第四章・第三戦争始まる(7)
バスは宇宙センターに到着した。招待された客たちは展望台に案内された。そこはパノラマになっており一望を見渡せられる。小佐井と山崎は全く逆の方向へと足を走られた。
「何を探せばいいんだ」
「“関係者以外立入禁止”の部屋に片っ端から入っていけば何かに当たるわよ」
二人の立場が知らぬ間に逆転していた。
「いったい、・・いくつあるんだ・・・!」
「分からないわよ・・。ほとんどが“関係者以外立入禁止”なんだもの」
“関係者以外立入禁止”の部屋は思ったより多かった。今まで見た部屋はたいした手ごたえはなかった。
「しかしおかしいと思わないか。いつもは此処は“関係者”だけのはずだよ。今日の招待客はそのまま展望台に案内されたから迷子にならない限りこんなところまで入らないはずだ。なのに何故、“立入禁止”の張り出しがされているんだ」
「それは私たちが入り込んでいるじゃない。張り出しの理由は・・・、従業員のなかでも別の“関係者”がいるんじゃない」
二人はすでに地下まで来ていた。天井にはあらゆる配管が走りそこに配線が張り巡らされ周りは訳の分からない機械が並んだ薄暗い場所だった。
「なんだこれは・・!」
そこには何もない壁に覗き穴らしきものがあった。
「みてみましょ」
小佐井が覗いた瞬間、その何の変哲もない壁が自動的に開いた。
「なんだこれは・・」
「その言葉二回目よ!ボキャブラティのない人ね。だけどここは何・・」
そこには何台もの監視モニターが並んでいた。衛星を積んだロケット。準備を続ける作業員。観客の顔。それぞれのモニターにはあらゆる場所が映し出されていた。
「この画面見ろよ。有数大手企業の幹部連中だ。他に政府の人間もいるぞ。“関係者以外立入禁止”の意味はこいつらのことだったんだ。ところでなにを見ているんだ」
「たぶん、これよ」
小佐井の見ている先には腑に落ちないものが映し出されていた。
「UFO・・・」
「なに・・・、なんなのよ・・・」
「これはスクープだぜ・・。国際デジタル化時代は表向きで実際は政府と大手企業が手を組んであんなものを開発していたんだ」
「私たち大変なものを見てしまったんじゃない?生きて帰れるかしら・・・」
「それより先に此処から出れるかどうかだ。俺はいまだんだんと眠くなってきたよ」
「私も体がだるくなってきたわ」
二人はゆっくりと床に倒れこんだ。その時すべてのモニターは二人の姿が映っていた。・・・つづく