黒猫の企みと夢魔
黒猫が何かを企んでいる頃、魔女は箒にまたがり空から黒猫のいる部屋を探していた。
下の階は狼男が探している。
しばらく探した後、狼男から下の階には気配がない旨が伝えられる。
「まったく、人間に化けられるんだから自分で出てこられそうなものを」
魔女は面倒くさそうに悪態をつく。
そもそも普段から黒猫の格好はしていても、一応人間の姿に化けることは出来る。
しかしこっちの方が楽だからと黒猫はいつも猫の形をとっていた。
残り二つの部屋を残して、これで見つかるだろうと思ったとき、ふと魔女の更に上から
若い女の声がした。
「そんな所で、こそこそと一体何をしているの?」
一瞬、家の人間に見つかったかと驚いたが、聞き覚えのある声を聞いてはっと頭上を見上げる。
そこには黒いコウモリのような羽を生やし、つややかな黒髪をなびかせた少女が
屋根の上に鎮座していた。
「お前は…っ、夢魔」
「久しぶりね。魔女…いいえ、クレアと呼んだ方がいいかしら?それに、匡」
「真名で呼ぶんじゃないよ、夢魔」
妖怪といえども個々に名前は持っている。
魔女の名はクレア、狼男を匡、黒猫を瑛といった。
「何故?いい名前じゃない」
夢魔、椿は気にした風もなく羽を広げて魔女と同じ高さまで降下した。
「あなた方が探しているのは瑛でしょう?瑛なら、一番奥の部屋よ」
そう言うとさっと瑛のいる部屋の前まで下がっていく。
クレアと匡はそれを追った。
クレアは部屋の前まで飛ぶと一度下まで降り、匡を乗せて再び上昇する。
そして部屋を覗くと椿の言うとおり、黒猫はその部屋の中でちょこんと座っていた。
「遅かったじゃない」
瑛はにんまりと笑って窓に手を当てた。
すると窓がゆっくりと開いた。
「お前っ出られるならさっさと出てこいよ…」
「いろいろとあってね、魔女達を待つ方がいいと思ったんだよ…椿、早かったね」
すっとバルコニーに出てきた瑛は椿の方を向きながら座った。
「椿を呼んだのはお前だったのか…」
「何でこんな奴を呼ぶ必要があるんだい?」
基本的にクレアは椿と仲が悪かった。
仲が悪いと言うよりクレアが一方的に椿を嫌っていた。
理由は、話そうとしないが…。
「それはね、ちょっとこれからする事に協力してもらおうと思ってさ」
「これからすること…?」
「そ、魔女達も手伝ってね」
こうして黒猫の企みは明かされる。
1ヶ月ちょっと放置してますね^^;
済みません。
これからはもうちょっと速いペースで更新できるよう頑張ります。
今回出てきた夢魔、椿はこの小説が終わった後に書こうと思っている
小説にも出す予定なので覚えておいてやって下さい。