第7話 愛する我が家
事情によりサブタイトルが変わりました。
Endを出て、神様が用意してくれたであろう小さな民家の中に入っていく。ここも特殊な鍵でしか入れないようで、『創造神の家の鍵』というアイテムが出てきた。Endの門の鍵もそうなのだが、使わない時はどこにあることになっているのだろうか?
インベントリのどこを探しても表示されていないので、特殊インベントリの一種に入っているんだと勝手に解釈しておく。
家に入ると真っ直ぐに寝室に向かい、荷物の入ったカバンをベッドの上に放り投げる。
〔バックによりプラスされていたインベントリ容量が減少します。〕
〔回復薬×12,魔力回復薬×5,小盾,弓,がインベントリから差し引かれました。これらのアイテムは〈革鞄〉に入っています。〕
ふーむ、この辺もEndでは出なかったな。
いや、よく考えれば当たり前のことで、俺は生身の人間だからバックを持っているあいだインベントリの容量は増えるが、外せば中に入っているものも、そちらに行ってしまう。
しかし、ゲームではわざわざそんなことをする必要が無い。
それだけの単純な変化であるが、なんとなく『31作目』であることを意識してしまい、Endプレイヤーとして邪なことを考えてしまう。
「クソッ!パソコンとネットがあればブログとかまとめサイトに『効率のいいバック系のアイテム』みたいなスレたてるのに!」
いや、タイトルはもっとシンプルにしておきたいな。
〔しかし、あなたはパソコンもネットもないこの世界では出来ないことに気づきしょげかえってしまう。〕
突然響いた声により我に返った俺は、謎の声の軌道修正の実況を聞いて、少し頭を冷やす。
……ベットに座ったのは決してしょげかえったからではない。
「疲れたな…」
体力ももちろんそうだが、何より心が擦り切れそうだ。10年以上もやり込み続けありとあらゆる方法でゲームをクリアしてきた俺がそこまで言うぐらいには今回のEndは過酷であった。
一人きりでクリアさせる気がないようなもので、特別敵が強い訳では無いが、現代社会でぬくぬく生きてきた子供にはかなりキツい。
薄暗く誰もいない状態で振るったこともない剣を振るい、話したこともない言葉を紡ぎながら魔法を唱え、恐ろしい形相を目の前にしてチンケな鉄の板を抱えて、ちゃちな弓矢で攻撃する。
画面越しでやってきたゲームとは違い、これは『リアル』だ。
それを正しく理解していないと、それこそ神の気まぐれでしんでしまう。
「そんなのある意味の運だろ」
ボソリと呟いた声は謎の声も拾ってくれずに、虚しい気分だけを運んでくる。
適当に飯を食べて、適当に風呂に入り、適当に歯を磨き、ポケットに入れていたアイテムや装備品を革鞄に入れておく。
〔以下のアイテムが革鞄のインベントリに入ります。
回復薬×3,初級の剣,初級の杖,初級冒険者の一式装備,プルプルゼリー×4,赤いプルプルゼリー,低級魔石×5〕
特殊インベントリに入れて置いた剣もついでにバックに放り込んだので、俺のインベントリは空っぽだ。
バックをベットの脇に放っておいて、寝てしまう。
さて、明日は適当に買い物でもしようかな。
……To be continued
次回予告
こんにちは、謎の声です。
今回あまり、出番がなかったのは、私の声は塔の中でしか上手く使えないからです。外で、話せなくは無いのですが、塔内以外でのお喋りは苦手なんですよね。
さて、自分語りはこのぐらいにしてきちんと次回予告をさせていただきます。
次回!大倉庫
お楽しみに!