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豊作の謎と、崩壊の轟き



 シュトラール辺境伯領、領主夫人ミレイユは、ここ最近身の回りで起こる不思議な出来事に首をひねっていた。


 自分の周りというより、ノイハイムという村に行くと⋯だが。


(村の子供達の中に魔法が使える子がいるのじゃないかしら?)


 未だに自分の能力に気付いてない者、である。


 連日ノイハイム村に訪れているミレイユは、子供たちと一緒に、農作物の収穫や手入れを手伝っているのだが、そこで不可思議な事が起こるのだ。


さかのぼれば、収穫前のあの日照りからよね?それから豊作⋯。それに⋯)


 子供たちと遊びの日課に加わった、空の神様と大地の神様へのお祈り。


 それに今日訪れて、収穫で重い物も皆で運んでいる際、「風の神様ぁ。荷物が重くて困っています。下から風が吹くと助かります〜」と子供たちと楽しくお願いしたら、本当に風が吹いて、下から持ち上げてくれたのだ。


「⋯⋯偶然ではない気がするわ」


 試しに外で、ミレイユは一人で「風の神様、風を吹かせてくださーい」「雨も降れ〜」「芽吹け〜」などお願いしてみた。


 しかし、結果はなにも起こらなかった。


 やはり白金色は能無しなのね、とガッカリしたことは内緒にして、ライオネルは意外に甘い物が好き、と先日知ったので、午後のお茶に誘って、ライオネルに聞いてみることにした。


「んー?ノイハイムで能力有りが生まれた、という話は、再興して一度も報告は、ないが⋯」


 と、ライオネルからの反応だった。


 どうやら、親が子供に能力について内緒にしているわけでもなさそうだった。


 では、私の考えすぎ?とミレイユは思ったが、とりあえず、村で起こった出来事をライオネルに打ち明けてみるのだった。


 話を聞き終えたライオネルから、「可能性は⋯高い」との反応だった。


 しかも、

「魔法は、一人一属性のみ持って生まれてくるものだが、ミレイユの話を聞く限り、水、土、風と三属性はある。ということは、確実に三人は生まれている、が、そんな事あるのか⋯?」


「兵士達が悪さでもしていたのだろうか⋯調査せねば」とライオネルは顎に手をやるとブツブツと唱えながら、ミレイユを置いて思考の海へと入っていってしまった。


 午後は、あと数週間で魔物の森に向かうライオネルや他の兵士のために、ミレイユは薬草の煎じ薬作りに没頭した。


 ライオネルが不治の病ではない、と知ってからもこうして欠かさず薬草採取や、煎じ薬作りを楽しんでいる。



 とりあえず、魔物の実の粉末を使い切るまで作る予定だ。


 明日は、カブの収穫。それが終われば、いよいよミレイユは王都に向けて出発だ。


 村人たちも収穫物や連れていける家畜を連れて、避難開始だ。


 先日二度目の月のものが来てしまった。


 家令の顔は絶望的だった。心苦しい。


 子が出来やすい薬草なんてのは、無いのだろうか?


 ノイハイム村ではあまりそういう悩みが無いのか、教えられていなかった。


(でも、出来れば赤ちゃんが出来るのは、結界の問題が解決してからが、良いわ⋯。王都でライオネル様もいない中なんて、淋しいですもの)



 翌日、いよいよカブの収穫である。


 ミレイユは「うんしょ、こいしょ、どっこいしょ〜」とリズムよく言いながら、馬車へと向かう。


 何故だが、ライオネルがそのリズムを聞きながらビクビクしていた。


 本日はライオネルも一緒にノイハイム村へお供するという。


 他にも部下を連れて、「村で悪さをしたのでは、という疑いのある奴を連れてきた」だそうだ。


 楽しみで仕方がない。出来上がった煎じ薬も馬車に積み込んだ。


 カブはどれだけ大きく成長しているのだろう。


 移動する馬車の中で、ミレイユは、セラとカブを引き抜くための掛け声練習をするのだった。



「思ったより大きくなかったわ」


 ミレイユは、カブを抜きながらそう独りごちた。


 てっきり夢で見た、ライオネルの背丈ぐらいに育ってるのかと思っていた。


 そう子供たちに話すと、「あれは、物語の中だけだよ〜」と大いに笑われた。そうなのか、残念。


 気を取り直して、どんどん収穫していく。


 今日はライオネルや、兵士たちも参加しているのであっという間に収穫は終わり、土を落として、荷台に積む。


 もう明日の早朝には、避難移動開始だからだ。


 ミレイユ達も、帰路につくためそれぞれ自分たちの馬車や馬に向かって歩き出していた。


 その時だった――。



 ドーーン!



 あまり聞き慣れない音に、ミレイユは顔を上げた。

 

 音のする方を見遣る。


 全員そちらを向いていた。



 「結界が⋯破れた」




 隣にいるライオネルのボソリと呟く声が聞こえた――。


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