New Age Beginning【番外編】 -The Before- 第一幕・11指令発動(2)
New Age Beginning・・・。その戦いが始まる前の話。社会の歯車に翻弄され侵食され、そして崩壊していった過程の物語・・。
エジプトに向かう機内の窓から眼下の雲を見て男は物思いに耽っていた。
「あの局長は何か勘違いしている。どこで聞いたかは知らないが俺がエリートで有能なエージェントと思い込んでいる。彼が言う様にICPOに就いていたのは間違いは無いが、国際指名手配の凶悪犯や国家的テロリストを追っていたわけじゃない。研修期間という形式で誰も寄り付かない地下の倉庫のような所で、これまた一癖も二癖も有りそうなマニアックな連中と理解不能な事件を追い世界を股に駆け飛び回っていた。そんな最中に世界がどう動いていたなど耳に入ってこない。ましてや国際的な犯罪になれば、それこそトップエージェントがしゃしゃり出る。俺の出る幕なんか無い」
男は窓に肘を付き、何気に白い雲を眺め昔を懐かしく思い出し微笑んだ。割かし過去の仕事が嫌だったというわけでは無いらしい。
「日本に帰り外務省に就いたが、張りの無い空虚な毎日が続くだけで生きた心地がしなかった。日本という国は活力が無い歯車が空回りするような体制がいつまで続くのだ」
男の顔から笑みが消えた。
「そういえば、あの局長は理解に苦しむ意味の分からない事を言っていたな・・。地球規模で起こる災いは我々が防いでいるとか?人類を救っているのはこの組織だとか・・?いうなれば秘密の地球防衛組織・・。世界中がパニックにならないよう知られずに未然に災難を防ぐ正義の味方・・。諜報機関を大げさに言っているだけなんじゃないか?しかし、それが本当の事だとすると運営資金は国家資金のゴーストマネー・・?いわゆるひとつの巷に広がる陰謀説じゃないか。まさかね・・。それでもいいさ、また地下暮らしになりそうだが、なんだか面白そうだ」
男の顔に笑みが戻った。
「ところで後の五人のメンバーはどこにいるんだ。胡散臭い連中じゃない事だけを願おう」
男の考えがまとまった頃、飛行機はエジプト国際空港に近づきアナウンスが流れた。
空港を降りるとそこには主要都市の近くまで砂漠化が広がり、褐色の砂がそこに住む人々の生活機能を脅かしていた。しかしそれは見る目によっては一風幻想的な世界だった。砂に埋もれた都市。アスファルトを覆った砂の道路には普通乗用車は麻痺して四輪駆動のジープが主流になっている。
男にとって長く日の当たらない地下生活が長かった所為か、日差しが肌に厳しい。
「強力な日焼け止めクリームを塗ってきていて正解だったぜ」
日焼け止めクリームを塗った白い汗が流れ落ちる。
「その“ロゼット・ペイソン”というお偉い先生がこのエジプトにどういう風に到着するかというのは、極秘ルートでごく一部の人間しか知らない。ましてや何処に宿泊するかも勿論の事だ。私設警備を雇っていると聞いたが、それがどこまで当てになることやら・・」
男はハンカチでその白い汗を拭い小型ジープのタクシーに乗り込んだ。よく通常のタクシーのあるように後部座席の片方のドアが開いてあり客を招いている。男が乗り込んだ途端、その開いていた後部座席のドアが勢いよく閉まり重量感のある重い音を立てた。
「お待ちしておりました、枡崎翔司さん
タクシー運転手は後部座席の男が深く座った所を見計らい一言口にした。
「手が早い・・」
男はきょとんとしている。
「他のメンバーも集まっておりますので少し急ぎますよ」
タクシー運転手はそう言って四輪駆動車を急発進させた。・・・つづく
読者の皆様へ・・。このストーリーは見切り発射のため更新が不規則となります。ご了承願います。




