第三章・アンドロイドたちの夜(3)
「当社をお選びいただきありがとうございます。お客様は幸運でございます。当社では他社に比べ最新のテクノロジーを使い、理想のお子様を提供させていただきます。まっ、それが我が社の売りなんですけど!それではお手続きへ入らさせていただきます」
「私たちはそんな時代に生まれた」
少女は遠くを見つめ語りだした。
「ご説明いたしますと現代医学の発展につれDNAが解明された今、ナノテクノロジー、ヒトゲノムなどの研究の発達により特許を取得すれば、私ども民間企業でも利用できるということです。まっ、難しい話は置いといてパソコンの前へどうぞ」
「私たちは生まれたのではなく造られた」
少女の目から一筋の涙が流れた。
「まずは外見。やはりぱっと見が大事です。お子様の理想の顔をサンプルをご覧いただき輪郭からご入力ください。幼児から大人に成長した顔がシュミレーションできます。次へに進んでIQですが、当社は基本的装備として誕生したときから有名大学卒までの学歴を脳にインプットさせていただいております。あとお客様希望でそれ以上の能力をご用意お付けいたします。最後に病気へのウィルス対策、いじめ、差別など悪影響を及ぼす思考、思想のカット、社会上困難と思われる性格、感情の削除は既にプログラム済みです。あとは区別のため男女どちらかお選びください。それで決定していただければ完璧なお子様のセッティングは終了でございます。次の段階はここでご入力いただきました情報をスーパーコンピューターに送り込み、そこよりデジタル化されたDNAが巨大な試験管へと流れ、そこで一ヶ月間お子様が育っていきます。その経過も観察できますのでご安心を。初対面の日には五歳ごろまで成長した姿でお渡しさせていただきます。まっ、流れとしましてはこのような形でございます。それではご会計のほうへ・・・」
「しかし私たちは不良品だった」
少女は力強く拳を作った。
「お客様クレームは困ります。当社では5年間は保障期間で返品も承りますが、それを過ぎるとお客様のご責任のうえで育てていただております。当社といたしましてはもう管轄外で関わりのないことになります。そのことは最初の契約時にご署名いただいているはずですが・・・。まっ、細かいことを話しても仕方ございません。お困りの事でしたらなんとか対応させていただきましょう。お会計は少しお高くなりますが・・・」
「それで私たちは捨てられた」
少女は歯を食いしばった。・・・つづく