁー。」


今日、そのマーストの町からも追放された。

働かなかったので、二年前に王様から貰った生活費を使い果たした。

で、とある同級生にハメられて泥棒扱いされ、町人たちに追われてしまったのだ。


もうあの町にも帰れないな、、、


俺が異世界にきて、得ていたスキル、

「石を飛ばす:こぶし大までの石を10m程度飛ばせる」

「土を掘る:人が落ちるくらい深い落とし穴が掘れる」

の2つだった。


ほかの皆のスキルは

勇者・賢者・英雄・魔法王などがあり、あからさまにこの世界の魔王みたいな化物を倒すためのスキルがほとんどだった。

そのスキルはそのまま職業といっても過言ではない。

勇者のスキルなどは、

剣に聖属性を付与できる

仲間を守るとき、力が二倍になる

魔法耐性による魔法ダメージの軽減

などなどなどなど。


たった一つのスキルに見えるが、かなりの複合スキルとなっていた。

その点俺のスキルはごらんのとおり、情けないものである。


ゆえに、非戦闘員としてこの南の地マーストに隔離されていたのだ。

ほかにも数名いたが、各々のスキルはそれでもまだ、有用だったためにこの地でスキルを使用して文明革命を起こすとかなんとかいって働いていた。



俺のスキルは土木作業員そのものだったから、それこそ最初は重宝されたが、ある程度町の整備ができると即お払い箱にされてしまったのだ。


そこからはもう、悔しかったから「働いたら負け」をモットーにダラダラしていたんだが


さすがに見捨てられてしまった。


できることなら戻りたいがそれはきっともうかなわない。




俺はトボトボと山に向かって歩いて行った。

洞窟でも掘って暮らすかな・・・と。




それからさらに2年が経過した。




山にこもった俺は、スキルを使い洞窟を掘って住処にした。

その際、師匠とも呼べる人と出会い色々と山暮らしやスキルについて教えてもらった。

石を飛ばすスキルも狩りに使えたし、ここは魔物も少なく食料も豊富だったため、

何不自由なく暮らすことが出来た




すっかり暮らしに慣れて今日もさぁ、狩りだと出かける。


「あの頃からしたら俺、すげぇ働いてるわ・・・」


手はゴツゴツとして、筋力も付いた。スキルの方も使い続けたために、以前とは比べ物にならないくらいの威力となっている。


「だけど・・・、あいつらみたいに戦いに行くのは嫌だ」


今は生きるために、働いている。

でも、魔物や魔王軍と戦い、その報奨で食べていくのは、何か違う気がしたのだ。



「さて、今日は魚でも食べるか」


洞窟から川までにはきれいに道が出来ている。二年間過ごすうちにそこには綺麗な道ができていた


西郷の作った道


そしてこの世界の川はとても水が澄んでいて綺麗だし、さまざまな魚も住んでいる。



「ん?舟か?」

道を歩いていく先に見えるのは川

川につくとそこには小さな小舟と・・・中にボロボロの人間が乗っていた。

そろりとのぞき込む


「うおッ。」

人・・か?だが何か雰囲気が違う。

髪は長い、そして綺麗な赤だ、だがボロボロになっている

そして服装はボロ布をまとっているように見える

なにかあったのだろうか

俺はおそるおそる声をかけた


「お、おい大丈夫か?」

「あ、う。」


生きている。

顔をのぞき込むと、目が合った。真っ赤な瞳だ。

「た、、、」

かすれた声で、たすけてと聞こえた気がした。


人間は嫌いだ。だが、見捨てることもできない。


今日の狩りは中止だ。

そのボロ人間を抱き上げると俺は今来た道を引き返して行った。


あまり食べてないのかな?

ものすごく軽く服の上からだが骨がゴツゴツしていたのが分かった。

あせらず、ゆっくりと振動しないように運ぶ。

洞窟につくと、とりあえず俺のベッドに寝かせた。


「水、飲むか?」

「蒸留してるから綺麗な水だ。」

もともと綺麗な水なのだが、現代人の潔癖症かなぜかそのまま飲むことはためらわれた。

木で作ったコップに水を入れて、口から流し込んでやる。


少しづつ、少しづつ。


ごく、ごくり。


良かった飲んでいる。

あとでスープでも作って飲ませるか。

胃袋が空だと固形物はキツいだろうしな。


その後、スープを飲ませると、また気を失うように寝てしまった。



よく見ると女のようだった

まだ若いな俺より年下だろうか?

そのボロボロの姿からは色気など感じられない。

だがなんとなく、高貴な感じがした


久々に人と会ったせいか少しテンションが高いな、、俺。

とりあえず介抱をしてやることにする




それから数日


ボロボロだった女はなんとか起き上がれるようになったようだ


「ありが、とうございます。」


よほど疲弊していたのだろう、まだ声がかすれている


「あ、無理しなくて良いから。まだ寝ていたら良いよ」

俺の言葉に彼女は


「いえ、もう大丈夫で・・す。」

大丈夫だとにこりと微笑む

「そうか?話を聞かせて貰っていいかな?」


「はい。」

「なんでこんな所に?」

「それは」

「あ、言えないなら良いよ。訳ありなんだろ?とりあえず名前教えて貰えるかな?」

「アスカといいます」

「アスカ?日本人なのか?」

「日本人?ああでも確か先祖にそう言われた種族の方が居たのは聞いていますが、私は魔族です。」

「なんだ違うのか」


ほんの少し安堵する。


俺が一番嫌いなのはかつての同級生や同郷の人間に会うこと。

こんな原人じみた生活をしていると知れたら何を言われるか分かったものではないしな。


「あの」

「ん?」

「恐ろしくはないので・・すか?魔・・族ですよ?」

確かに、真っ赤な髪、瞳。だが人とあまり違うようには見えない。

「いや、、綺麗だとは思うけど、怖くはないかな。」

「き、綺麗、ですか・・・」

「ああ、確かに人間とは違うんだろうけど、俺は綺麗だと思うよ」

素直な感想である。

彼女は照れたのかもじもじとしている。

「まあ、体調が戻るまでゆっくりして治して。」


「ありがとう・・・ございます。」


そう言って彼女はニコリと微笑んだ。

俺はこのときから彼女に恋をしていたのかもしれない



それから半年あまりが過ぎた。



彼女はすっかりと良くなり、今ではあのボロボロだった髪や肌も色艶が出て物凄く美しい。

俺は看病するうち、もうかんっぺきに彼女に惚れていた。

きっと彼女も俺に惚れてくれている。と信じたい。


とゆうのは今日、狩りから帰ったら彼女に告白するつもりだ

彼女と2人で暮らすうちにまるで夫婦の様に息が合うようになったし、最近は毎日料理をしてくれて俺の帰りを待っている。

今では彼女が何者かなんてどうでも良い。

一緒に居られれば良いから




「帰ったよ。ただいま」

俺が住処に戻りそう言うと

「おかえりなさい」

ほら、笑顔で迎えてくれる。

そして思い切ってみる

「なあ、俺達・・・・夫婦にならないか?」

ギャー、心臓が爆発する!!ドクドク言ってる!!!

「えっ・・・・!!?」

アスカの顔が明るくなるがその表情がすぐに曇る。

「それは、嬉しいです。」

「じゃあ!」

「でも、たぶん無理です。」

「な、なんで」


次の瞬間、いろんなものが


ぶっとんだ。


「実は私」


なんだろう、嫌な予感する


「実は私、もう結婚しているんです・・・」


とかだったら立ち直れないかもしれない。


「実は私・・・・実は・・・・」


ゴクリ


緊張のあまり喉がカラカラになっている。


そして衝撃の一言が


「魔王・・・なんです・・・・」



え?魔王?


「魔王ってあの魔王?」


「どの魔王かは分かりませんけど、魔王です。」


「え?なんで魔王がこんなところに?」

んで俺となんでイチャラブ暮らしてた!?


「えっと、まだ力の覚醒が済んでなくてですね、実は次期魔王・・なんですけど。」

「実は先日まで幽閉されてまして。」


「え?誰に?」


「元魔王、おとうさまの部下だった者に、閉じ込められてました。」

ほほう、なるほどなるほどそういう断り方があったとはな

なかなか手の込んだ断り方だ

「数年前、勇者によってその部下がいた城を追い出された際に、私も逃げ出しまして・・・」


あるよねーそういうこと!ってないわ!

「で、逃走してたわけです」

「へ、へぇ」

「お父様の意思をついで、魔王になりたいなーとか、思ってますし」

「お。おおお」


こ、告白したらなんか魔王でてきたよ。。。。


「あ、登さんのことは好きですよ、殺したくないと思いますし。」

え、殺す殺さないのお話だったっけ!?


「それでも、私と結婚したいとおもいますか?」

急展開・・・

脳天から雷・・・というか、脳みそがとろっと出ていっている気がする。


「えっと、なので私と魔王軍を率いてただけます?」


え?嫁が魔王とか!?、


「え?うん、はい?」

なにながんだかわからない。


「わぁ!ありがとう!」

ギュっと抱きつかれて・・・

アスカの体の感触を感じながら


俺は魔王と結婚する?え?マジか?




数日後


二人は今まで暮らした洞窟を後にする。

入り口は(のぼる)のスキルで埋めた。


「登さん、本当に良いのですか?」

「ああ、構わない。決めたしな。」


結果、この世界を平定、いや魔王が治めれるようになったら結婚するということになった。

それまでは、結婚候補で。というわけだ。


これからは各国を回り、仲間をあつめていくことになった。

今の魔王軍は、アスカのものではないからだ。


ひとまず、人脈を作る。あと占領できそうなとこは占領していくとする。


俺は手始めに、マーストの町を占領するところから始める。


だが相手は俺なんかよりはるかに有用なスキル持ちの同級生達だ。

手段を選んで勝てる相手じゃない。


出来ることはなんでもしていかないとなぁ


それにしても





魔王の為に働くことになるとはね・・・・・・・・・・・






ご覧頂きありがとう御座います。


主人公 西郷 昇る スキル 石を飛ばす。穴を掘る


アスカ 時期魔王 スキル???

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ