散りゆくダリア
やったわ!ついにやったのよ!
フォロワー百万人!ついに達成したわ!
ここまで長かった。美容系のインフルエンサ―を目指してから早六年。
最初は誰も見向きもしてくれなかった。美容系のインフルエンサーはたくさんいるし、私は有象無象の一人にすぎなかった。単なる一般人の中の一人だった。
けれど私は諦めずへこたれず一生懸命努力をし続けた。
原動力はもちろん、有名になりたかったから!
そしてちやほやされたかったから!
若い時の特権でしょう?ちやほやされるのも、失敗しても仕方がないと許してくれるのも。若いうちだけだから。
だから私は今の内に、有名になってちやほやされて、称賛される優越感や幸福感に浸りたかった。
そんな不純な動機で始めたインフルエンサーへの道程は、意外にも楽しくてやりがいがあった。
多くの化粧品や美容器具を試してみて使い心地のレビューをしたり、健康食品の味を比べてみて自分の好きなものを見つけたり。
もちろん紹介してきた商品や実際に使ってみた道具に批判はしていないわ。その行為は絶対にしない。
だって、そんなことしたら炎上してしまうでしょう?
それに私には合わなかったという理由だけで、企業努力の結晶を一蹴してしまうのはなんとも失礼なことだし。紹介させてもらっておいて使わせてもらっておいて文句を言うのは筋違いのことよ。
そのお蔭か、最初は誰にも見向きもされなかった私の呟きは、段々と多くの人に見てもらって、最近では呟くとすぐに反応が返ってくるようになった。
最近は多すぎて返信が追い付かないこともあるのが申し訳ないのだけれど。それに関してはちゃんと返信できずにごめんなさいって謝っているから大丈夫よね?
この活動は私の誇りで宝物。
今まで一生懸命努力してきた私の血と涙の結晶ともいえる。
興味がない人にとっては無意味に思えるかもしれないけれど、私はずっと続けてきて良かったと思ってる。
有名になったは良いけれど、その分トラブルも増えてしまったのは痛いかなぁ。
最近では同じ人がしつこく気味の悪い呟きをしてくるから少しだけ怖い。なんだか私のことを四六時中見ているかのようで…。
だけどそれも有名税ってことで!活動を辞める気はさらさら無いの。
負けたくないし、私は私の道を貫きたいから。
あら?誰かしら。今日は配達なんて頼んでないんだけど…。
まぁいいや!今日はパーティだね!
頑張った私にご褒美を!
ドアを開けたら、私の視界は真っ赤に染まった。