第9話ヒロイン登場!
ヒロイン登場って言っていいのかは分かりませんが、まぁ、登場します。
先程のお姉さんが、カートの中に素材を入れて戻ってくる。
持ってきたスライムのプルプルゼリーがその名の通りプルプル揺れている。
「お待たせしました。こちらの素材は塔内のものと確認が取れましたので、買取価格を提示させていただきます。」
プルプルゼリーが、普通のやつと赤いやつ。魔石が5つ
ゲームの相場の通りなら1000Gもないぐらいだがどうだろうか…
「……ちょっとよろしいでしょうか?」
…なんだろうか?
受付のお姉さんに手招きされ、耳を近づける。
「今回の素材の買取を3万G程で買い取らせていただく代わりに、これから、大倉庫への素材持ち込みの際は、私のみに買取交渉をして頂きたいのですが…。」
3万!それは受けるしかないだろう。
「ええ、もちろんいいですよ。名刺か何かありますか?」
「ありがとうございます!いやー先輩が、これを持ってきたやつはかなりの上玉だって言うんで、絶対に逃さないようにしなきゃと思って、声掛けちゃいましたよ。」
なるほど、何を判断基準としたかは知らんが、俺の持ってきた素材を見た『先輩』という人は俺が、この先いい素材を持ってくることを予測したのか。すごい人だな。
「いやー、やっぱりメルク先輩って、やっぱすごい人なんですねー。塔専属商人なんて言われるだけありますよ。」
メルクって、あの商人か?ゲームではよくお世話になったぞ?
いや、それはどうでもいい。早く名刺よこせよ。急に馴れ馴れしくなりやがって。
「あ、これ名刺です。」
手渡された名刺は、俺の世界でいうところの女子高生が作ったのかと疑うほど、やかましく装飾されており、妙にきれいな字で『マーキュリー』と書かれていた。
……ゲームでは出てこなかったが、もしかしてメルクの子供なのか?
なんとなく父親について聞いてみると
「父ですか?…私の父は私が生まれてすぐに死にましたよ?」
俺の予想は外れたらしい。ゲームでも、メルクの子はいるとは言われていたが、性別までは出てきてないからな。息子なのかもしれない。
彼女に謝っておき、話を進める
まぁ、しばらく登場する予定のない奴のことは置いといて、とりあえず3万Gを貰い、これを元手に装備品でも買うとしよう。
しばらく、商店街を歩くと、それなりに買い物も進んだ。が、
「道に迷った…」
全く運が悪いことに自分が今どこにいるかすら分からない。
謎の声に聞いても、さっきから反応してくれないので、期待はできない。
俺が途方に暮れていると、
「おやおや…?もしかして、裏の方の仕事ですかね?」
見るからに怪しげな、小綺麗なトレンチコートと、帽子をかぶった紳士を気取った男がやってくる。
人でも殺してるのではないかと言うほどの鋭い眼光は、隠すかのように不自然で優しげな目をしている。
「裏の方の仕事ってのは?」
明らかにゲームキャラではなかったであろう壮年の男性に、警戒しつつも人間としての興味本位でつい聞いてしまう。
「奴隷商ですよ」
俺の問いに隠す気もなく男はそう言う。
さらに、小太りなその姿によって隠れていた後ろには、大勢の死んだ目をした少女が、檻の中に横たわっていた。
……To be continued
次回予告
クエイフだ。
3万Gも手に入ったとはいえ、流石に戦闘ですぐに役立つような奴隷を買える余裕はない。
残念だが、呪い子という、ヤバそうな奴隷しか買えないな。
まぁ、作者のご都合主義のおかげで、そこまで残念な奴隷ではないだろう。
次回!奴隷のイブとレイ
お楽しみに