ある少女の独白
ーー私のせいだ。
私が二人を誘わなければ。
あの日、廃墟ブロックに行こうなんて言わなければ。
ミナトが怪我をすることも、
ハルが囮になって命を張ることも無かった。
昨日の夜、夕飯は一口も喉を通らなかった。
眠れないまま、長い長い夜が過ぎていった。
朝、廊下でミナトに出会った時、少しだけ安心した。
食堂でハルが笑ってくれたとき、ほんの一瞬だけ、「日常」が戻ったと錯覚した。
でも、登校の途中で私が周りを見ずに無神経に発言しようとしたとき、二人に口を塞がれて「まだ戻ってないんだ」と冷たい現実を突きつけられたような気がした。
私は笑って誤魔化そうとした。
平気なふりをして、何も無かったみたいに歩き出した。
その軽薄さが、自分でたまらなく嫌になった。
そう思った途端、吐き気が込み上げてきた。
私は二人を置いて学校に駆け込み、トイレで胃の中の内容物を全て吐き出した。
もう何も残っていないはずなのに胃の奥に淀んだ何かが沈澱しているようで、不快な感覚だけが残った。
それでも、教室に入ればきっといままで通りに三人で笑いあえる「日常」が帰って来ると信じていた。
しかし、「非日常」は無情にもこちらの世界に割り込んできた。
「ハル・ミカドを拘束、及び連行する!」
その言葉を聞いた時、私は一瞬凍りついてしまった。
どうしてハルだけが?ハルは何も悪いことはしてない!悪いのは私なんだ!そんな言葉が頭の中を巡る。
女性がハルに向かって歩き出した。
ハルの「日常」が奪われる。
そう直感した時には無意識に動き出していた。
後ろで肩を震わせるハルを見て、罪悪感が込み上げてくる。
ーー私の、全部、私のせいだ。




