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End  作者: 平光翠
第二階層 アザピース研究所
31/200

第31話 平和な休日

補足のコーナー!

年齢について…

クエイフ─18歳前後

イヴ─16ぐらい?(生まれついての奴隷なので不明)

レイ─完全不明(捨て子だったのと、チートにより完全にわからなくなってしまった。)

カークス─14~15歳

キュレー─11歳

魔王─17歳

シャドモルス─1歳(最近破壊神に産み出されたため。)

アバドン─生後2週間(最近魔王に(ry

アスモデウス─生後2週間(最近魔王に(ry

メルク─57歳

マーキュリー─21歳

ヘーパイストス─42歳

キュロクス─1万歳以上(種族の関係)

こんなもんですかね?

俺達は、一度塔を出て、家に帰ることにする。


「【塔内転移】」


一瞬で視界が切り替わり、すぐに、イヴが夕食の準備を整える。


「夜ご飯何がいいですか?」

元気そうに振り返る彼女の首筋に除く呪いの痣は、痛々しくも美しかった。


「私は寝るから…。イヴ姉のご飯ならなんでもいい。」

「俺も、イヴの作るものならなんでもいいや。」


レイは、けだるげにイヴに伝えると、部屋にこもってしまう。ホントに寝るようだ。

俺はレイと違って寝る訳では無いが、部屋に戻る。


色々と考えなくてはいけない。


まず、あの女は誰だ?─おそらく『魔王』であり、もう1人の『30作目の攻略者』だろう。

ガーゴイルの死体を飲み込んだ影は?─魔王の部下なのか?ゲームには出てこなかったが…?

あの影については保留としよう。


あの時、謎の声は個体名を001と言っていた。つまり002や003が襲撃してくる可能性もある。


さらに、俺のチートについてだ。


ゲームでは、モンスターになれるジョブなんて無かった。

つまり、チートによるものだ。(実際謎の声もそう言っていた。)

なら、何故、『呪い』がない?─神様から貰ったからか?

あるけれど、気づいてない?


「だめだ…さっぱりわからん。」


俺は近くにあったEnd用のノートに、『魔王の襲撃に備える。』と、走り書きをして、ノートを閉じる。


このノートには、イヴが使える技や、レイが使える『虚技』をまとめてある。

さらに、新しい『虚技』のことも書いてあるし、塔の中での事細かな連携についても、記してある。

これは、忘れないためにと、書いてあるもので、モンスターの詳細は覚えているが、それはゲームでの動きであり、実際どの程度体を動かすのか等を記録しておくと、後々使えるのだ。


「クエイフ様!レーイ、ご飯できましたよー。」


結構長い時間考えてこんでしまったようだ。

さて、美味しいご飯を食べよう!


▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪


イヴ姉は強い。

私の人生は最悪だった。親から捨てられ、くだらない研究に使われ、訳の分からない呪いにかかり、そのせいで、奴隷に堕ちた。

そんな最低な人生を送ってきた私よりも、彼女の人生は最悪だったのにも関わらず、イヴ姉は生きていこうと思えている。

私よりも強いチートで、苦しい呪いで、嫌な視線に晒され、くだらない人達に買われてきて、それでも、彼女はその人生をやめなかった。


でも、強いことと傷つかないことは別だ。


クエイフの、防御力の高い盾は強い。しかし、何度も殴れば、いつかは壊れる。

私の短剣は、固い鉱石を使っているけれど、いつかは壊れる。

イヴ姉も、心は強いけど、いつかは壊れてしまう。


私はそれが怖い。


「レイ、ごめんね。今日は痣があるからお風呂、一緒には入れないの。」

「……うん。」

「今日は寝る時も別だから、先に入って寝てていよ。」


私は首を縦に振るだけで、声を出せないでいる。


湯船に浸かり考える。

どうすれば、彼女の心を癒せる?

生半可な同情は、むしろ彼女を傷つけるだろう。

彼女の人生の最悪なんて、些細なことだと叱責すれば、それこそ、本当に壊れてしまう。

私の好きな人(クエイフ)ならどうする?


風呂から上がり、テレビを見ている彼の隣に座る。


「どうした?なんか用か?」

「…………ううん。ただ隣に居たいだけ。」

「…そっか。」


ああ、今のたった一言だけで、彼は私の言いたい事に気づいたのだろう。


「レイは優しいな。うん。俺なんかよりよっぽど優しいよ。」


何故か感慨深く頷いて、私の頭をわしゃわしゃと撫でる。

「って、お前、髪濡れてんじゃん!」


イヴ姉がすぐにお風呂入ったから、乾かしてもらってないや…。


「レイ、強い人間なんて、なかなかいないよ。誰だって弱い。でも、弱い自分を見せるのが怖くて、強がる。だからさ、誰かがその弱さを肯定して、守ってあげなきゃダメなんだよ。」


クエイフは、自分の手が濡れるのもお構い無しに、私の髪を撫でると、優しい声で言う、


「人は強いだけじゃいられない。弱くなって初めて人らしくなれるんだ。だから、お前があの子を守れ。」


「…ありがと。クエイフもそこそこ優しいよ。」


『クエイフならどうするか?』いや、それじゃ、ダメだ。


私なら、イヴ姉を守りたいと思った私なら、どうする?

どうするべきだ?

考えろ。

考えて考えて考えて考えて考えた上に考えろ。


「イヴ姉。ねてる?」

「……レイ?どうしたの?今日は一緒には寝れないよ?もしかして…寂しくなっちゃった?ごめんね。クエイフ様と一緒に寝てきたら?」

「入るよ。」


イヴ姉が何かを言う前に、部屋のドアを開けて、流れるようにベットに潜り込む。

「レイ?レイ!」


「イヴ姉は強くなくたっていいよ。イヴ姉じゃなくてもいい。ただ、いつも、イヴでいてくれれば、お姉ちゃんじゃなくてもいいよ。イヴ姉をやめたくなったら、私が守ってあげるから。今日の夜は、イヴ姉を辞めて。ただの()()のままでいていいよ。」


「…レイ?」


彼女を抱きしめる。

サラサラとした金髪を両腕で抱え、彼女をひたすらに抱きしめる。

母親が胎児を守るように、父親が子供をかばうように、()()()()()()()()()…。


「ごめんね…。ごめん…。今日だけでいいから…。すこしだけ。このまま…で…。…グス」


抱きしめた()は、とても暖かかった。



翌朝…


「イヴ、起きて。」

「おねえちゃん…抱っこして。抱っこしてくれないと起きない!」


こんな状態のイヴをクエイフに見せたら、イヴを盗られそう。

絶対に見せてやらない!


「……()()は、私だけの妹。」

「おねえちゃん…。大好き!」



何故か、痣も消えていた。

チートって本当に謎。


……To be continued

次回予告


今回はお見苦しいところをお見せしました。イヴです。

次回は、馬鹿みたいに強いスライムの登場です!


次回

Lv2


所詮スライムでしたね…。

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