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華子(なこ)  作者: きりもんじ
10/18

百も承知

その時看護師が病室が終わりましたと報告に来た。

三人で戻る。酸素は75で安定しているようだ。

顔は向こうむきになっていて少し熱があるので水枕に替えてある。


ヒュウ―カクン。ヒュウ―カクン。ヒュウ―カクン。

相変わらず同じ調子で酸素マスクは息づている。


「ずっと枕もとでお題目あげ続けてますからいいですよ」

治は椅子を引き寄せ静かにお題目を上げ始めた。

二人は今後の打ち合わせのためにそっと病室を出ていった。


夕刻みんながどやどやと入ってきた。ひろこの声がひときわ響く。

「お義兄さんこの牛丼でいい?卵付!」

「ああ十分です。酸素は安定してるようだから適当にベッドで眠ります。

今晩はゆっくり皆さん休んでください」


「ありがとうございます。ではよろしくお願いします」

皆一同に頭を下げて出ていった。

すぐにひろこがバナナを持って戻ってきた。


「竹山さんいい人だね。なこ、あと添いになんてことは?」

「あり得ないわよ。何考えてるのお義兄さんは?」

「うん、うちの健吾もいい奴なんだけどなかなか縁がなくて京都の最大の

悩みなんだよ、いま32」


「まあ光栄なこと、きれいにお化粧させなくちゃあね。選択支の一つとして

は、あり得るかもね」


全く話になりそうもないか?今それどころでないのは百も承知の上だったが。

ついつい口をついて出てしまった。


「バイバイ!」

手を振って笑いながらひろこは病室を出ていった。

『こっちは本気で真剣なのに。もし一緒になって男の子が生まれたら、

それは松村家の唯一の世継ぎになるんだが』


そう考えながら治は再び腰を据えてお題目を上げ始めた。


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