初対面
その開け方は何とも心臓に悪い開け方だと思うのだが、奏音の世界では当たり前の開け方なのだろうか。
「びっくりしました…えっと貴女方は一体?」
一足先に我に返った右側にいた青年は先ほど奏音が言っていた北澤謙一という名前の人物だろか。
物腰が柔らかく真面目で面倒見が良いと言われていた。
「あたしは奏音、宮崎奏音って言うの。あたしの横にいるのは龍ヶ崎あゆか。よろしく」
「龍ヶ崎です、よろしくお願いしますわ。私たち、気付いたらこの家の一室に居ましたの。ここがどこなのか気になりまして探索をしていた所、話し声が聞こえたのでこちらに来たんですわ」
「なるほど…そういうことでしたか。申し遅れました。私は北澤謙一です。私も貴女たちと同様に気付いたらここにおりました。おそらく彼も同じ境遇かと」
皆の視線が一か所に集まり、向けられている本人の眉間に皺が寄せられ、長い足を組み替え壁に寄りかかった。
「千智秀祐。俺も同じ境遇だが、お前らとつるむつもりは毛頭ない。俺は俺で勝手に動くからお前らはお前らで勝手に動け」
「こんな何が起こるか分からない所で単独行動なんて止めておいた方が良いです」
「知ったことか」
そう言うなり、千智は私たちの横を堂々と通り過ぎどこかへ行ってしまった。
「流石一匹狼。群れるのは嫌いってね」
奏音はボソッと呟くと満足げに頷き、北澤の方へ向きなおした。
「じゃ、3人で探索しよう!」




