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器と力

「う、ううう……はっ。ここは」

「お、気付いたか。いやー時はどうなるかと」

「おぬしは……ここは、いったいどこなんじゃ」

「おぅ、自己紹介がまだだったな。俺は田辺。ここは火星の警備会社の備え付けの病院だぜ」

「………」

「なんだよその顔は、べつに嘘ついてるわけでも騙してるわけでもないぜ」

「火星といったな」

「ああそうだよ」

「それはどの火星じゃ?」

「はあ?火星は、火星だろ。太陽系にある」

「そうじゃよな………すまん、いまいち状況が読めてない、たしかなのはあの暴走までじゃしな」

「暴走?いまいちわからんが、こっちからも色々聞きたいこともあるから、説明をしいしい質問する。あんたは何者なんだ」

「わしは森、しがない研究者じゃ」

「そうか、えっと……なにからはなせばよいやら。とりあえず、あんたは、次元の裂け目からでてきたんだ」

「次元の裂け目じゃと?」

「そう、俺たちもよくわからんからそう呼んでる。んで、たまたま見つけたうちらが保護したってわけ。ところでよ、一緒についてきた……ありゃなんだ?」

「あれ?」

「変に青白い光はなってるやつ」

「まさか!壊れてないだろうな」

「え、えと、俺らにはよくわからんからとりあえず保管してあるが」

「つれてけ!すぐ、すぐにだ」

「おおう、わかったから」

「(まさか、まさか)」


この時代、警備会社は多方面にわたって活動している。要人警護、暴徒鎮圧、宇宙探索、様々であり多くの場所にその会社の建物がある。

しかし、ここ特殊開発研究所はひときわ特別なところに存在する。火星の人が住んでいるところよりはるかとおくの、それも地下に存在する。そこに、いかにも建設中の巨大ロボット、それも従来の3倍近くの50メートルはあるものが静かにたたずんでいる。


「こいつは」

「ああ、こいつは極秘に建設中の巨大ロボット、他のロボットとは一線を画す性能を叩き出すために開発された、ま、はりぼて同然になってるが」

「どうしてじゃ?」

「こいつはエネルギーをバカ食いするんで従来の燃料タンクじゃどうにも動かせないんだよ」

「こんなの見せて大丈夫なのか?」

「ま、じいさんなら大丈夫だと思ってるし、それに、研究者ならあいつの中身を知りたいってのがわかるんだよ」

「ま、知りたいのは知りたいんじゃが」

「よっしゃ。これで研究者ひとりふえたっと」

「いや、まだやるとは」

「なにいってんだ。見ちまったんだから、やるよな」

「…………」

「まあまあそんな難しい顔しなさんなよ。っと、ほら、ついたぜ」

「こ、これは」

「よくわからんからなんもさわってないぜ、しっかしなんだいこりゃ」

「フフフ、フハハハハ!やった、まだ、まだ使えるぞ。ファーッハッハッハ!」

「………おいじいさん」

「喜べ田辺!これがあれば、これがあればあのロボットは完成したも同然じゃ!」

「お、おう…………え?」

「何度も言わすな、あいつは完成する。こいつがあればな」

「これ?」

「そうじゃ、ああ、これからが楽しみじゃわい」


こうして、張りぼて寸前だったロボットが完成するのであった。この出会いは、偶然の出来事なのか、それとも必然だったのが、その答えは、だれも知らない。

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