表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/98

熱で溶かせば、よい



 王太子の言葉を聞いたライオネルは、すぐに水魔法使いと、土魔法使いの消化班を呼んだ。


 近くにいた風魔法使いと火魔法使いも呼び寄せ、


「王太子の様子を逐一ちくいち観察して、炎で暴れ苦しむ魔物がいれば、即、水魔法か土魔法で鎮火を。その後は水でも風でもどちらでもかまわんから切り刻め。逃げ惑って火事にされると敵わんからな。火使いは、その後、焼却処理をよろしく頼む。風魔法に余力があれば、水気を切ってもらえ」


と、やや早口で指示して、馬を呼び寄せた。


 そうこうしている間にも王太子は、どんどん魔物をちりへと化す。


 楽しそうに魔物を指先ひとつで燃やしていく王太子を尻目に、ライオネルは馬にまたがると、巡回へと駆け出した。


(まあ、なんだかんだと王太子はお強いからな。あの場は消化班さえいれば、任せても問題ないだろう)


 ライオネルは、変わった様子がないか見回った。


 先ほどの異形から、通常の外見の魔物たち。


 強さも弱小から中級へと変わりつつあった。


(これで、中級型の異形の魔物が出れば確定だな)


 保護という名の結界で閉ざされた森は、数年の時を経て、魔物たちが縄張り争いや、狩り獲られないよう生き抜くための、異種間の繁殖場へと化していった、とライオネルは結論づけた。


 


 その頃、ミレイユ達は、避難経路の途中に点在する村々の人達と合流し、一緒に避難所を目指していた。


 足腰の強い村人たちとは違い、軽い運動ぐらいでしか動いて来なかったミレイユの足は、悲鳴をあげていた。


 ライオネルに差し上げる箱から、たまらず拝借してしまった、痛みを和らげる煎じ薬と疲労回復の煎じ薬を一口ずつ飲んだ。


 たちまち痛みと疲労が、消えてゆく。


 ミレイユは、セラにも一口ずつ飲ますと、セラは驚きで目を見張った。


(置いていかれないように、つい飲んでしまったけど、村人たちに差し上げられないことが心苦しいわ)


と、せめてもの償いに、村人たちの疲労回復を願いながらミレイユは歩くのだった。



 歩く途中に村人たちがざわめき出したので、ミレイユはざわめく方を見た。皆次々に指を差し口々になにかを言っている。


 指の指す方向を見ると、きらびやかな団体が、馬に跨り走っていた。向かう方向はミレイユや村人たちが避難してきた方向だった。


 きらびやかな団体が掲げている旗の印を確認したセラが、「王立の騎士団です」と教えてくれた。



 ライオネル達を加勢に行っているのだろうか、ミレイユは安心する。


(ライオネル様も兵士の皆様もお強いと思うけど、王立の騎士団の方達が加われば、ライオネル様達もきっとお楽になるわ)


 鍛錬場で剣技を振るう姿を思い出し、戦うライオネルの姿を連想し、胸がときめく。


(私も頑張らなくちゃ)


 ミレイユは、元気よく歩き出すのだった。



 その頃、ライオネルの結論づけたとおりに、中級と思わしき異種間交配で出来た魔物を皆で、討ち取っていた。


 数は減ったが、強さが格段に上がった。


 特にこの魔物は、打たれ強さに特化してるのか、やたらと身体が堅い。


 攻撃魔法での攻めに切り替えて、一体倒すと、ライオネルは、魔法で縦に真っ二つにしてもらった。


 検分。


 内臓には、攻撃に特化したものは、備えてなかった。


(こいつの親は、生き抜くために食べられないようにと、身を固くしたのだろうか)


 ライオネルは、つい、親を予想してしまう。


 そうするとまた一体同じのが出てきた。


 向かおうとするライオネルに、暇を持て余した王太子が、スイーと、音もなくやってきた。


 音はなくとも、熱さで分かる。



「なにをちんたらとやっておるのじゃ、ライオネルよ」


「あの魔物なら、このように倒せ」と手をかざすと、魔物は一瞬で溶けた。



「固いのなら、熱で溶かせばい。それだけじゃ」



 と、事もなげに王太子は言った。



(いや、元々誰のせいで⋯)


 目の前の原因とその妻が脳裏に浮かぶ。


 その時だった。


 わっ!と、声のする方にライオネルは、顔を向けた。


 熱で溶かした王太子の早業はやわざに歓声が上がったのかと、ライオネルはそう思ったが、違った。


 目線の先には、まばゆいばかりの金色の髪を肩まで切り揃えた、線の細い少女がいた。


 金の瞳を縁取る睫毛も眩い金。


 真っ白の肌に金色と頬と唇を彩る紅だけが、その子の色だった。


「おい!聖女様だぞ!!」

「なんで、聖女様が」



 何故か、魔物の森から城で産気づいているはずの、王太子妃である聖女が出てきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ