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End  作者: 平光翠
第三階層 ネザートロワーム
48/200

第48話 中級職

ゴブリンLv2との激戦を経て、一旦家で休息をとる。


たとえLv2だとしても、ゴブリンごときに遅れをとるはずがない。もしかしたら、ステータスが低いのでは、と思い謎の声を呼び出す。

〔種族名:人間

個体名:クエイフ Lv42

ジョブ:ガーディアン『盾術42』〕


チートにより、ほかのジョブの他のスキルも同じLvである。

2人の方はどうだろう?


「私ですか?『究極魔術』だけです。Lvはありません。」

「戦闘系だけ?『弓術32』『短剣術44』『剣術6』」


イヴはともかく、レイは普通のスキル構成であり、レベルとのバランスも取れている。


短剣術が飛び抜けているのは、短剣やナイフなどを多用しているからだろうし、剣術が低すぎるのは、短剣術スキルを獲得するためにしか上げなかったのだろう。


ステータスの方を聞いても、別に負けるような要素がある訳でもない。チートがあるせいで多少の偏りはあるが、そこまで酷いものでもない。


「中級職…そろそろだろうな。」

「ちゅーきゅーしょく?」

前に教えたはずの中級職について忘れているレイの頭を叩く。


「イヴは、『アルティメットワイズマン』だから、さして関係は無いだろうけど、レイは『アドベンチャー』か『レンジャー』。他にも選択肢はあるけど、ハンターから普通に中級職になるんだったら、この2つが役割もわかりやすい。」


アドベンチャーはシーフからもクラスアップ出来る、冒険特化のジョブだ。

『カモフラージュ』が使えなくなる代わりに、シーフ系のほとんどの技能を使えるようになる。


レンジャーはハンターの上位互換であり、ステータスがめちゃめちゃ上がる。技はあまり無いが補ってあまりあるステータスが特徴だ。



「レイはどっちになりたい?」

「…レンジャー。クエイフはそっちの方が都合いいでしょ?」

「ばーか。たとえどっちを選んだとしても、全然違うジョブを選んだとしても、レイが選んだジョブを尊重するさ。だから、俺の為じゃなくて自分のために選べよ。」


多少キザったらしい言い方だったが、レイはますます俺に惚れるだろう。

「…キモッ」

「え?ナンデェ!?」

「その…言い難いんですけど、カッコつけてる感じが気持ち悪かったです。」


イヴにまで言われた…。


「…とりあえず、私はレンジャーになりたい。クエイフの為に選んだ事が私の為になる。だから、それでいい。」


彼女の濁った瞳は決意に満ちており、後悔しないよう覚悟を決めたような顔つきであった。


▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪

翌日─

〈End三階層【ネザートロワーム・モンスターハウス】〉


「援軍来ます!えと…数が多すぎて分かりません!」

「…ゴブパ、アントル、スラLv2、マルシェ…

「ボムマン!回避!」


俺の盾にオーク槍が突き刺さる。

その槍をへし折ってやろうと盾を構え直すと、イヴの叫びが聞こえる。

ふと見てみれば、確かにおぞましい量の敵の援軍が向かってきていた。すぐにレイが鼻と耳をきかせて、援軍の内容を伝える。


ゴブリンのパーティ、アントル、Lv2のスライム、マルシェオンブル。


頭の中でそれらを空想していると、爆弾が歩いている。


大きな手榴弾に導火線をつけてある小学生が描くような形の爆弾。その導火線には既に火がつけられており、今にも爆発しそうだ。


急いで回避命令をだすも、ボムマンの体は赤く光り始め、避ける間もなく爆発する。


ドゴォォォ!!


魔物のひしめき合っていた部屋の中は、焦げ臭い匂いと衝撃音に支配される。


運良くボムマンの前にオークが重なっていたらしく、衝撃やダメージはそこまで酷いものでも無かった。


ボムマンの爆発はあったが、モンスター達はまだまだ押し寄せてくる。

「【オーバーヘイト】!」


盾を構え直し、息を大きく吸い込む。

「【シールドショック】」


近くにいるゴブリンの頭を盾で殴りつつイヴとレイの方へ駆け寄る。

「イヴ、レイ!大丈夫か!?」

「はい…。【ケア・オール】」


イヴの唱えた全体回復魔法が、爆発によりできた怪我を癒していく。彼女にお礼を言って、返事の聞こえないレイを探す。

「レイ?レーイ!」

「こっち…。」


彼女の声が聞こえた方は死骸の山があり、運悪く吹っ飛ばされた上に、オークやゴブリンなどがのしかかったらしい。


「レイ!大丈夫か?」

「大丈夫じゃないかも…。エネルギーの薬ある?それでなんとか出来ると思うから。」


言われるがまま薬を飲ませる。1粒では足りないと言うので、追加でいくつか飲ませる。

「…OK。ちょっと離れてて。……虚技【人柱】」


すると、死骸の山は浮き上がり始めた。彼女はその山からするりと抜け出し深く息を吸っている。

死骸の山には、何体もの()()()()()()が潰されていた。


「うおっ!なにこれ!?」

「…私。中身がないけど、外側だけ複製した。」


俺が驚いていると、カラカラとした音が聞こえる。

「喋ってる暇はないようだな…。」


現れたのは野良のスケルトン。前の魔王により強化されたものでは無いようだ。

「【ジョブチェンジ〈ガーディアン→ウォリアー〉】」

「【クラッシュ】」


頭蓋骨を叩き割るようにハンマーで殴る。即座にサーベルでの反撃が振り下ろされるが、ひらりと身を(かわ)す。


「【アッパークラッシュ】」

すかさずスキをついてハンマーを振り上げる。

「【クラッシュダウン】」

振りあげたものをそのまま下に降ろす。

「【トルネードクラッシュ】」

降ろしたハンマーを地面につかせることなく振り回す。


スケルトンの体の骨がいくつか吹っ飛んでいく。持っているサーベルもへし折られており、頭蓋骨もヒビが入っており、所々欠けている。


「これで終わりだ。【クラッシュアウト】!」


木っ端微塵に骨を砕き折る。粉々になったそれを踏みつけジョブチェンジをする。


「【タウントスラッシュ】ッ!」

走り抜けるようにスライムの核を斬る。


イヴとレイも、それぞれ敵を倒しているようだ。

それを一瞥すると、近くのゴブリンに槍を突き立てる。


そして…異様な威圧感。

その正体はいうまでもなく、ゴブリンLv2。


「【ドリルスピア】!」

「グギャ、ギャギャギャギャ!」


不意打ちを食らう前に速攻で槍を突き立てる。しかし、あっけなくその槍は掴まれてしまい、身動きが取れなくなる。

その様子がおかしいのか、獣らしい笑い声をあげる。


「お前の方が滑稽だよ。バーカ」

「火よ、わが魔力を持って燃え盛れ。

炎よ、全てを焼き付くし消しされ。

【ヘルファイア】」


ゴブリンは運が悪いことに、近くにいたイヴの魔法によって、背中から焼き尽くされる。

獣らしい笑い声は、イヴの魔法が唱え終わると同時にうめき声に変わっていく。


「【トリプルペンシング】」

両腕と腹を槍によって貫かれる。

「まだまだ。【デュアルショット】」

両足が貫かれ、体勢を崩す。


〔条件を満たしました。『リベンジランサー』のジョブが解放されます。〕

それは、何度負けても敵に立ち向かう。相手がどれだけ強くとも、周りになんと言われようと諦めることの無い。


まるで、英雄ドン・キホーテのような猪突猛進の槍。


〔意志を確認:【ジョブランクアップ〈ランサー→リベンジランサー〉】〕


「【カウンターランス】ッッ!!」


心臓を撃ち抜かれたゴブリンは、その衝撃により爆散する。


〔中級職の解放。リベンジランサーは、条件未達成になるためロックされます。条件:絶対的反抗心〕


謎の声のアナウンスを聞き流し、槍をインベントリにしまう。


……To be continued

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