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雨上がりを待つ君とひとつ屋根の下で  作者: 秋日和
第一章 創部編
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4.桜咲く

 陽悟(ひご)の他に俺に話しかけるやつなどいるわけもなく、特に何もなく放課後に。

 いつも通り多目的教室に……多目的教室って長くて言いにくいな。

 もういいよ部室で………俺は今部活をやっている。


 そんな風に微力ながらも最後の抵抗すらとうとう諦めて窓際に座っていると。

 コンコンコン。

 と、扉をノックする音が部室に響いた。

「どうぞ」

 と一言声をかければ、

「お邪魔します!」

 と元気にその女子は扉を開け部室に入ってきた。


 ……俺が知っている限り、その入ってきた女子みたいな存在がまさかこんなところに来るとは夢にも思っていなかった。

 久米雪羽(くめせつは)

 同じD組で、クラスの中心にいることが多い自由な子。

 学校内で結構モテているらしい。

 でも告白することも告白されることもどっちも多いらしいって話だ。

 俺がその噂を聞いて感じた印象は、色恋が好きな女の子、という感じ。

 噂は誰が広めたとかは知らないけれど、こういう話は大体陽悟から聞く。

 ………陽悟以外話している人いないからね、しょうがないね。

 話しているというか一方的に話されてるだけだけどね……。


「あの、ここって人の依頼を聞いてくれるところであってますか?」

 久米が聞く。

「あぁ、そうだけど。菊瀬(きくせ)先生もそう言ってるだろ?」

「……?…ここの顧問って菊瀬先生だったんだ」

 ………。


 え、知らなかったの?

 だとしたらまずいぞ。

 今後は菊瀬先生以外の人からも依頼が来るということじゃないか………。


「私の依頼はね、告白のセッティングをして欲しいの!」

 ……あぁ……そういう。

 そうだよね、春だもんね桜咲く季節だもんね。

 もう、散り始めてるけどね!

「相手の人はね、三年生でね。今まで付き合う人は同学年だったけど、年上もいいなぁって思って」

 いや、いいなぁって……。

「今までと違うからどんな感じに告白すれば良いのか分かんないし………。そこで、手伝って欲しいなって!」

 身振り手振りで忙しく説明する。

 はいはい、ちゃんと聞いていますからね。


「………お前とその三年生に接点はあるのか」

 なんとなく予想できるが聞いてみる。

「ないよ?まぁ今までも無い人だっていたし、今回も大丈夫だと思う!」

 出た経験則、統計学の穴。

「相手はどんな奴なんだ」

「サッカー部で、背が高くて、かっこよくて、モテそうな人!」

 大丈夫かこいつもう恋の病気だろ。

「………サッカー部か。また明日の放課後ここに来てくれ」

「分かった!あ、LINE交換しようよ!連絡の為に!」


 LINE、ね。

 最近の高校生は、連絡先を結構見境なく交換する人が多い。

 こんな俺でも、クラスの奴らはLINE上では友達になっていて、クラスのグループにも入っている。

 だけどな………話さなくなるんだよ。

 最初はおはよう!とかよろしく!とか。

 和気藹々とした仲だったのに今では血で血を洗う仲に…あれ?そんなんだったっけ?


  まぁその話は置いといて、今の時代、完全なぼっちは生まれにくいということだ。

 完全なぼっち、ではなく実質ぼっち……みたいな。

 俺だって今も話している奴はいる。

 えっと……三…二…いや一………。


 ………高校だけで数えたらね!!!

 高校だけが全てじゃないからね!!


 スマホを近づけた時、久米がリストバンドをしていることに気づいた。

 おしゃれはこれだけなんだな。

 着崩していない制服と、久米の装飾品の少なさを意外に思った。

 恋が好きなのに……やはり世の中顔か。

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