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華子(なこ)  作者: きりもんじ
16/18

孫たち2

1時間半で北浦和に着いた。駅から記憶をたどりながら10分ほど歩く。

すると後ろから声をかけられた。自転車の三人乗りだ。

「じいじ!じいじ!」

身をよけざまによく見るとわが孫たちだ。四才のコタと三才のネネ。

今はやりの電動ママチャリから声をかけてくる。


「なんやお前たちか?」

ママが若く見えすぎるからもうすぐ三姉弟妹と間違えられるだろう。

いや増してこの幸せ感は何だ。何でもないようなことだがこの千葉と

埼玉の落差は大きすぎる。同じ瞬間に現実に起きていることなのだが。


翌日旦那は舞台の稽古なので四人で食事と買い物に出かけた。

ショッピングモールではいろんなイベントをやっていて

フラダンスやよさこい踊りなどなど、すわりこんでたっぷりと堪能できた。


マグドで昼食を済ませると家の近くの子供用品専門のリサイクルショップへ向かった。

かなりの品ぞろえで充実している。子供たちはもうきらきらまなこだ。

娘が不安げにじいじを見つめる。じいじは覚悟して笑みながらうなづく。


「じいじが好きなものを選びなさいって」

ネネが小さなお人形を持ってきた。

「こんなのでいいのか?もっとおっきいのでもいいぞー」

コタは機関車を一台持ってきた。

「一台でいいのか―?もっと買っていいぞー」


ネネがリカちゃんハウスを抱えてきた。とても持ちきれない。

コタは機関車を五台両手に抱えてきた。じいじ冥利に尽きる。

みんな大満足。幸せの限りだ。ところが家に帰って機関車が一台動かない。

コタはべそをかきだした。困ったことだ。

「コタ、ちょっと遠いけど散歩に行こう。替えてもらえるかもしれん」


コタは泣きながらついてきた。

「中古だからしゃあないかもなー」

そう言いながらコタと手をつないで歩いていると向こうから来たおばさんが、

「まあお孫さんですか可愛いですねえ。大丈夫よ元気を出していってらっしゃい」

どうも話の内容が聞こえていたみたいだ。

ほのぼのとしたしあわせはこんなところにあるのかもなあ、そうおもいつつ

件のショップに着いた。


「中古ですからよくあるんですよ」

店員さんは快く別の機関車と交換してくれた。コタの満面の笑み。

幸せは伝播する。しあわせいっぱいのじいじであった。




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