探索開始
「あ、ホントだ!あと2人はどこにいるのかな?」
私の後ろからそれらを覗き込んだ奏音は、私と同じように部屋の中を物色し始めた。
襖という襖を開けてみるもここがどこなのか分かるものは何一つ見当たらず、進展はなかった。
あとはこの部屋を出てこの建物内を探索して見るしかないだろう。
その間にあと2人が実在するなら会うことができるだろうか。
「奏音さん。この部屋は何もなさそうですし、他の部屋を探してみません?」
「うん!あ、あたしのことは『奏音』って呼び捨てで良いよ!さん付けとか何かくすぐったいし」
「それでは不公平ではないですか。私だってさん付けされているわけですし」
「あたしはほら、さん付けされるようなキャラでもないし!」
キャラとは何のことだろうか。
奏音の言うことはよく分からない。
分からないがここでいつまでも話すわけにはいかないので、分かったことにしよう。
「分かりました…では、奏音とお呼びしますわね」
「ぜひ!ささ、次行ってみよう!」
どこからそんな元気が出てくるのか、奏音は盛大に部屋の外へ出ると目の前に広がる風景に歓喜の声を上げた。
「うわぁ、綺麗な景色!こんな綺麗な場所初めて見た……」
「そうですわね…綺麗」
奏音の言う通り、外は綺麗な緑に澄み渡った池が見えた。
空気も美味しいし、最高な景色と言えるだろう。
「ここにスマホがあれば写真撮ったのに残念…ポケットの中何も入ってないや」
スカートのポケットやジャケットのポケット、胸ポケットの中に手を入れても何も出てこなかったらしい。
「さてと、右に曲がるか左に曲がるか迷うね…」
「そうですわね……」
廊下に出ると右側に繋がる道と左に繋がる道がある。
どちらから回ったが効率が良いだろうか。
「迷ったときは右に曲がるってね!」
奏音はそう言うと右に曲がり、右隣の部屋の扉をスライドさせた。
そこはどうやら物置のようで、様々なものが多く並べられていた。
灯りがなく、部屋の中央あたりに蠟燭が見えるのであれに火をつける必要があるのだろう。
今はライターやマッチなど、火を点けるものがないため扉を開けて中を見るしかない。
「お高そうな壺…売るといくらするんだろう……」
見たこのない形とした壺や、巻物、置物様々なものがこの部屋の中にはあるが、場所を特定できるものはやはりここにもない。
巻物に関しては広げて見ても私も奏音も読めなかった。
どこの言葉か分からないし、インクも滲んでいてとても読める状態ではなかった。
「仕方ない……次の部屋行こうか、あゆかさん」
「そうですわね」
この部屋も諦めて次の部屋を探索して見ることにした。




