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断罪――改め、“王国ドラフト会議”から一年。
王城大広間に再び重苦しい空気が漂う。
今年は様子が違った。
壇上に立つのは、王子ラングレッサ。
その前に立つのは――レディナ。
黄色と黒の縦じまドレスが、今日はやけに静かだ。
宰相が淡々と読み上げる。
「王家は来季構想の見直しに伴い……王子ラングレッサ殿下に対し――」
ざわ……。
「――ドラフト外通告を行う」
静寂。
「…………は?」
王子が固まる。
ヒロインが青ざめる。
リースが小声で言う。
「戦力外、ってこと……?」
王子は震える声で抗議する。
「ま、待て! 私は王家の正統後継者だぞ!?」
宰相は無情だ。
「胆力B。判断力C。感情で動く傾向あり。
レディナ様との交渉成功以降、成長曲線が横ばい」
「数値化するな!!」
レディナは静かに前へ出る。
「理由を、正式にお聞きしても?」
「王家は来季、より冷静で計算高い人材を求めております」
その瞬間。
王子の目に涙が浮かぶ。
「……私は、足りなかったのか」
ぽろっ。
「私はただ……お前の隣に立ちたかっただけだ……」
号泣。
「うわああああああああああああ!!」
王子、床に崩れ落ちる。
貴族騒然。
「泣いた!?」「王子が!?」
レディナは呆然としながらも、そっとハンカチを差し出す。
「み、見苦しいですわよ」
「だって……だって私は……」
王子はしゃくりあげる。
「君を単独指名できたあの日が、人生のピークだった気がして……!」
「ピークをそこで使い切らないでくださいませ!」
そのとき。
レディナは高らかに札を掲げた。
逆指名
「グランツ家は――王子ラングレッサを、逆指名いたしますわ!」
ざわあああああ!
「逆指名!?」「制度にないぞ!」
レディナは堂々と言い放つ。
「制度がないなら作ればよろしい。
わたくしは“将来性”を買いますわ」
王子、涙でぐしゃぐしゃの顔のまま顔を上げる。
「……将来性?」
「ええ。胆力は伸び代。判断力は経験値。
何より――」
彼女は少し照れながら続ける。
「泣ける王子は、悪くありませんわ」
会場、沈黙。
ヒロインがぽつり。
「評価基準そこなんだ……」
宰相は深くため息をつく。
「……王家は方針を再検討します」
結果。
王子ラングレッサ、まさかの残留。
王子は鼻をすすりながら宣言する。
「来季は必ず成績を上げる! 政務打率三割を目指す!」
「打率の概念が王政に入ってきましたわね……」
夜。
レディナは黄色と黒の縦じまドレスで月を見上げる。
「ドラフト外でも、また立ち上がればいい……」
王子が隣で聞く。
「その“阪神タイガース”とやらも、そうなのか?」
「ええ。外れても、負けても、翌年また挑むのです」
王子は拳を握る。
「ならば私も毎年挑戦する王子であろう」
レディナは微笑む。
「来季こそ優勝ですわね」
「優勝の定義が未だに分からん!」
だがその夜、王城には確かに希望の風が吹いていた。




