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風邪ひいてました!
体調がよくなってきたので少しずつ再開します!
休んでる間にラノベ読み漁ってきたので少しだけ書き方変えてみます!
ビルの自動ドアを抜けると、内部には別の異質さが広がっていた。
壁と天井はどこまでも機械的に磨き上げられ、白色の蛍光パネルが埋め込まれている。
光は均一に床を照らしており、影がほとんど生まれていない。
壁際に並ぶ観葉植物をみると、人工的に作られた模造品で緻密かつ精巧につくられていて、生命の気配を全く感じない。
ーー人工的な清潔さ。
まるで潔癖といえるようなほどに、自然を排したそこは、
外の自然と機械の調和をあざ笑うかのような徹底的な「美しさ」を保っていた。
内部の不自然さに思わず足を止めて呆然としていると、不意に服の裾を引っ張られるような感覚。
「...ん?」
後ろを見るとウサギのぬいぐるみを抱えた少女が私の裾を引っ張って立っている。
白い長髪に整った顔立ち、身長は私の腰よりも少し高いくらい。
少女はじっと私を見上げ、ぽつりと呟いた。
「...うさぎさん?」
「う、うさぎさん?」
思わず聞き返してしまう。何のことか皆目見当もつかない、私にはうさぎになった覚えもなければこの少女との面識があるわけでもない。
「シラトリさん、お早い到着ですね。偉いですよ」
「ん...」
前を進んでいたはずのエンリさんが、音もなく戻ってきたかと思うと、シラトリと呼んだ少女の横に立ち彼女の頭を撫でながら褒めている、撫でられている本人はとても気持ちよさそうにその手を受け入れている。
「彼女はルル・シラトリさん、陰陽師の一人です。」
「えっ...!?まだ子供じゃないですか?!」
思わず声を上げてしまった。
どう見てもまだ小学生くらいにしか見えない。ウサギの人形を抱きしめて、エンリさんに頭をなでられて喜んでいる姿は、ただの子供そのものだ。
私は昨日の夜の光景を再び思い出し、その場にいたのがこの少女だったらといやな想像をしてしまい、眉間に皺を寄せてしまう。
「ハハハッ」
そのやり取りを聞いていたデイヴィッドが、タバコを咥えながら笑いだす。
「僕からすれば、ハルちゃんもまだまだ子供だけどねぇ」
あっけにとられた私を横目に、彼はさらに肩をすくめて付け加えた。
「陰陽師ってのはね、年齢とか見た目で決まるもんじゃないんだ。力と適正、それだけさ」
「.....」
返す言葉が見つからず、私は息を呑む。
デイヴィッドは煙を吐きながら、少しだけ真剣な顔でつぶやく。
「管理A.Iってのは、差別なく区別なく、皆に平等なのさ」
私たちの会話の重苦しい雰囲気をよそに、ルルは人形を抱きしめたまま、にこにこと私を見上げている。
「ーーなんと美しい」
廊下の先から突如、感涙したかのような男性の声が響く。
現れたのは背の高い男、堀の深い顔にキレイに整えられた髭をたくわえ、髪型はきっちりとワックスで固められたオールバックになっている。
陰陽師に支給されている白い服の上から広い肩にマントを羽織り、目には熱を宿している。
「おお....!!まさに天から舞い降りた天使よ!」
私の前に立つや否や、男は懐から赤いバラを取り出し、片膝をついて私に差し出してくる。
「私はブルーノ・マタドール!この胸に宿る炎は、今この瞬間から君のために燃え続ける!!」
「えッ、ちょ、ちょっとなんですか?!この人!?」
瞬時に手を引っ込める私を横目に、エンリが深々とため息をついた。
「また始まった...」
ブルーノは今度はエンリに熱い視線を向ける。
「もちろんエンリ嬢!君とのデートの約束も忘れていないさ!この後私とマンサニージャでティータイムはどうかな?」
「断るわ」
即答され、ブルーノは胸を押さえて「心臓が張り裂けそうだ!」と大げさに叫ぶ。
だが次の瞬間には立ち直り、懐からもう一本花を取り出すと、今度はルルの前に差し出す。
「そしてルル嬢!純真なるあなたにはこの薔薇をーー」
「....うさぎさんにあげる」
ルルは迷わず抱えていたウサギのぬいぐるみに花を持たせた。
そのあまりの自然さに、私は思わず吹き出しそうになる。
デイヴィッドが咥えてたタバコを笑って吹き出しながら私に耳打ちをする。
「ああ見えてブルーノ、任務じゃ誰よりも頼りになる男なんだ。...まぁ、ちょっと暑苦しすぎるけどね」
「ルル嬢!ウサギ君にもいいですが、あなたにお渡ししたいのでーーぐわっ!」
ルルに絡んでいたブルーノにエンリの鉄拳が炸裂する。
エンリの顔はさながら鬼のようになっていた。ファイティングポーズをとりブルーノに二度三度と攻撃を見舞う。
そのすべての攻撃がブルーノの顔面を狙っているものだと気づき私はゾッとする。
「エンリ嬢からッ!そんなッ!熱いッ!アプローチを頂けるなんてッ!!ぬあああああ!!」
思い切り顔に一撃をもらったブルーノは悲鳴をあげ倒れて、頭から血を流している。
しかし、攻撃をもらったブルーノ本人はというと幸せそうな顔をして「燃え尽きたぜ...」とふざけて白くなっている。
エンリさんは右手にルルちゃんの手を掴み、左手にはブルーノの襟首をつかみ引きずりながら
「先に会議室に行きます。二人はあとから来てください」
とだけ淡々とつげてエレベーターのほうに去っていく。
その様はまるで事実上の両手に花と形容したらいいのか、右手に可憐な白いバラ、左手には情熱的な赤いバラ。
しかし、赤いバラのほうは血みどろの痛々しいバラだが。
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ーーー3人を先に見送った後、私とデイヴィッドはエレベータに乗り込む。
狭い空間に沈黙が流れる。
フロアが上がるたびに自分の胸の鼓動も緊張で跳ね上がっているような気がしてくる。
「ここからが正念場だよ、ハルちゃん」
デイヴィッドが軽く肩に手を置き、少し微笑む。
「気を引き締めていこう。大丈夫さ、僕がなんやかんやして、罰を軽くするからさ」
この人は頼りになるんだか、ならないんだか....
しかし、その言葉で自然と気が楽になる。
胸の鼓動はまだ早いけれど、少しだけ、ほんの少しだけ安心感が生まれる。
エレベーターが最上階に到着し、扉が開く。
扉が静かに開くと、光に照らされた白く長い廊下が目の前に広がる。
一番、最奥に黒い両開きの扉があるのが見える。
「さぁ、行こうか」
デイヴィッドがこちらを見ずに先に歩き出す、まるで迷った歩みを導いてくれるかのように
私も背筋を伸ばし、会議室の扉に向かって歩き出した。
今日はそうめんにしました。喉がまだ痛いです




