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虎党悪役令嬢になる  作者: 南蛇井


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5

ある夜。


王城の天文塔で、レディナは奇妙な魔法陣を完成させた。


「これは……?」


王子ラングレッサが息を呑む。


「前世の記憶が、どうしても引っかかりますの。

“二軍”“育成”“鳴尾浜”――意味は分からない。でも、繋がる気がするのですわ」


魔法陣が光る。


空が裂ける。


そこに映ったのは――


巨大な円形競技場。

無数の観客。

黄色と黒の波。


そして、甲高い応援。


「……ここは……」


レディナの目に涙が浮かぶ。


「ああ……ここが……」


映像の中の看板に、大きく記されている。


HANSHIN TIGERS


王子が呟く。


「“阪神タイガース”……」


その瞬間、魔導院の大賢者が叫ぶ。


「分かりましたぞ! 我らの世界の魔力波動……あの世界と周期が一致しておる!」


「どういうことですの!?」


「つまり――」


大賢者は震える指で空を指す。


「我らの世界は、あの球団の“二軍育成領域”なのです」


沈黙。


「…………は?」


解析は続く。


・王子のFA宣言 → 主力昇格テスト

・断罪イベント → 戦力外通告模擬演習

・貴族派閥争い → ポジション争奪戦

・レディナの縦じまドレス → 本来ユニフォーム適合者の証


ヒロインが真顔で言う。


「じゃあ私たち……育成選手?」


リースが青ざめる。


「一軍に昇格したら、世界から消える……?」


大賢者は静かに頷く。


「昇格とは“転生”なのです」


王子は拳を握る。


「ならば私は、一軍に上がってみせる!」


レディナが静かに首を振る。


「……いいえ」


「なぜだ!?」


「二軍は敗者ではありませんわ」


彼女は空を見上げる。


「あの球団は、何度負けても、何度も育て直し、挑み続ける。

二軍は“可能性の世界”。終わりではなく、始まりですの」


その瞬間、城中に響く謎の場内アナウンス。


《本日の昇格者を発表します》


全員凍りつく。


《王子ラングレッサ》


光が降り注ぐ。


王子の体が透け始める。


「……どうやら、私の番らしい」


「待ちなさい!」


レディナが叫ぶ。


王子は微笑む。


「安心しろ。向こうで活躍すれば、この世界は誇りとなる」


「勝手に美談にしないでくださいませ!」


「レディナ。来季、優勝を」


「だから定義が!」


王子は光に包まれ、消えた。


静寂。


その翌日。


王城の壁に新たな紋章が刻まれていた。


FARM SYSTEM – DEVELOPMENT WORLD


レディナは黄色と黒の縦じまドレスを翻す。


「……ならばわたくしは、この二軍世界を最強にして差し上げますわ」


ヒロインが聞く。


「目標は?」


レディナは不敵に笑う。


「全員、一軍昇格」


リースが震える。


「この世界、消えません?」


レディナは少し考えてから言う。


「そのときは……」


空を見上げる。


「きっと優勝ですわ」


そのころ、遠い世界のスタジアム。


大型ビジョンに映る新戦力。


“RANGRESSA – CALL UP”


観客席から黄色と黒の歓声が上がる。


そして、どこからか聞こえる。


「六甲おろし」の旋律。


こうして判明した。


この世界は、

阪神タイガース の二軍育成異界だったのだ。


なお、レディナはGMに就任し、育成制度を魔改造する模様。

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