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雨上がりを待つ君とひとつ屋根の下で  作者: 秋日和
第十一章 文化祭編一日目
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75.仕事も

 文化祭の準備の写真を撮り、図書室でしおりを作り、久米(くめ)とダンスの練習もして日が過ぎていき、文化祭当日に。

 PVの方は若者に人気で有名な人の歌を借りて、スライドショーみたいなものにした。

 あとは当日撮った写真を足していって後夜祭に間に合わせればいい。

 営利目的じゃないし大丈夫、多分そう部分的にそう。

 小瀬(おせ)もPVの出来には満足してるみたい、あいつが満足してるならひとまずは平気だろうな。


 舞台裏から二階席に上り全校生徒が集合している写真を撮っていく。

 記憶にある顔もここから幾人か見えて、高校生活の変化をしみじみと感じる。

 舞台にカメラを向けると壇上では浅間(あさま)が生徒会長としての挨拶をしている。

 この後に校長、そして文化祭実行委員長の挨拶が続き、それが終わって文化祭の一日目が始まる。

 京両高校の文化祭は二日制。

 一日目は主に内部の生徒向けの比較的落ち着いた文化祭を行い、二日目は一日目とは逆に外部の人に向けたものを行う。

 だからと言って、一日目に外部の入校を制限するのかと聞かれたらしないと言えるし、そこまで細かな違いは見受けられない。

 保険委員の皆さんも一日目と二日目で外部の方の入校の段取りは変えないって言ってたし。

 あえて付け加えるのならば、我らがD組のシンデレラの劇は二日目に行うということくらいだろうか。


 上の空で開会式の挨拶を聞いていると、どうやら一通り挨拶は終わったみたいだ。

 文化祭実行委員長と開会式担当の文化祭実行委員が声を出して場を盛り上げている。

 生徒たちもその熱に促され手を叩いたり歓声を飛ばしたりしている。

 今までそんな関わってこなかったけど、文化祭実行委員長の坂口(さかぐち)先輩は多分いい人。

 小野(おの)くんと仲良いし、多分そう部分的にそう。


 文化祭に携わって、カメラ持ってPV作って企画に目を通して。

 今のこの状態の俺を見て、一体過去の俺はなんと言うのだろう。

 ……去年は今頃、何してたんだっけなぁ。

 体育館を見渡して景色から記憶を辿ると、ありありと目に浮かぶようだ。

 ……確か軽音楽部の演奏を延々と聞いていたんだっけな。

 特に知ってる人とかいなかったけど、人数多かったし、結構時間潰せたんだっけ。

 特に知らない人の中で、その中で知っていたやつを挙げるとしたら、一番印象に残ってるのは緒倉(おぐら)だ。

 観客席で会ったんじゃないぞ、聞いて驚け緒倉はステージにいたんだからな。

 まさか緒倉がギターを弾けるとは思わなかった、すごいびっくりした。

 今年はおそらく出ないのかな。

 図書委員の企画に付きっきりだったし、練習する時間が無さそうだった。

 軽音楽部は去年できたばかりだし、部活に入ってなくても有志でやる人が多かったしで楽器演奏経験者である緒倉が誘われてたんだろう。

 今年の軽音楽部は扶助部で張り紙を貼るのを手伝った時に少し聞いた程度だが、部内で完結できる程度の人数は確保しているらしい。

 張り紙は保険みたいなものだ。

 頼んできたのは一年生だったし、不安だったのかもしれない。


 あとは当時その場にいたやつと言えば、俺はまだその頃は知らなかったけれど浅間(あさま)と小瀬もかな。

 合唱祭の時、浅間は櫛芭(くしは)に伴奏を譲ったけど、あいつもあいつで別に弾けないわけではないのだろう。

 小瀬は歌担当だった、今年は場所が変わって歌うまに出る。

 見に行くかは未定。

 櫛芭と言えば、最近になってようやく顔馴染みになった相沢(あいざわ)もあの場にいたっけ。

 どっちも去年はクラス同じだったってのに全然関わらなかったなぁ、顔は覚えてたけど。

 逆に全く記憶にない浅間が異常すぎるまである、ほんとなんなんだあいつ。


 今思うと相沢が去年弾いていたなら櫛芭も同様に出てたんじゃないか?

 相沢も張り切って誘ってそうだし。

 えーっと……どうだっけな………。

『うん。でも、それ1年の時もう、やったんだ』

『でも、なんか、すごく辛そうだったから………学校でピアノの話はしなくなっちゃった』

 ………あぁ、そういう。

 一年生の時はまだ櫛芭って(ゆかり)さんのことで悩んでたんだよなぁ。

 そりゃまぁ、そんな時に複雑な気持ち抱えたまま出れないよな。


 ………。


 なんか沈んだ感じになっちゃったな。

 言っとくが場はすごい盛り上がってるぞ。

 体育祭とか合唱祭とか目じゃないくらい。

 やはり高校生にとって文化祭というのはそれだけ特別なものなんだろう。

 俺も高校生なんだしこういうお祭りには参加しないとな、うんうん。


 さーて!仕事仕事!

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