【短編】姉と骨
姉が死んだ。
仲はよかったと思う。
昨日も普通に会話して、普通に笑っていた。
見つけたのは私。
首を吊っていた。
股間から足を伝いぽたりぽたりと落ちる液体、それがラグマットをぬらしていくのを見ていた。
何も感じなかった、そう何も感じなかった。
悲しい?わからない。
嬉しい?わからない。
怖い?わからない。
寂しい?わからない。
苦しい?わからない。
わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わかr……。
気がづけば私は病院のベッドの上で寝ていた。
気がついた私にすがりつき泣き出す母。
その傍らに立っている姉。
私が気を失い眠っている数日の間に、葬儀も火葬も終わってしまったみたい。
私が移動すると姉も付いてくる、声をかけても反応はない、ただ私のそばにずっといるだけ。
「ねえお姉ちゃん痛かったの?」
「ねえお姉ちゃん苦しかったの?」
「ねえお姉ちゃん寂しかったの?」
「ねえお姉ちゃんなぜ死んだの?」
どの言葉にも反応がなかった、だけど……。
「ねえお姉ちゃん私も連れていってくれる?」
その言葉を最後にお姉ちゃんは見えなくなった。
なんとなく側にいる気はする。
私は仏壇に置いてある骨壷から一欠片のお姉ちゃんを取り出し飲み込んだ。
お姉ちゃんの味は少し塩辛い気がした。
やっと私はお姉ちゃんと1つになれた。
私はどこかで私を見ているであろうお姉ちゃんに向かって微笑んだ。
「大好きだよお姉ちゃん」