居た堪れないミレイユ
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(なんだか最近、ライオネル様が殊更お優しい気がする⋯)
突然開始された閨事から、ライオネルの変化にミレイユは戸惑うばかり。
(前々からお優しかったのよ?でも、なんだか一層私に甘いというか⋯。うーん⋯。あら?私一人で会話しているわ)
支度中、鏡の前で百面相を始めたミレイユを、手を止め不思議そうに見守るセラ。
ミレイユは、そんなセラの様子に気付かず。
(今朝も起きたら、朝の鍛錬に行ってらっしゃらず、私の寝顔を眺めていらしたわ。慌てて鍛錬に行かれましたけど。でも、私を眺めていたその瞳がとっても優しくて⋯なんだか)
うーん、と唸ると、今度は赤面するミレイユを、セラは察したように離れると他の仕事をし始めた。
離れたセラにも気付かず、ミレイユは百面相を続けるのだった。
最近は、屋敷内でロバのボッツィがいるノイハイム村から分けてもらった薬草を煎じたり、庭師に頼んで一緒に薬草を植えたりしている。
(趣味、て言えるのかしら?)
やれることがまたひとつ増えたことが嬉しい。
上手に調合が出来るようになったら、ライオネルに贈る予定だ。
刺繍もだんだん見れるようになってきた。
セラや周りの侍女たちが褒め上手のおかげだ。
これもうまく出来たら、またライオネルに送る予定だ。
(ライオネル様をびっくりさせてあげたいわ)
びっくりするかな?きっと演技でもしてくれるはず。
ミレイユはライオネルの反応を想像すると、頑張ろう!という気持ちが湧いてくるのだった。
昼餉のあとは、日課の散歩。
今日は朝の鍛錬の時間が短かった分、午後もライオネルが鍛錬場にいるらしい。教えてくれたセラと共に、さっそく鍛錬場へと向かった。
華麗に、だが時折、力強く剣技を奮うライオネルが格好良い。
ミレイユはその姿をウットリと眺めた。
遠くから来るミレイユの姿を認めた部下たちが、
「ヤバい!奥方が来た!」
「閣下が張り切る!」
「お前がまず閣下の相手をしろ!」
「いや、お前だろ!」
と、戦々恐々になっていたことも知らず。
夕餉の時間、ミレイユは午後に見たライオネルの勇姿を褒めちぎった。
そんなミレイユを愛しそうに眺めては「そうか?ならば午後からも少しばかり鍛錬を組み込むかな」と、部下たちが聞くと真っ青になりそうなことをライオネルは、口にした。
湯浴みの後は、寝台で横になっていたミレイユはウトウト⋯。
ここ最近は、毎日肌を手入れされ、(自分の肌なのに触っていて気持ちが良い⋯)と、ミレイユは、己の腕を擦りながら眠りに入ろうとしていた。
ギシリ、と寝台が沈む感覚で目が覚めた。
ライオネルがすぐ傍にいた。
「ライオネルさま⋯」
そのままライオネルの顔が近づいて来たので、ミレイユは目を閉じた。
ライオネルからの口づけをもらう。
啄むような口づけでは終わらず、そのまま深くなっていく口づけに「⋯は⋯ぁっ」とミレイユは息をつくと目蓋を開いた。
目の前に愛しいひとがいる。
甘く優しく笑む表情を見て、ミレイユは思い出す。
(そうだわ!この顔、閨事を始める前のライオネル様の顔だわ⋯!)
朝も夕餉もこの顔だった⋯!
とミレイユは、思い出す。
「あ⋯っ」
案の定、ライオネルはそのまま覆いかぶさってきた。
それから、ミレイユはライオネルがこの表情になると、なんとなく察してしまい、面映ゆく、ソワソワして、なんだか居た堪れなくなるのだった。
次回エピソードにて、一部に性的脅迫表現が含まれます。ご留意の上、お進みください。




