第七章・信仰と罪(8)
遠藤広子とNo.6は照明の消えた薄暗い中、“関係者以外立ち入り禁止”と書かれたコンピューター制御室の前にいた。
遠藤広子は特殊工具を使い鍵をこじ開けている。
「どういうことか説明してよ!」
後ろに立っているNo.6がじれったく聞いてきた。
「あなたが持っている能力だったら、私の考えていることは分かっているはずよ!」
遠藤広子は作業を続けながら言った。
「あなたの口から聞きたいのよ!」
No.6は小さく苛立っている。
「あっ!開いた!」
鍵は音を立て遠藤広子がドアを開けた。暗い部屋の中には起動している機械の群れのランプだけが点灯している。
遠藤広子とNo.6はゆっくり部屋に入っていった。
「今の社会は政府が管理している訳じゃない。“帝国”という秘密結社が支配しているのよ。だから軌道を飛んでいる衛星もその支配下にあるわ」
遠藤広子はペンライトの明かりを付けた。
「だからどういうこと・・」
No.6は恐る恐る聞いた。
「あなた達が送った信号を辿り場所を特定して旧人類を抹殺しようとするわ」
遠藤広子は明かりを翳しながら歩き出した。
「旧人類って言わないで!」
No.6は怒った。
「やつらはそう呼んでいる」
「ところであなたは誰?私達が間違った信仰をしているってどういう意味?」
No.6はドアの前に立ち止まったままでいる。
「その旧人類よ。私の事は心を読んで分かっているでしょ。あなた達の事は噂で聞いたことがあるの。危険な信仰をしている団体だと」
遠藤広子はあちらこちらに明かりを照らしている。
「まさか・・、私達は世の中を善い方向へと導こうとしているわ!それってどういう噂話よ!」
No.6は感情的に大きな声になった。
「それを今調べているのよ」
「調べる必要はないわ。私が教えてあげましょう」
正面の大きなモニター画面に代表の顔が映った。同時にドアが開き一斉に銃を構えた白マントの女達が入ってきた。
「お二人を講堂にお連れして」
モニター画面に映った代表が銃を構えた女達に指図した。女達は遠藤広子とNo.6に銃を向け歩くように手振りしている。
No.6は怯えているが遠藤広子はじっと代表の映るモニター画面を見つめて問い掛けた。
「あなたはいったい誰なの」
モニター画面の中の代表はうっすら微笑んでいた。・・・つづく