第6話 一時帰宅
前回のあらすじ
クリムゾンスライム相手に油断していたら、クリムゾンスライムの必殺技【火砲】を撃たれそうになっている。避けるのも無理だし直撃したら死ぬ。
どうしよう?
絶体絶命なんて言葉が安く思えるほどにピンチだ。
油断がなかったといえば嘘になる。
クリムゾンとはいえ、突き詰めれば何度も楽に屠ってきたスライムだ。負けるはずがないと油断していた部分は確実にあっただろう。
それがこのざまだ。
だがそれでも、俺はこの塔で戦いたい。完全攻略して、この世界の、Endの全てを知りたい。
「ここでは…死ねない!」
クリムゾンスライムの中心はさらに熱を帯びており、少し離れた壁に寄りかかっていても、その熱気を感じ取れるほどであった。
逆転の手は浮かんだ。もちろん、考えた手が失敗すれば、俺は間違いなく死ぬ。どことなく博打のようではあるが、この塔の中でそんなバクチを打とうとしているのは、未来予知が出来る人がルーレットを楽しむようなものであり、俺の勝ちが確定しているからこその、余裕であった。
何度かゲームで使った手ではあるが、ゲームとは桁違いに難易度が高い。
「ЙыЕДЖщюыЙюЖщыЁ!」
〔翻訳:【火砲】〕
どうやら謎の声は、技名だけなら翻訳してくれるようで、先程の俺の予想が的中していたことを教えてくれる。
「タイミングを合わせて…。【カウンターウォーター】!」
うん、しっかり出来たみたいだな。
別に都合よく新しい魔法を覚えた訳ではなく、ゲームでのちょっとした裏技を使ったのだ。
【カウンターマジック】と呼ばれており、実際に使うとマジックの部分に各種属性魔法の名称が入る。
やる事は簡単で、相手の攻撃に合わせ、相手の弱点属性の魔法攻撃を使うと、相手の攻撃を無効化した上で、大ダメージを与える特殊魔法である。
真偽のほどは定かではないが一説によると、
相手の攻撃で与えるダメージの2倍+自分の魔法で与えるダメージの2倍×4
らしい。
ネットの情報だし、裏付けをとってないので詳しいことは分からないが、結構なダメージ量になるらしい。
(実際ゲームではカウンターだけで1000ぐらいのダメージを与えることは多々あった。)
もちろん普通の戦闘でこれをしないのは理由がある。
1つ目は、カウンターの場合魔力の消費が高いのだ。
2つ目に、当たり判定が小さい。少しでもこちらの魔法を当てる場所がズレてたり、0.1秒ズレただけでもカウンターが不成立になってしまうのだ。
他にも理由があるが、主となるのはこの辺りだろう。
そもそも、そんな残念な博打を打つヤツなんてなかなかいないだろう。いくらダメージが多くても、負けの確率が高すぎる。
「何にせよ…当たってよかった…。」
粉々になり赤く飛び散った、微妙にグロテスクなドロドロとした水が、ジリジリと溶けていく。
〔赤いプルプルゼリーを手に入れました。〕
〔レベルアップしました。〕
〔取得条件を満たしたスキルがあります。〕
〔新たな技を覚えました。〕
〔詳細:【ダブルソード】【タウント】【フレイムorフラッドorストームorフラッシュorダーク】【奇襲の矢】〕
ダブルソードは、剣技でこれまた初級のもの
タウントは、ガーディアンのスキルである。ガーディアンは、〈盾術3〉にならないと技を覚えないのだ。(2の時は防御力プラス補正がかかるだけ)
魔法は前と同じだな。フラッドという水魔法の全体攻撃が増えているが、ストームを覚えておこう。
奇襲の矢は、割とそのままなので問題は無いな。
というか、ジョブを変更している暇がないからウィザードからあまり変わってないな。
まあ、1度帰って服なんかを洗ってくるか。
……To be continued
次回予告
クエイフだ!
本編には殆ど名前が出てこないが、これでいいのだろうか?
毎日投稿は少しキツいが、1人でも読んでくれる限り俺は塔に挑戦し続けよう!
さて、次回はのんびりお買い物でもしようかと思ったが、柄じゃないな…。
次回!第8話 愛する我が家
やっぱりお家が一番だな