表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華子(なこ)  作者: きりもんじ
4/18

克彦

なこの後について病棟のエレベータに乗る。

「なぜ結婚しないの?」

「それどころじゃなかったのこの5年間は」

急になこの顔が曇った。エレベータの扉が開く。


黙したまま少しうつむき加減になこの後に続く。

ナースステーションを過ぎ緊急治療室の手前に

個室が二部屋あってこちらは空室。


『こっちか?』

なこが静かに戸を開ける。

「パパただいま!おじさんが来たよ」

看護師さんが入れ代わりに出ていく。


中央にベッド。窓際に沿ってたくさんのモニターが並ぶ。

ベッド上部に点滴と痛み止めらしきビニール袋が宙に浮く。

そこに、酸素吸入マスクをかぶせられた克彦が

枕と布団を抱きながら体をくの字にして横たわっていた。


「克彦!おーい!」

耳元で叫んだ。何の反応もない。また叫ぶ。

目を閉じ口は開けたままで息を吸いかけては、

ふっと息を吐き切り胸がかたぐ。


「この画面は一番上が脈拍、これが血圧、酸素、一番下が呼吸です」

なこがモニターの数字を指さす。

「一番変動があるのは酸素吸収率で健康な人で95%。50%を切ると

危篤です。昨晩50を切りました。今は65で安定してますが・・・」


「意識は全然このまま?」

「もう戻ることはないそうです」

「そうか。克彦ー!おーい、克彦!」

治はもう一度大きな声で叫んでみた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ