第五章・我等が為に鐘はなる。ー第三部/ならずもの部隊ー(3)
話はまだ続いた。DNAを解明すれば遺伝子を改良して新人類を造りだし、意のままに動くロボット社会の時代を迎えるというのだ。なんだか昔流行った手垢のついた映画だ。しかしあながち嘘ではない。現に想像の産物が科学の発展によって現実に生まれている。そこで俺は核心に迫った。何故俺に見せた・・。何故この男はここまで知っている・・。男から出たその言葉に俺は驚愕した。男は元政府の人間で機密機関の中枢にいたらしい。だが、いまの政府のやり方に反抗して俺と同じ労働者となり身を隠し、その間、同士を集めていたそうだ。此処にいる連中はレジスタンスのメンバーで俺はそのリーダーに選ばれたのだ。どうして俺が・・!。冗談じゃない・・!。この国の未来がどうなろうと知ったことではない!。俺は早く帰って彼女と逃げ出したいんだ!。話は俺の思いを勝手に一人歩きをして進んでいった。どうしてもこの世界は二つに分かれる。むかし裕福な者と貧しい者があれば、いまは看守と囚人に別れている。自由があるようで規則に縛られた現代。それをまた人間を基から変え、神への冒涜ともいえることをしようとしている。手が付けられなくなる前に“指導者”を見つけ出しひれ伏せさせることだ。・・・と。この男の演説はもういい・・。“勝手にやってくれ”そう言い残して立ち去ろうとした時、振り返ると小さな影が立っていた。そう、彼女は微笑みながら俺に向かって敬礼をしていたのだ・・。・・・第三部おわり