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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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首集めの姫君はかく語りき

作者: 朝霧 陽月
掲載日:2025/12/30

 この部屋の棚に置かれているのは、人の頭部だけを切り落としたソレ。

 ずらりと並んだソレらのうちの一つに、そっと手を掛けた人物は、優しくソレを撫でた後両手で持ち上げる。


「ねぇ、見てみて素敵でしょ!私のコレクション」


 その部屋の物々しさに反して、明るく可愛らしい声で歌うように自慢する彼女こそが他でもないこの部屋の主だった。


「我が主はこの部屋に来るたびに、そう仰いますね」

「だって本当に素敵なのだもの!!今持っているのは自己犠牲心の強い聖女の首で、そっちにある金髪は死に急ぎ屋の勇者サマ!で、そこにまとめて置いてあるのは、自らの身勝手さで国を滅ぼした王サマとその王様を誑かした国一番の悪女首よー!凄いでしょ!!」


 彼女はドレスを靡かせながら、銀髪の聖女の首を持って踊るようにクルクルと回る。


「わざわざ腐食防止の魔法を掛けてまで、大事に手元に残している意味が分かりません。死んだら終わりでしょうに」

「はっ何も分かってないわね!?人間はね、首から上が一番価値があるのよ。だからその中でも価値のある、より面白い人間の首から上を集めているの!!」


 露骨に不機嫌そうな様子で彼女は首を掲げて反論する。


「貴女がそれを仰いますか、首無し姫のセルヴィリアン様……」


 そう、散々首を弄びながら、彼女自身には首から上がなかった。

 ゆえに先程からの言葉も、彼女の魔力により疑似的に声帯を模倣して会話しているに過ぎないのだ。


「ふんっ、私は良いのよ魔族なのだから。首が無くたって死なない私が、たかが人間や、首が無くなった程度で死ぬ魔族なんかよりも、ずっと上なのは間違いないのだから」


 彼女の言う通り、人間より遥かに頑丈とは言え、普通の魔族であれば首がなくなれば死んでしまう。しかしセルヴィリアンはその強大な魔力ゆえに、首が無くなった状態でも全く問題なく活動することが出来ていた。


「あの、如何に姫様といえども同族に手を出すのだけは、おやめくださいませ」

「分かっているわよ、流石にそんなつもりはないわ」


「……ええ今のところは、ね」


 首集めの大魔族、首無し姫セルヴィリアン様。

 悪名高い彼女が同族に手を掛けるようになるのは、まだもう少し先の話である。


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