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「……何、これ……?」
私が端末を見つめて固まっていると、すかさずアカリが身を乗り出してきた。
「ちょっとハル、なになに?! 彼氏からでもメール来た?!」
「まって、まって、近いしちがうって!」
慌てて隠そうとしたけど、時すでに遅し。
背後に回っていたミナトの手が私のスマホをひょいっと奪い取る。
「抜け駆けはゆるさないし...」
と呟き、ミナトとアカリが画面を覗き込む。
「「『オーソライザー任命通知』?」」
アカリとミナトが声をそろえて読み上げる。
アカリは顔を輝かせて言う。
「やっば!! ハル、エリート確定じゃん! まじでやばいよ!」
私のスマホをミナトから取り上げ、高々と持ち上げながらアカリはくるくると踊るように回っている。
「いやいや、待って! 私そんなのやるなんて言ってない!」
そう私はただの女子高生だ、陰陽師なんてたいそうなものになれる資格や能力なんて持ち合わせていない。
「言ってないも何も、任命されちゃってるじゃん。心当たりとかないの?」
ミナトが冷静に分析しながら、私に質問をしてくる。
「えぇ、心当たりなんてないよぅ・・・」
私が頭を抱えていると、アカリが持ちあげているスマホが短い通知音を鳴らし、メッセージが届く。
【任務指令:校区外廃墟ブロックにて式神の挙動に異常を検知。偵察・確認を行え】
アカリがさらにテンションを上げる。
「うわっ、任務まで来た!?激ヤバじゃん!ヒーローだよ!ヒーロー!いってみようよ!!」
「・・・偵察、確認、だって。別に戦うとかじゃないみたいだけど」
任務の内容を再度確認する。
ミナトが眉をひそめる。
「でも危険だってことには変わりないよ。普通は陰陽師以外、関わっちゃいけない任務だよ。いかないほうがいいよ」
「せっかくハルが選ばれたんだし、見に行こうよ!」
アカリは目をキラキラと輝かせている。まるで遠足前の子どもみたいに。
「やめときなよ。危険だし警察に相談したほうがいいよ。」
ミナトが冷静に制止する。
「じゃあ、ミナトだけ帰ればいいじゃん!私たちは見に行く!」
アカリは私に腕を絡ませてくる。
「ちょ、ちょっと待って! 私、まだ行くなんて一言も・・・」
と言おうとしたが、アカリの無垢な子供のような真っすぐな目で見られてしまい、断れなくなってしまう。
「……ったく」
頭を抱えながらミナトが言う。
「どうせ放っといたら一人でも行くでしょ。だったら付き合ったほうがまだマシ」
嫌そうにため息をつきながらも彼女はついてきてくれるみたいだ。
私は嫌な胸騒ぎを覚えつつも二人と校区外の廃墟に向かうことにした。
--その先に、何が待ち受けているかも知らないまま。
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今日の夕飯はしゃぶしゃぶでした。




